令和３年６月豊田市議会定例会会議録（第２号）

　令和３年６月１４日（月）　午前１０時開議
　日程第１　　一般質問

　出席議員（４５名）
　　　１番　深津　秀仁
　　　２番　近藤　厚司
　　　３番　杉浦　健史
　　　４番　石川　嘉仁
　　　５番　神谷　丈一
　　　６番　寺田　康生
　　　７番　深谷とおる
　　　８番　山本　義勝
　　　９番　倉山　和之
　　１０番　中尾　俊和
　　１１番　中島　竜二
　　１２番　大石　智里
　　１３番　榎屋小百合
　　１４番　鈴木　孝英
　　１５番　日當　浩介
　　１６番　吉野　英国
　　１７番　塩谷　雅樹
　　１８番　福岡　靖純
　　１９番　奥村　峰生
　　２０番　海老澤要造
　　２１番　宮本　剛志
　　２２番　水野　博史
　　２３番　岩田　　淳
　　２４番　浅井　保孝
　　２５番　杉本　寛文
　　２６番　北川　敏崇
　　２７番　窪谷　文克
　　２８番　木本　文也
　　２９番　板垣　清志
　　３０番　山田　主成
　　３１番　羽根田利明
　　３２番　古木　吉昭
　　３３番　中村　孝浩
　　３４番　田代　　研
　　３５番　根本　美春
　　３６番　岡田　耕一
　　３７番　小島　政直
　　３８番　作元志津夫
　　３９番　深津　眞一
　　４０番　山口　光岳
　　４１番　太田　博康
　　４２番　鈴木　　章
　　４３番　三江　弘海
　　４４番　都築　繁雄
　　４５番　杉浦　弘��

　欠席議員（０名）

　説明のために出席した者の職・氏名
　　　市　　　　　長　　　　太田　稔彦
　　　副　　市　　長　　　　安田　明弘
　　　副　　市　　長　　　　��井　嘉親
　　　経営戦略部長　　　　　栗本光太郎
　　　企画政策部長　　　　　辻　　邦惠
　　　総務部長　　　　　　　藤本　　聡
　　　市民部長　　　　　　　藤井　美彰
　　　地域振興部長　　　　　松永　浩行
　　　生涯活躍部長　　　　　粕谷　浩二
　　　子ども部長　　　　　　竹内　　寧
　　　環境部長　　　　　　　清水　　章
　　　福祉部長　　　　　　　柴田　徹哉
　　　保健部長　　　　　　　竹内　清美
　　　産業部長　　　　　　　西脇委千弘
　　　都市整備部長　　　　　阿久津正典
　　　建設部長　　　　　　　早川　　匡
　　　消防長　　　　　　　　須賀　基文
　　　教育長　　　　　　　　山本　浩司
　　　教育部長　　　　　　　澤平　昭治
　　　事業管理者　　　　　　前田　雄治
　　　上下水道局長　　　　　杉本　尚久

　職務のために出席した事務局職員の職・氏名
　　　事　務　局　長　　　　近藤　雅雄
　　　副　　局　　長　　　　都築　和夫
　　　副　　主　　幹　　　　鈴木　啓介
　　　担　　当　　長　　　　河橋　敦子
　　　担　　当　　長　　　　石川　貴祥
　　　主　　　　　査　　　　伊藤　圭一
　　　主　　　　　査　　　　小杉　哲史

　　　　◎開議宣告

○議長（太田博康）　ただいまの出席議員は４５名です。
　前会に引き続き会議を開きます。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　開議　午前１０時００分

　　　◎議事日程決定

○議長（太田博康）　本日の議事日程は、お手元に配付しました日程表のとおりですので、ご了承願います。

　暫時休憩します。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　休憩　午前１０時０１分
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　再開　午前１０時０１分
○議長（太田博康）　休憩前に引き続き会議を開きます。

　　　◎一般質問

○議長（太田博康）　これより本日の日程に入ります。
　日程第１、一般質問を行います。
　お手元の一覧表のとおり順次質問を許可します。
　なお、発言時間は、答弁を含めて３０分、４０分、５０分、または６０分以内といたします。
　ただいまから一般質問を行います。

○議長（太田博康）　３１番、羽根田利明議員。
○３１番（羽根田利明）　自民クラブ議員団の羽根田でございます。議長のご指名をいただきましたので、私は今回、大項目の３点について、順次質問をさせていただきます。
　始めに、大項目１として、新型コロナウイルス感染症対策への対応について、順次伺います。
　執行部におかれましては、新型コロナ感染症、以下コロナ感染症と言いますが、その対応に、発生から今日に至るまで全庁職員が一丸となり取り組んでいただいていることに深く感謝を申し上げます。
　また、感染症患者の治療やワクチン接種などの最前線でご尽力いただいている医療従事者の方々にも敬意を表させていただくとともに、心より感謝申し上げます。
　さて、全国の自治体では、４月以降のコロナ感染症陽性者数の急増に伴い、感染症患者の発症抑制に向けて、緊急事態措置や蔓延防止等重点措置の実施に取り組まれています。
　また、政府はコロナ感染症の防止に向け、自治体と連携したワクチン接種に取り組まれており、７月末までに６５歳以上の高齢者について２回終えるため、１日当たり１００万回接種を目指すとし、６月１０日現在の集計では、全国の高齢者の２９パーセントの方が１回目の接種を終えたと報道されています。
　本市では、５月３０日から７５歳以上の一般高齢者を対象にワクチン接種が市内の１８の集団接種会場や、６月７日から市内の医療機関で始まり、７月末までには６５歳以上のワクチン接種を希望する高齢者について２回終えるとしています。しかしながら、個別接種、集団接種の予約がとれないなどの課題も想定されることから、この項では、今後のワクチンの接種の促進に向けて順次質問をさせていただきます。
　始めに、中項目１、ワクチン接種促進に向けた課題について。
　ワクチンの接種状況、進め方などにつきましては、市長が随時市民に対する動画メッセージなどを発信され、６５歳以上の高齢者は７月末までに２回実施されるものと承知しております。しかしながら、６月１日の新聞報道によれば、政府が目指す１日当たり１００万回に対して５０万回程度と目標の半分程度であり、７月末の完了は困難な状況である。また、医療従事者についても予定どおり進んでいないなどの報道があります。
　こうした状況を踏まえ、本市のワクチン接種状況について伺ってまいります。
　本市のワクチン接種は、これまでに医療従事者が２月下旬から始まり、高齢者施設入居者が４月２０日から、そして、７５歳以上の一般高齢者が５月３０日に開始をされました。
　そこで、小項目１として、これまでのワクチン接種状況及び課題について伺います。
○議長（太田博康）　竹内保健部長。
○保健部長（竹内清美）　ワクチン接種については、市役所などの施設での集団接種と市内の医療機関での個別接種の二つの方法で行っており、集団接種は５月３０日から開始し、昨日１３日までの集団接種回数は約１万３,０００回です。個別接種は６月７日から市内の各医療機関において順次開始されている状況です。
　一番の課題は、集団接種において予約がとりにくいことです。これは、接種券の一度の発送件数を増やしたこと、それに予約システムが対応できないことで生じていますが、予約枠の拡大や予約開始時間を変更するなどの対応を進めています。
　また、個別接種においても、各医療機関の接種体制が整うことで徐々に接種回数が増えていくものと考えています。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　次に、ワクチン接種の予約支援の状況などについて伺います。
　ワクチンの集団接種の受付開始に合わせて、インターネット予約が難しい市民を対象に予約の支援窓口を開設しています。答弁にもありましたが、予約支援の窓口の開始段階では順調に予約が行われていたようですが、７４歳から６５歳の方の予約を開始した６月１日以降は、７５歳以上の方の予約とふくそうしたこともあり、電話がつながらない、インターネット予約では開始した段階で数分程度で予約ストップするなど多くの苦情が寄せられています。
