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令和 6年第2回定例会(第5日 6月21日 一般質問)
一般質問

重森 佳代子

2 未来都市スマートシティの実現可能性は?  
 (1) 未来都市への投資が地域課題を解決するのか
本市は今年度、市制施行50周年を迎え、「次世代学園都市構想」という未来ビジョンを掲げ、広島大学を中心とするまちづくり(タウン&ガウン構想)の実現に向けたさらなる取り組みを推進している。2020年から始まった本構想により、広島大学等との大学連携が一層強化されることとなった。同年、本市は広島大学へ5億円を寄付し、翌年にはフェニックス国際センター ミライクリエ(建設費約15億円)が広島大学キャンパス内に整備されるとともに、本構想の拠点事務局であるTGO(タウン&ガウンオフィス)が設置された。なお、2011年まで地方公共団体から国立大学への寄付は、国・地方の財政秩序の健全性を阻害するものとして禁止されていた。
  ア タウン&ガウン構想がスタートして4年が経過し、2019年度の大学連携予算 約4,500万円が、今年度には約1億8,000万円に増額され、財源には補助金が有効に活用されているものの、事業費は大きく膨らんでいる。また大学連携については、人件費(職員6名・広島大学出向2名)にも多額の税が使われている。大学連携を強固に推進する中で、本構想に掲げるスマートシティの実現性について、市の見解を問う。
  イ 次世代学園都市構想の中心は「こども」であると認識している。大学卒業後の定着率が3%に過ぎない大学ではなく、行政がやるべきことは、子どもを産み育てる環境整備と次世代を担う子どものための教育の充実であり、次世代学園都市構想の真ん中の施策を優先すべきと考える。見解を問う。
  ウ 島根県海士町の高校が町の活力の中心的役割を果たした事例は周知されている。本市においては、大学へ巨額の投資をする一方、地域の活力を生み、住民の拠り所となる高校への支援は少なく、廃校が危惧されている高校への投資は非常に消極的である。次世代学園都市構想は部局を越えて総合的に行うべきではないか。所見を問う。
  エ 広島大学周辺の土地利用について、地元ディベロッパー等のサウンディング調査を行っているのか。地元業界では、半導体産業の投資によって住宅ニーズが高まっている今こそ規制緩和を行い、人口増を図ることが本市の発展につながる、10年20年先のスマートシティ構想よりも喫緊の課題だという意見も多い。また、高級住宅志向のニーズ把握をどのように行い、民間主体の土地区画整理事業がこのニーズに対応できると考えるのか、見解を問う。
 (2) 企業版ふるさと納税の透明性について
2016年4月に始まった企業版ふるさと納税は、2020年の改正によって法人税から最大で約9割の税額が軽減され、企業にとっては少ない負担で地域貢献できる制度である。広島大学スマートシティ共創コンソーシアムの参加企業はこの制度を利用し、本市に寄付し、それが広島大学に出捐金(タウン&ガウン構想基盤構築費)として拠出される場合も多い。本市に監査権限はなく、広島大学とコンソーシアムに委ねられている。 
  ア 企業版ふるさと納税においては、寄付企業の経済的な見返りは禁止されている。ただし、寄付企業は希望により非公表とすることができ、コンソーシアムの幹事機関3社(年間1億円以上の基盤構築費負担)は公表している企業には含まれていないので、寄付状況は不明である。
一方、5月14日の総務委員会では「2022年度に9,900万円、2023年度に1億3,503万円でコンソーシアム関連企業の子会社に委託、同じく2023年度には1,960万円でコンソーシアム企業に委託、いずれも随意契約をしている」との答弁があった。この答弁によって、随意契約という点も含め、企業版ふるさと納税がどのように使用されているかについて、市民に疑念が生じる恐れがある。デジタル基盤構築費はブラックボックス化しており、適正価格が分かりにくい。また、その後の保守費(年額開発費の5〜15%と推測)が継続的に必要となるため、さらに透明性が求められるのではないか。市の見解を問う。
  イ 広島大学スマートシティ共創コンソーシアム規約 第16条(TOWN & GOWN構想基盤構築費)には「基盤構築費と同等以上の貢献がなされたと認められたとき負担金は不要」という項目があるが、解釈によっては負担金を支払わなくても良いこととなり、規約の信頼性、ひいてはコンソーシアムの継続性が疑問視されるのではないかと懸念する。市の考えを問う。また、企業版ふるさと納税の制度終了後の運営費・事業費はどこが負担するのか、問う。
  ウ TGOで行われている事業、運営費について、予算と収支報告を毎年度公表することで、事業の透明性を図るべきではないか、問う。
 (3) TGOアプリの開発は中止を検討すべき
広島大学においては、昨年度より東広島キャンパス内において太陽光発電設備を設置(2024年度中に供給開始予定)、住友商事と連携して、初期費用のかからないPPA事業(大学が今後23年間電気代を払う仕組みの事業)を行っている。同時に中国電力が提供するEVシェアリングサービスも導入予定である。また昨年高速大容量のローカル5Gを整備し、最先端技術の実証環境として期待されており、カーボンニュートラル、DXを着実に推進されている。 
  ア 市と大学と市民が共通して利用するTGOアプリの開発について、基盤構築費も含め約3億円が費やされているが、どのようにユーザーのニーズ調査をして開発に着手したのか。ユーザーを始め、ステークホルダーが求める機能について、十分な要求分析をして開発しなければ、将来的に陳腐化するのではないか。問う。
  イ 本年4月、国は国と地方を通じたデジタル基盤へのトータルコストを最小化するため、共通基盤の整備・運用に向けた基本方針を取りまとめると発表した。このような社会情勢を踏まえると、緊急性の少ないTGOアプリについて早期に開発する必要性はないのではないか。また、今後TGOアプリを運用していく場合のランニングコストは誰が負担するのか、問う。
  ウ TGOアプリの共有によって学生にシビックプライドが醸成され、「学生の地域への定着率向上」が掲げられている。しかし、定着率が低い主な要因は、学生が求める企業が地域に少ないことだと考える。所見を問う。 
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