　そこで、小項目２として、これまでの予約支援の状況と今後の体制についてお聞きいたします。
○議長（太田博康）　藤本総務部長。
○総務部長（藤本　聡）　これまでの予約支援の状況については、５月１８日から本庁舎、上郷支所、猿投支所、高岡支所及び足助支所に支援窓口を開設して対応しており、６月１３日までに５７５件の予約を行っています。
　今後、未開設の七つの支所についても、それぞれの地区の会場での接種開始に合わせて順次開設し、パソコンやスマートフォンを利用していない市民に対する予約支援を行ってまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　今後は支援窓口の未開設の支所にも拡大するとのことでありますが、次に、小項目３として、ワクチン接種の今後の見通しについて伺います。
　国は７月末までとする高齢者の完了前に、準備が整った自治体から接種対象を６４歳以下に拡大するよう求めています。こうした状況を踏まえ、各自治体では、６４歳以下のワクチン接種について、早い自治体では６月末に始めることが公表され、本市においても基礎疾患があり、接種を希望する市民に対して接種券を６月２８日の週に発送するとしています。
　こうした接種の前倒しが検討される中、愛知県では６月１１日に西三河地区での３箇所の大規模接種会場の開設が公表されました。これらへの対応を含めて今後のワクチン接種の見通しについて伺います。
○議長（太田博康）　竹内保健部長。
○保健部長（竹内清美）　今後のワクチン接種については、６月２８日の週に６０歳から６４歳までの方、約２万２,０００人と基礎疾患のある方を対象に接種券を順次発送します。
　その後の６０歳未満の方の接種券については、６０歳以上の方の接種状況や企業による職域接種の状況等を踏まえ、７月上旬をめどに発送時期を判断し、年齢区分等により段階的な発送をする予定です。
　また、議員ご指摘の大規模集団接種については、愛知県が西三河地方に開設する大規模接種会場の一つである愛知医科大学メディカルセンターにて、豊田市民の接種ができるよう、現在、愛知県と予約方法やシャトルバスの運行などの実務的な連絡調整を進めています。今後、詳細が決まり次第、市民の皆様に公表してまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　ただいまワクチン接種の今後の見通しとして、６４歳以下の方について、基礎疾患のある方を優先して、年齢区分等による段階的に接種券を発送するとのことであります。また、県が西三河地方で準備してきた大規模接種会場が本市に隣接する愛知県の愛知医科大学メディカルセンターで開設されることとなり、これまで以上にワクチンの接種が促進されるものと期待をさせていただきます。
　この項では、コロナ感染症の対応について質問させていただきましたけども、特に担当職員の皆様におかれましては、４月以降のクラスターの発生による感染症患者の急増への対応や、ワクチン接種の開始に伴う予約支援窓口への対応などにより、多くの職員の皆さんが、残業時間が月１００時間を超えるなど、担当職員の皆さんのご尽力に改めて感謝を申し上げ、この項の質問を終わります。
　次に、大項目２として、支え合いのまちづくりの推進について伺います。
　本市では全国同様に超高齢化社会が進展しており、２０２５年には７５歳以上の後期高齢者の人口が２０１０年と比べ２倍以上に急増することや、高齢化率の上昇による人口構成の変化が見込まれています。そして、核家族世帯の増加とともに、高齢者夫婦、単身世帯が年々増加しています。
　こうした高齢化率の上昇に伴い、要支援、要介護認定者数は増加傾向にあり、今後もさらなる増加が見込まれるため、健康づくりや介護予防に関する取組の一層の強化が求められています。
　こうしたことを踏まえ、本市では、高齢化社会への適応を第８次豊田市総合計画の重点施策に位置づけるとともに、本年度から始まる第８期豊田市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画、以下第８期計画と言います、や第２次豊田市地域福祉計画・地域福祉活動計画、以下第２次計画と言わせていただきます、では、目指す姿を、安心して自分らしく生きられる支え合いのまちづくりとし、その具体的事業として、身近な地域で誰もが楽しみながら気軽に参加できる健康づくりと介護予防を推進するため、ソーシャル・インパクト・ボンド、以下ＳＩＢと言いますが、ＳＩＢを活用した社会参加型介護予防事業、ずっとつながるプロジェクトに取り組むとしています。
　また、第２次計画では、基本目標の一つに地域の支え合いの仕組みづくりを掲げ、ボランティア活動の促進など重点に取り組むとしておられます。この項では、この計画に掲げる支え合いのまちづくりを目指し、介護予防の推進、福祉ボランティア活動の促進について順次質問と提言をさせていただきます。
　中項目１として、ＳＩＢを活用した介護予防の推進について伺います。
　本市においては、超高齢者社会が現実のものとなり、団塊の世代が７５歳以上となる２０２５年までに、特に後期高齢者の急増が見込まれているところであり、こうした超高齢社会の進展に対して、これまでも健康づくりや介護予防の取組を強化されてきたと認識しておりますが、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、高齢者の外出が抑制され、さらなる介護リスクの上昇が懸念されているところであります。
　こうした中、今回のＳＩＢを活用した事業について、新型コロナウイルスへの対応と並行して、民間活力を活用した大規模な取組を実施するものであり、本事業によって多くの高齢者の方が社会参加の機会を得るとともに、介護リスクの低下や日常生活での楽しみを増やしていただければと期待するところであります。
　一方で、ＳＩＢ自体の仕組みが国内でもあまり事例がないことや、仕組み自体が複雑であるということもあり、課題もあるかと思います。
　そこで、今回のＳＩＢを活用した介護予防の取組である、ずっとつながるプロジェクトについて伺います。
　始めに、小項目１点目として、ＳＩＢ事業では介護リスクの低下を図り、健康寿命の延伸を図るとしているが、事業の目的と効果・課題について伺います。
○議長（太田博康）　辻企画政策部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　本事業の目的は、高齢者の方が社会の中で役割や仲間を得ることで、それが楽しみや生きがいにつながり、幸福感の向上を図ることにあり、その結果として介護状態になるリスクを低減し、１０億円の介護保険給付費削減となることを目指しています。
　期待する効果は、本事業では民間の創意工夫をいかして、従来の運動系の介護予防に加えて、趣味やエンターテイメントといった新たなプログラムを提供することで、これまで社会参加に消極的だった高齢者の方が新たに社会とのつながりを持つきっかけをつくることができ、介護リスクの低減が図られることです。
　課題については、ソーシャル・インパクト・ボンドが事業成果に応じて報酬を支払う仕組みであるため、その成果をはかる評価検証が重要で、この評価検証に必要となる参加者のデータを適切に取得することが挙げられます。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　ただいまの答弁で、ＳＩＢ事業は事業成果に応じて支払う仕組みであるため、その成果をはかるための評価検証が重要であるとのことでありますが、そこで、小項目２点目として、本事業の評価検証についてどのように考えているかお伺いをいたします。
○議長（太田博康）　辻部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　評価検証の内容については、長年、高齢者の実態や介護予防に関する調査、研究を行っている一般社団法人、日本老年学的評価研究機構、以降ＪＡＧＥＳと呼びます、と協議し、設定しています。
　具体的には、毎年度測定を行う中間成果指標と５年間の事業終了後に測定を行う最終成果指標をそれぞれ設定しています。
　中間成果指標は、この事業への実際の高齢者の参加状況を確認するための指標で、提供する社会参加プログラムへの高齢者の参加人数と継続人数としています。
　最終成果指標は、この事業が介護保険給付費の削減に寄与したかどうかを確認するための指標で、介護保険給付費の削減額と要介護リスク点数の削減点数としています。
　この要介護リスク点数は、先ほど紹介したＪＡＧＥＳが長期にわたる調査研究に基づき設定した将来の介護リスクを図る指標で、点数が高いほど介護リスクが高いことを示すものです。
　なお、これら評価検証業務は、ＪＡＧＥＳに委託することを予定しています。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　次に、小項目３点目として、地域ボランティア団体との連携について伺います。
　本事業につきましては、様々な民間事業者がそれぞれの創意工夫を用いて、高齢者の社会参加や健康づくりを促すプログラムを提供するものと認識しています。
　そこで、既に交流館といった身近な施設で取組を行われている既存のボランティア団体の活動を始め、市の類似事業と競合することで、既存の取組の弊害になることは期待するところではなく、むしろ既存の取組と連携し、相乗効果を生むことを期待したいと思いますが、そうした連携についての考え方をお伺いいたします。
○議長（太田博康）　辻部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　今回のソーシャル・インパクト・ボンドを活用した介護予防事業、ずっとつながるプロジェクトは、団塊の世代の後期高齢化に加えて、新型コロナウイルスの影響による外出抑制のため、高齢者の介護リスクが上昇していることが懸念されたことから、これまでの取組に追加して大規模な事業展開を図るために実施するものです。
　このために既存の事業や活動にこれまで参加していなかった層を主なターゲットに、新たなプログラムを提供することとしています。
　また、高齢者の新たな社会参加の機会を増やすとともに、既存事業との情報共有などにより連携を進めることで、相互の事業の活性化を図ってまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　今回のＳＩＢ事業では、これまでの取組に参加しなかった層をターゲットとするとともに、相互の事業の活性化を図るとのことであります。介護予防に向けた新たなシステムが構築されることを期待いたします。
　次に、小項目４として、今回のずっとつながるプロジェクトについては、ＳＩＢを活用した介護予防に５年間取り組むとのことでありますが、終了後におけるＳＩＢの活用についてどのように考えておられるか、お聞きします。
○議長（太田博康）　辻部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　本事業は、ソーシャルインパクトボンドの活用事例が少ない介護予防をテーマとしていること、これまでの事例に比べて事業期間が長く大規模であること、他の自治体への横展開ができるよう事業スキームを確立することという挑戦的な要素を含んだものとなっています。
　このため、５年間の事業を実施する中で、効果測定をしっかりと行い、運用上の課題のほか、他分野での活用可能性の整理など、事業スキーム自体の評価検証を併せて実施してまいります。
　また、本事業終了後においては、成果や課題を整理した上で、継続した事業の実施や、事業期間中に得られたノウハウを生かした新たな事業展開など、発展的な取組を行っていきたいと考えています。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　本事業が終了する５年後では、成果や課題を整理した上でさらなる活用や継続実施に取り組むということでありますが、いったん事業をスタートすれば中止することは難しいために、５年後の継続を視野に入れた取組が重要と考えます。
　そして、介護予防は、これまで高齢者クラブなど地域の既存ボランティア団体が主体となり取り組まれており、これら団体と連携し、まちぐるみでの健康づくりが推進され、市民の健康寿命の延伸につながることを期待し、次の質問に移ります。
　次に、中項目２として、福祉ボランティア団体の活動支援について伺います。
　市内各地域では、高齢化の進展に伴う支援や介護に対するニーズの拡大や多様化により、行政、社会福祉協議会と連携し、民生委員や自治区、高齢者クラブとともに多くの福祉ボランティア団体が活動されています。しかしながら、多くの団体では、会員の高齢化や活動のマンネリ化、そして活動資金、運営費の不足など活動の継続に課題を抱えています。
　この中項目では、第２次計画の基本的な考え方に多様な主体による地域福祉活動の促進を掲げ、重点取組としてボランティア活動の促進について取り組むとしています。具体的なボランティア団体の活動支援について、小項目４点について伺ってまいります。
　始めに、小項目１、福祉ボランティアの活動状況・課題について質問します。
　市内では様々なボランティア団体が活動していると認識していますが、ボランティアの登録数が最も多い社会福祉協議会ボランティアセンターにおける福祉ボランティアの活動状況や課題について伺います。
○議長（太田博康）　柴田福祉部長。
○福祉部長（柴田徹哉）　豊田市社会福祉協議会ボランティアセンターの団体登録の数は、令和３年３月末現在で４９６グループ、延べ１万６,０３３人。そのうち高齢、障がい、子ども、生活支援といった福祉的テーマで活動している団体は２０１グループ、延べ６,５３５人となっております。
　これらの具体的な活動としましては、一人暮らし高齢者等の自宅を訪問して話を聞く傾聴ボランティアや、日常生活の困り事を地域で支え合うお助け隊などが挙げられます。
　次に課題ですが、令和元年度にボランティアセンターが実施したアンケート、複数回答ですので１００パーセントを合計が超えますが、回答者の４６パーセントがメンバーの高齢化、４３パーセントが新規加入が少ないことを挙げ、役員のなり手がいないとの回答も１７パーセントあり、人員確保が最大の課題となっています。そのほか、１５パーセントが事故やけがの心配、１２パーセントが資金の不足などとなっています。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　ただいまは、社会福祉協議会に登録されている登録数が４９６グループ、延べ１万６,０００人余と多くの団体、あるいは登録者数がいることや、課題として人員の確保や資金不足などがあるとのことです。今後、高齢化の進展に伴い、様々な生活に関する支援ニーズが高まることが予想され、さらなるボランティア団体への役割が期待をされるところであります。
　そこで、小項目２として、これまでの課題などを踏まえ、ボランティアセンターとして、ボランティア活動の活性化に向けてどのような方針で取組を進めるか、お伺いをします。
○議長（太田博康）　柴田部長。
○福祉部長（柴田徹哉）　豊田市社会福祉協議会のボランティアセンターでは、令和元年度にボランティアセンターあり方検討会を４回開催し、様々なボランティア活動者が参加して意見交換を行いました。市もオブザーバーの立場で参画しています。
　その結果を踏まえまして、センターの五つの機能、具体的には、�@相談及び活動調整、�A登録及び活動支援、�B情報提供・啓発・育成、�Cネットワーク構築、�D災害ボランティア関係、これらについてそれぞれ強化することでボランティア活動の活性化を支援することを取組方針としました。
　また、令和２年度にはボランティアセンター運営委員会を立ち上げ、センター事業の評価と進捗管理を行っています。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　次に小項目３として、ボランティアセンターの機能強化について伺います。
　本市のボランティアの登録は社会福祉協議会が集約し、各地区から様々な要請に伴い派遣するなど取り組まれています。今後、ボランティア団体の登録を増やすためにも、先ほど答弁いただいた方針も踏まえ、ボランティアセンターが機能強化に向けて実施している主な取組について伺います。
○議長（太田博康）　柴田部長。
○福祉部長（柴田徹哉）　機能強化に向けた主な取組としまして、令和２年度は、社会福祉協議会のコミュニティソーシャルワーカーの配置を旧市内で３箇所６人から５箇所１１人に増やすことで、旧町村部の６箇所に加え、旧市内においても身近な場所で困り事を受け止め、ボランティア団体や専門機関につなぐ体制を整備しました。
　また、各地区でボランティア情報交換会を開催し、会員募集の工夫やうまくいった事例等を共有するとともに、団体同士の連携強化を進めております。
　さらに、お助け隊ネットワーク会議など、テーマ別の情報交換会や中間支援組織連携に向けた会議を開催するなど、ボランティア団体や関係機関間の連携強化を図っております。
　令和３年度はこれらの取組に加え、個別ニーズへの対応力を高めるボランティア講座を新たに開催し、登録者、登録団体の増加を図ります。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　また、令和２年度からコミュニティソーシャルワーカーの配置を旧市内で３箇所６人から５箇所１１人に増員して、ボランティア団体との連携強化をされたとのことでありますが、引き続ききめ細かな連携強化と周知をしていただくことを要望させていただきます。
　次に、小項目４として、ボランティア団体育成支援の充実について質問させていただきますが、本年度から本市においても住民主体の輸送ボランティアに対する支援のモデル実施が予定されており、ボランティア活動の継続につながる支援策と期待をしているところであります。
　しかしながら、他の福祉ボランティア団体では、会費や参加者負担金などにより運営されている団体もあり、今後新たな組織化には、行政などのコーディネートや市の金銭的支援や資金確保に向けた仕組みづくりが必要であると考えますが、市の見解をお伺いします。
○議長（太田博康）　柴田部長。
○福祉部長（柴田徹哉）　ボランティア活動は、市民の自発的な活動としてそれぞれの自由な意思、発想、行動によって立ち、行政としてはこうした活動の特性を十分に理解し、活動を側面から支援する役割が期待されます。
　本市における支援ツールの一つとして、実践事例を交えた地域福祉実践の手引書を作成しておりますので、本書がより有効に活用されるよう、一層の周知を図ってまいります。
　また、運営資金の確保につきましても、受益者から一定の利用料を徴収する例や、官民の補助金、助成金を活用する例があり、本市や豊田市社会福祉協議会も各種助成制度を設けておりますので、情報交換会等の機会やボランティアセンターの窓口で紹介していきます。
　今後もボランティアに関わる皆様方が地域で安心して活動を行えるよう、社会福祉協議会を始め、関係諸団体と連携して支援してまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　現在活動しているボランティア団体は、お助け隊や傾聴ボランティアなど様々であります。ボランティア団体は、その地域のニーズに基づき、自主的な活動が基本であることは十分認識しているところでありますが、活動には一定の資金が必要となることも当然であります。全てをボランティア、個人負担では継続が難しいと考えます。
　市においても、河川美化や道路保全の観点から、河川愛護団体への助成の仕組みがつくられており、今後、福祉団体に対しても育成、支援の仕組みづくりが検討されることを期待し、次の質問に移ります。
　次に、大項目３点目として、男女共同参画社会の実現について質問させていただきます。
　本市における男女共同参画社会の実現に向けた取組は、平成１２年に第１次クローバープラン、とよた男女共同参画プランに始まり、現在は、令和２年度から令和６年度までの５年間を計画期間とする、第４次とよた男女共同参画プランに基づき推進されています。
　国では、平成１１年に男女共同参画基本法が施行され、これまでに配偶者暴力防止法、女性活躍推進法、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律など、男性、女性という性別の違いによる社会的な格差の解消に向けた法律が制定されてきました。
　そして、近年では、この男性、女性という二つの枠組みにとらわれない新しい考え方や生き方、価値観を確立するＬＧＢＴ法案の制定が国で審議されています。
　ＬＧＢＴとは性的少数者のことを言い、生まれた体の性別と心の性別が一致しない方々のことを言い、Ｌはレズビアン、Ｇはゲイ、Ｂはバイセクシャル、Ｔはトランスジェンダーのことで、この四つの名称の頭文字をとったものと認識しています。
　また、ＬＧＢＴに関しては、令和２年に国が策定した第５次男女共同参画基本計画において、性的指向・性自認に関するハラスメント防止に取り組むことや、性的少数者に関する企業の取組事例の周知を通じた理解促進を掲げています。また、令和３年に愛知県が策定したあいち男女共同参画プラン２０２５においても、性的少数者への理解促進が掲げられています。
　これらの社会情勢を受け、豊田市では、この新しい概念での性的少数者も含めて、誰一人取り残すことなく、市民一人一人が自分らしく楽しく暮らせる社会の実現に向けて積極的に取り組む必要があり、中項目３点について質問させていただきます。
　始めに、中項目１として、第４次とよた男女共同参画プランの推進、以下第４次プランと言わせていただきます、について、この項では第４次プランに掲げるＬＧＢＴ、性的少数者に対する支援の考え方について、質問をさせていただきます。
　始めに、小項目１として、ＬＧＢＴに関する市民意識調査結果と第４次プランの新たな取組について伺います。
　第４次プラン策定のための準備として、平成３０年度に本市で初めてＬＧＢＴに関する市民意識調査を実施されていますが、どのような項目でどのような結果であったのか、そして、その調査結果を受け、本市において、ＬＧＢＴの皆さんが差別や偏見を受けずに安心して暮らすため、第４次プランにおいてどのような取組を行うか伺います。
○議長（太田博康）　粕谷生涯活躍部長。
○生涯活躍部長（粕谷浩二）　平成３０年度に行った豊田市男女共同参画社会に関する意識調査での市民のＬＧＢＴという言葉に対する認知度に関する項目においては、ＬＧＢＴという言葉を知っているという人の割合は７２.５パーセントという高い認知度であることが分かりました。また、ＬＧＢＴが偏見や差別により生活しづらい社会だと思うかという項目において、そう思うと感じている人の割合は７１.２パーセントという高い割合であることも分かりました。
　この結果を受け、第４次プランにおいて、ＬＧＢＴに関する施策を初めて明記しました。具体的には、施策の一つである人権と性の尊重意識の醸成の中で、ＬＧＢＴに関する取組を新たに位置づけ、人権や性に対して市民の正しい認識が深まるよう、教育や相談、意識啓発の充実を目指しています。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　ただいまは第４次プランにおいて、初めてＬＧＢＴに関する施策が明記され、その取組をスタートされたということでございます。
　それでは、次にプラン初年度である令和２年度において、具体的にどのような取組を実施したのか、小項目２として、第４次プランの令和２年度の主な取組について伺います。
○議長（太田博康）　粕谷部長。
○生涯活躍部長（粕谷浩二）　人権や性に対する正しい認識を深めるため、令和２年１０月に、企業の人事担当者や総務担当者を主な対象として、ＬＧＢＴに関する理解促進講座を実施しました。
　講座の内容は、ＬＧＢＴの当事者による講演で、一人一人が異なる性的指向などや人格を持っていること、ＬＧＢＴは周りに確かに存在しているということを学びました。そして、ＬＧＢＴを含む、誰もが働きやすい職場環境について、参加者に考えていただく機会としました。
　このほか、令和２年１２月にはＬＧＢＴの認知を進めることを目的に、男女共同参画の取組を広く啓発するイベント、さんかくフェスタの中で、ＬＧＢＴブースの展示を実施しました。そこではＬＧＢＴを知ろう、学ぼうと題し、ＬＧＢＴが何を指すアルファベットであるかや、性を構成する主な要素は何かということなどについての啓発を行いました。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　次に、小項目３点目として、豊田市男女共同参画推進懇話会における意見について伺います。
　本市における男女共同参画の推進のため、施策の在り方を検討し、専門的な知見による提言を行う、豊田市男女共同参画推進懇話会が設置されていますが、この懇話会において、かねてより男女共同参画推進に関する重要な施策を決定する際には、重点的に審議を行っていると聞いています。
　例えば、平成３０年度には、翌令和元年に開催した、第２４回男女共同参画全国都市会議ｉｎとよたの開催決議を、また、平成２８年には、女性活躍推進法に係る豊田市女性活躍推進計画の策定協議でも複数の審議を経て重要な提言をしておられると承知しております。
　そこで、令和２年度からの新たな取組であるＬＧＢＴに関する事項について、令和２年度の懇話会においてどのような審議がなされたか、お伺いをいたします。
○議長（太田博康）　粕谷部長。
○生涯活躍部長（粕谷浩二）　令和２年度の懇話会では、２回にわたりＬＧＢＴに関する協議事項の審議を行いました。令和２年６月の１回目では、ＬＧＢＴへの施策立案の検討に関する協議を行い、委員からは、企画の段階から当事者の意見や考え方を確認して進めることや、当事者の体験談が聞ける講演会を開催するとよいなどの意見がありました。
　令和３年２月の２回目では、令和元年度の第２４回男女共同参画全国都市会議ｉｎとよたでの分科会において、ＬＧＢＴに関する議論を全国へ向けてしっかりと発信できた実績はかなり大きかったという意見や、昨今のＬＧＢＴに対する社会情勢の加速を鑑み、懇話会の総意として、ＬＧＢＴ施策拡大の必要性があり、同性パートナーシップ宣言制度を早期に導入することという要望がありました。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　男女共同参画推進懇話会において、ＬＧＢＴに関する協議が複数回議論されており、その内容として当事者の意見を聞きながらやるべき取組を進めること、さらには具体的な取組の拡大の必要性があるという意見が有識者の総意であることが確認できました。
　次に、中項目２として、性的少数者、ＬＧＢＴ施策の拡大について質問をいたします。
　近年、新聞などでＬＧＢＴに関する記事を目にするようになり、世の中の傾向としてＬＧＢＴへの関心は高まっています。また、これまでの答弁から、ＬＧＢＴに関する市民の認知や理解が着実に進んでいることや市民の意識調査結果、有識者の意見などからもＬＧＢＴ施策の拡大が必要であることが分かりました。
　そこで、施策の拡大に大きく関わる事業所、教育現場、当事者について順次お聞きをいたします。
　始めに、小項目１として、市内事業所の状況についてどのように把握しておられるか、お聞きします。
○議長（太田博康）　粕谷部長。
○生涯活躍部長（粕谷浩二）　市内事業所の実際の状況を確認するため、令和３年１月、市内に本社を置く１事業所と事業所内の状況確認及び意見交換会を行いました。
　その中では、実際に社内においてＬＧＢＴが存在しており、当事者としての生きづらさを抱えていること、また、それに対し、事業所として配慮や支援を行っていることを確認いたしました。
　事業所の支援策としては、社員への理解促進啓発としての資料学習、当事者との対応場面を想定した接遇研修、支援者としての呼びかけと支援者登録の実施、パートナーがいる場合の家族手当の導入などでありました。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　ただいまの答弁では、市内の事業所には当事者の方が働いており、職場では何らかの生きづらさ、働きづらさがあり、事業所として手助けする風土もあり、具体的な支援策も幾つも講じられていることが分かりました。
　次に、教育現場の状況についてお伺いします。
　教育現場におけるＬＧＢＴに関する問題は、先生や生徒に十分な知識がないため、いじめや暴力が発生している事例が報告されています。また過去の新聞報道では、ＬＧＢＴの若者約６００人に学校生活調査を実施したところ、約７割がいじめや暴力を受けた経験があり、そのうち約３割が自殺を考えたなど、深刻な実態が明らかになったとの掲載がありました。特に生徒にとっては大変デリケートな話なので、周りの生徒や先生に言い出せないことが推測され、重大な事件に発展することも考えられます。
　そこで、小項目２として、本市の教育現場の現状についてどのように把握をされているかお伺いをいたします。
○議長（太田博康）　粕谷部長。
○生涯活躍部長（粕谷浩二）　本市の小・中学校においては、現状ＬＧＢＴに関する調査を実施していないため、実際に、児童生徒のうちどれくらいの当事者がいるのか、児童生徒に対し具体的にどのような支援が必要かなどについては不明な状況です。
　ただし、議員ご発言のとおり、担任や養護教諭などへのカミングアウト、これはこれまで公にしていなかった自らの性的指向等を表明することですが、これや、相談があることを豊田市男女共同参画推進懇話会における審議の意見の中でお聞きしております。
　具体的には、性別違和により、性別で決められた制服を着用したくないといった意見です。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　ただいまの答弁では、市内事業所や教育現場におけるＬＧＢＴ施策の取組状況を確認できました。
　次に、当事者等への意見聴取について伺います。
　全国のＬＧＢＴを支援する団体からは、性的少数者が自分らしく生き生き生活できる、多様性を認め合う社会の実現を目指す要望書など、国や県に提出されています。当事者自身の声は、今の時世では、自らを堂々と公表するケースも少ないため、当事者と会う機会をつくることはかなり難しいと思いますが、施策の拡大にはＬＧＢＴ団体や当事者からの意見を反映することが重要と考えます。
　そこで、小項目３として、豊田市におけるＬＧＢＴ団体や当事者自身の声をどのように把握されているか、お聞きをいたします。
○議長（太田博康）　粕谷部長。
○生涯活躍部長（粕谷浩二）　本市としましても、当施策を進めるに当たり、当事者からの意見聴取は非常に重要な事項であると認識しています。そのため関係者等へ依頼する中で、令和３年１月、市内当事者やＬＧＢＴ団体との意見交換の機会を持つことができました。
　当事者等からは、次のような意見がありました。
　多様性を認め合う社会の実現のため、無関心層や高齢者への啓発に力を入れてほしい。理解してもらうため実名を公表したいが、ＬＧＢＴであることが無用に広まり過ぎるのを恐れている。ＬＧＢＴにもパートナーがいることを理解してほしい。ＬＧＢＴのパートナー問題では、法律婚との差を埋めてほしい。本市でも同性パートナーシップ制度を導入してほしいなどであります。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　これまでの答弁では、昨今の新聞報道や国会における議論においても様々な意見がありますが、ＬＧＢＴへの理解活動を求める方向にあると考えます。また、市内の事業所や教育現場や当事者のヒアリングなどからも、既に支援制度を設けている企業があることや具体的な理解活動を求める声が確認できました。
　次に、施策拡大に向けた取組について伺います。
　これまでの答弁からも、本市においても先進都市の事例を参考に、具体的な支援制度を検討する必要があると思いますが、そこで、小項目４として、具体的支援制度の拡大検討のために行った取組事例についてお伺いをいたします。
○議長（太田博康）　粕谷部長。
○生涯活躍部長（粕谷浩二）　ＬＧＢＴ支援体制の研究を目的として、令和２年度において行った取組については、これまでの答弁のほかに３点あります。
　一つ目は、令和２年９月に市職員向けに行った啓発研修で、受講希望者を対象にＬＧＢＴ理解促進研修を実施しました。
　二つ目は、令和２年１１月及び令和３年２月にＬＧＢＴ支援に関する近隣先進自治体との意見交換会をオンライン会議により実施しました。
　三つ目は、令和２年１２月に行った同性パートナーシップ制度導入自治体への調査です。
　この調査では、本制度を導入している、全国の６３の自治体の調査結果において、導入自治体が令和元年から急増していることや、制度導入に当たり、多数自治体において、導入効果は複数あり、課題についてはほぼない状況であることなどが確認できました。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　ただいまは市役所職員の啓発研修も既に行われており、職員の意識醸成が進められていることが分かりました。また、全国自治体への調査結果では、多くの自治体が導入効果を実感しているなど、理解をしたところであります。
　それでは次に、中項目３として、同性パートナーシップ制度の導入について伺ってまいります。
　同性パートナーシップ制度は、同性カップルである二人の関係性を婚姻と同等であると認めた上で、各自治体独自の証明書が発行され、この同性パートナーシップ証明制度は、東京の渋谷区、世田谷区、二つの区をモデルに、近年多くの自治体に広がりを見せております。こうした制度の導入は、性的少数者の権利保護や支援の動きから広がっていると認識いたします。
　また、本市の男女共同参画推進懇話会から、同性パートナーシップ宣言制度の導入を要望する意見や支援に取り組む事業所の声などから、導入に向けた取組について伺います。
　始めに、小項目１として、同性パートナーシップ制度導入に向けた国の方針、愛知県・近隣自治体の導入状況についてどのように把握をされているか、お聞きをいたします。
○議長（太田博康）　粕谷部長。
○生涯活躍部長（粕谷浩二）　同性パートナーシップ宣言制度の動向ですが、現在のところ、自治体向けの国としての統一した方針はありません。また、愛知県の動向も国と同様です。
　したがいまして、現在は各自治体が独自の判断による取組を実施している状況であり、本制度を導入する場合は、各自治体単位で制度の導入や認定を行うことになります。
　報道によりますと、令和３年４月１日時点で制度を導入している自治体数は１０３となっています。また、県内の自治体では、導入開始年度が早い順に、西尾市、豊明市、豊橋市となっており、名古屋市が令和３年度中の導入を検討中と確認しております。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　ただいまは、国県における同性パートナーシップ制度導入に関する統一的な方針はありませんが、県内自治体では西尾市、豊明市、豊橋市が導入、名古屋市が今年度導入の検討をしているということであります。
　最後の質問となりますが、小項目２として、本市はおける実効性ある同性パートナーシップ制度の導入について伺います。
　全国の制度の導入状況は、２０１５年の東京渋谷区、世田谷区に始まり、現在１０３の自治体が導入し、特に本年度から３１の自治体が始めるなど、ここ数年で急速に拡大しています。
　一方、国会では、理解増進を求めるＬＧＢＴ法案が与野党で協議がされ、今国会期間中での上程は見送られることとなりましたが、引き続き上程に向け協議されるものと期待をしております。
　また、時代の潮流では、今まさに、ＳＤＧｓ未来都市を掲げる本市において、ＬＧＢＴ支援の具体的制度を導入する絶好の機会だと考えます。本市のＬＧＢＴの方々へ実効性のある取組の導入が早急に必要だと考えますが、市長のお考えをお伺いいたします。
○議長（太田博康）　太田市長。
○市長（太田稔彦）　これまでの部長答弁にもありましたように、豊田市におけるＬＧＢＴにつきましては、当事者及び関係者の皆さんが行動や発言に様々な制約が現実にあるということがうかがえると思います。とりわけ確たるパートナーとして現実に生活しているお二人が、周りの人や世間に認められない、さらにはそういった方が世間から、ともすればいないことにされてしまうといったことなどの様々な不利益を被っている現状がこの豊田市においてもあるということだと思います。
　そのような状況を少しでも解消し、一人一人が尊重され、多様な個性を認め合い、地域社会とつながり、参画できる地域共生社会の実現に向け取り組んでいくことが何よりも必要であると考えます。
　今後は、議員の提言も踏まえながら、同性パートナーシップ宣言制度の７月中の導入に向け、当事者、関係者、多くの市民の皆様の意見を確認するシンポジウムを開催するなどにより、市民の皆様のさらなる理解と共感を得ながら具体的な制度設計を進めてまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　羽根田議員。
○３１番（羽根田利明）　ＬＧＢＴ施策の取組について、今回は質問させていただきましたが、その中で同性パートナーシップ制度について、導入の制度設計を進めるという前向きな答弁をいただきました。これにより一人でも多くのＬＧＢＴの支援及び生きづらさの解消につながることを願っているところであります。
　今回の市の取組がきっかけとなり、市民への理解促進につながっていくことで、本市がＳＤＧｓ未来都市としてより一層前進していくことを期待し、私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。
○議長（太田博康）　以上で３１番、羽根田利明議員の質問を終わります。

○議長（太田博康）　暫時休憩します。再開は午前１１時５分とします。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　休憩　午前１０時５８分
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　再開　午前１１時０５分
○議長（太田博康）　休憩前に引き続き会議を開きます。
　２２番、水野博史議員。
○２２番（水野博史）　自民クラブ議員団の水野博史です。議長のお許しをいただきましたので、通告のとおり、大項目１点、エネルギーの最適利用に向けた未来へとして順次質問いたします。
　質問の前に、長引く新型コロナウイルス感染症の収束に向けて、日々市民のためにワクチン接種を対応していただいています保健部を始め多くの関係職員の皆様、また、市民のライフラインとして感染症拡大防止のために取り組んでおられます医療関係者、介護関係者の皆様に心より感謝を申し上げます。
　今から約１５０年前に江戸時代から長く続いた鎖国が終わり、西欧のエネルギーを利用した先進技術が荒波のように流れ込み、日本のエネルギー開発やエネルギー利用が変遷していきました。日本でのガス事業や電気事業が始まったのは明治初期ですが、それまでは石炭、石油とも採掘は行われていたにもかかわらず、日本での活発なエネルギー利用とはいかず、本格的な産業として近代化が図られたのは明治の時代に入ってからでした。
　今年の大河ドラマの主人公である渋沢栄一は、明治に入り日本経済の基礎となる様々な業種の会社を設立し、日本資本主義の父と呼ばれました。そのような時代背景の中でガス事業や電気事業のエネルギー分野は一気に事業化され、日本の近代エネルギー産業はまさに文明開化とともに産声を上げました。
　明治時代、中心的エネルギーだった石炭の用途は、主に船舶や鉄道など輸送の動力でした。一方のガス、電気、石油の用途は街路灯やランプなど明かりを目的として使われ、全国に普及していきました。現在エネルギーの中心となっている石油は、石油ランプからスタートし、漁船用の軽油、自動車用のガソリン、軍艦用の重油と需要が変化し、明かり用から石炭に代わり動力エネルギーとしての位置づけに変化していきました。
　このようにエネルギーは時代とともに変化を繰り返し、経済にも大きな影響を及ぼすこともありました。昭和４８年に起きたオイルショックでは、これまでの好景気を一変させ、時代の転換期になったとともに、エネルギーの安定供給の重要さを世の中に再認識させる出来事となりました。
　現在、日本のエネルギー自給率は平成３０年で１１.８パーセントと低く、アメリカの９７.７パーセントと比べても、自国内で一次エネルギーを確保できず、他国に依存する形から依然として脱却できていない状況下にあります。自給率が低い分、エネルギーを有効に活用する考えが今後の日本には必要になっていくと考えます。
　そこで、大項目をエネルギーの最適利用に向けた未来へとして、現在の日本のエネルギーの動向を確認し、災害時の分散型エネルギーの考え方や、本市の強み生かしたエネルギーの成長戦略の方向性を中項目３点で質問してまいります。
　始めに、中項目１点目、産業界におけるエネルギー利用の動向として、小項目３点で質問します。
　令和２年１０月２６日、第２０３回臨時国会の所信表明演説において、管　義偉内閣総理大臣は、２０５０年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち２０５０年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。このカーボンニュートラルとエネルギー施策には切っても切れない関係が生まれ、両輪をコントロールしなければ経済成長が進まなくなってしまうおそれがあります。また、最近の環境と経済の話題では、ＲＥ１００とかＳＢＴなど、世界のグローバル的な考えにも注目して取り入れ、成長しなければ企業は生き残れない時代に突入しました。
　そこで、小項目１点目として、経済産業省は関係省庁と連携し、２０５０年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定しました。経済と環境の好循環につなげるための産業政策と聞いていますが、国のグリーン成長戦略について、本市ではどう捉えているのかお伺いします。
○議長（太田博康）　西脇産業部長。
○産業部長（西脇委千弘）　令和２年１２月策定の国のグリーン成長戦略では、これまで経済成長の制約やコストとされてきた地球温暖化への対応を成長の機会と捉え、経済と環境の好循環を図ることとしています。
　温暖化対策に向けたカーボンニュートラルの達成には、再生可能エネルギーや水素を活用した電力の脱炭素化、運輸部門での電動化、バイオ燃料、水素燃料の利用、業務・家庭部門での水素化、蓄電池の活用などが挙げられ、今後拡大する産業として水素産業、自動車・蓄電池産業、運輸関連産業、住宅産業、半導体・情報通信産業などを位置づけています。
　この戦略により、本市の基幹産業である自動車関連の製造業では、自動車の水素利用や電動化に対応した製品への転換、再生可能エネルギーの活用などによる生産工程の脱炭素化などが進むと捉えています。
　以上です。
○議長（太田博康）　水野議員。
○２２番（水野博史）　日本では、平成２９年、世界初の水素に関する国家戦略も策定し、将来的なコスト目標を設定するなど、水素社会実現に向けた取組を推進してきました。
　最近の話題では、令和２年１０月に完成したオーストラリアにある褐炭ガス化施設から液化水素を神戸市にある基地まで輸送する液化水素運搬船の実証実験を始めるニュースがありました。また、今年の５月２３日には富士スピードウェイで開催された２４時間耐久レースでガソリンの代わりに水素を燃やして走る水素エンジン車が初めてレースに参戦し完走いたしました。
　石炭から石油に代わったエネルギーも環境に優しい水素エネルギーに代わることが想像されますが、小項目２点目として、水素社会における国の動向と豊田市の取組についてお伺いします。
○議長（太田博康）　辻企画政策部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　資源エネルギー庁は、水素を２０５０年カーボンニュートラル実現に向けた鍵として位置づけ、水素基本戦略、水素・燃料電池戦略ロードマップに基づいて、需要の増加、技術開発、サプライチェーン構築等による低コスト化を図り、水素社会を実現していくこととしています。
　政府が現在検討している成長戦略案においても、水素産業は成長が期待される重点１４分野に位置づけられ、安価な輸送技術や大量需要の創出、燃料電池の技術開発を進め、コスト低減とサプライチェーンの安定化を実現するとしています。
　本市の取組としては、平成２２年度から燃料電池バスを全国で初めて営業路線で運行し、令和元年度には日本初の量販型燃料電池バスＳＯＲＡを中部地方で初めて導入、平成２６年度には全国に先駆けて、燃料電池自動車ＭＩＲＡＩを公用車として導入するとともに、市民、企業の購入補助を実施するなど、需要の創出も図ってまいりました。
　また、水素ステーションを平成２５年度にエコフルタウンに整備するなど、全国でいち早く水素社会を見据えたインフラ整備の推進にも力を入れ、令和２年度には、市内３箇所目となる水素ステーションがオープンされ、水素社会の実現に向けた取組を加速しています。
　令和３年２月には、民間事業者が令和２年１２月に設立した水素バリューチェーン推進協議会に加入しており、今後会員との連携事業を検討してまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　水野議員。
○２２番（水野博史）　オリンピックでも、大会を契機に水素社会の実現に向けて取り組んでいると聞いております。燃料電池バスはもちろんのこと、聖火台と聖火トーチにも史上初めて水素を活用しているとのことでした。
　次に、小項目３点目として、ＣＯ２排出量の動向とカーボンニュートラルの方向性について、ものづくりの中枢都市である本市は、平成１４年から連続して製造品出荷額が日本一であり、直近の確報値である平成３０年の数値は、その前年を上回る１４兆５,０００億円余になりました。一般的に考えれば、生産活動が活発化すればＣＯ２排出量は増加する傾向と思われますが、本市の産業部門におけるＣＯ２排出量はどのように推移し、また、産業界におけるカーボンニュートラルに向けた取組の方向性について、本市ではどのように捉えていくことが今後重要と考えているのかお伺いします。
○議長（太田博康）　西脇産業部長。
○産業部長（西脇委千弘）　本市の産業部門のＣＯ２排出量は、平成２４年度で約２０２万トン、平成３０年度は約１７０万トンであり、この間で約１６パーセント削減されています。
　製造品出荷額等が増加する一方で、ＣＯ２排出量が削減されたのは、生産工程や設備の見直し等による生産効率の向上のためと考えますが、２０５０年でのゼロカーボンシティを目指すにはさらなる取組が必要となります。
　今後、投資先や取引先の選定等でも、カーボンニュートラルの取組の重要性は高まると考えられ、市内中小企業に新事業への転換や生産工程、設備等の脱炭素化を効果的に支援し、競争力を維持することが重要と考えています。
　以上です。
○議長（太田博康）　水野議員。
○２２番（水野博史）　産業界ではカーボンニュートラルに向けての取組が今後重要なのが確認できました。未来に向けて今から何をしなければならないのか、考えて行動していく必要があります。
　次に、皆様の記憶に残っていると思いますが、令和元年９月９日に千葉市付近に上陸した台風１５号は、中心気圧９６０ヘクトパスカル、中心付近の最大風速４０メートル、最大瞬間風速６０メートルという猛烈な勢力のまま上陸いたしました。関東地方を中心に１９地点で最大瞬間風力の観測史上１位の記録を更新するなど、大雨による被害よりも暴風による被害が際立つ典型的な風台風でした。この台風により、千葉県内で鉄塔２塔が倒壊し、東京電力内で１,９９６本の電柱が折損や倒壊するなどの被害が起き、約９３万世帯が停電に見舞われました。この停電の全面復旧までに２週間以上を要する非常事態に陥るなど、まさか２１世紀の首都圏で、これほど長時間に及ぶ大規模停電が発生するとは誰もが思いも寄らぬことでした。
　そんな中、完全停電だった地域にこうこうと輝く道の駅がありました。全域で停電が発生し、町なかが真っ暗な中で地元産のガスを１００パーセント利用するガスコージェネレーション発電機を装備していた道の駅が千葉県睦沢町に希望の光を輝かせました。
　道の駅発電所として停電中フル稼働を続け、自宅のお風呂に入れない町民のために温浴施設のシャワーを無料開放したり、携帯電話の充電をするなど、利用者からは大変喜ばれました。このようにいつ起きるか分からない災害時に、本市の蓄積してきた技術や施策が活用できるのか、いま一度確認し、災害時のエネルギーの確保をどのように考えているのか、中項目２点目、災害時を見据えた分散型エネルギーの確保として、小項目７点で質問いたします。
　始めに、令和元年の夏に益富中学校で防災キャンプが行われました。地域や企業、大学の協力を得て、巨大地震の発災を想定し、生徒が避難所の設営や運営を学びました。そして、最後に体育館に設置された電灯にプラグインハイブリッド車、以下ＰＨＶとします、から給電活動を行い、光をともしました。薄暗い体育館が明るくなった姿に、生徒には安心感が生まれ、笑顔を見せていました。災害時に夜を迎えることは当たり前のように起こり、本市にある避難所が安全に運営するためにも電気の存在は欠かせません。
　そこで、小項目１点目として、避難所停電対策事業の考え方及び進捗状況について確認します。
○議長（太田博康）　松永地域振興部長。
○地域振興部長（松永浩行）　避難所停電対策事業は、地域の拠点である中学校の避難所を基本に、立地条件なども考慮して、中学校区２８箇所の避難所にプラグインハイブリッド車などから給電するための外部給電設備の整備を進めるものです。
　既に非常用発電設備が整備されておりました浄水中学校と旭支所の２箇所を含め、令和２年度までに２２箇所が整備済みとなっております。
　令和３年度につきましては、足助中学校始め、残り６箇所の避難所への整備を実施し、今年度中に当初計画していた全拠点施設への整備が完了する予定です。
　以上です。
○議長（太田博康）　水野議員。
○２２番（水野博史）　今年度中に拠点施設の整備が完了することが確認できました。しかし停電時に拠点施設に給電するにはＰＨＶが必要となります。豊田市では早い段階から次世代自動車の普及啓発を行い、環境に優しく、災害時の非常用電源として活用できるよう促進してきました。
　ただ、災害時の拠点施設にＰＨＶが届かなければ光がともせません。この課題を早急に整理しなくてならないと考えます。
　そこで、小項目２点目として、災害時のＳＡＫＵＲＡプロジェクトの取組についてお伺いします。
○議長（太田博康）　辻企画政策部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　災害による停電時には停電状況を把握し、迅速にＰＨＶなどの給電機能付の電動車を派遣することが必要であるため、令和３年４月に市の災害対策本部に停電対策班を立ち上げ、災害時の避難所への車両派遣の体制を整えました。
　さらに、より効率よく電動車の配車を行うために、ＳＡＫＵＲＡプロジェクトの一環として、トヨタ自動車との連携の下、スマートフォンのアプリを活用して、避難所と電動車をマッチングするシステムの開発、実証に取り組んでいます。
　コロナ禍により避難所を活用した実証実験が十分に行えない状況ではありますが、早期のシステムの実用化と、災害時の電動車の派遣体制の拡充に向けて、引き続き実証と訓練を重ねてまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　水野議員。
○２２番（水野博史）　災害時にＰＨＶが避難所にいち早く到着できる体制が構築できれば、一段と災害に強い地域になると思います。一般の家にあるＰＨＶにも情報が伝わり、災害時に協力していただけるような体制も構築していただきたいと思います。
　次に、多くの国や地域が競うように高い脱炭素目標を表明しています。目標達成に向けてドイツ、英国が２０３０年を期限としてガソリンやディーゼル車の新規販売を禁止するなど、電気自動車への転換を求めており、ＥＶシフトが一段と加速し始めました。
　日本の自動車業界も電動化の流れに沿って、トヨタ自動車も２０３０年にハイブリッド車や電気自動車など、電動車の世界販売台数を現状の４倍となる８００万台に引き上げる新たな目標を掲げました。
　注目すべき点は、二酸化炭素を全く出さない電気自動車や燃料電池車が２００万台、残り６００万台をガソリンとモーターを併用するハイブリッド車とＰＨＶとした点。ハイブリッド車を今後も電動車の主力と位置づけしました。現在の自動車登録数ではまだまだエンジン車が中心ですが、ハイブリッド車にも力を注いでいく点に注目し、小項目３点目、豊田市内の次世代自動車数の現状について確認いたします。
○議長（太田博康）　清水環境部長。
○環境部長（清水　章）　ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車などの令和元年度における市内の次世代自動車の新車登録台数は７,１９５台で、約３９パーセントを占めています。保有台数については６万６,８８４台で、約２８パーセントを占めており、内訳はハイブリッド車が約２７パーセント、電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車の合計が約１パーセントで、ほぼハイブリッド車が占めている状況です。
　また、保有割合の直近５年の推移では、平均約２ポイントずつ増加しております。
　なお、全国の次世代自動車の保有割合は約１４パーセントであり、本市は保有割合で比べると約２倍で多い状況となっています。
　以上です。
○議長（太田博康）　水野議員。
○２２番（水野博史）　次世代自動車の保有割合が増加し、本市が多いことが確認できました。新技術の燃料電池車でも課題となっておりますが、燃料をいつでも安心して給油することができる環境整備をしていかないことには、次世代自動車のさらなる普及につながっていかないと考えます。ＰＨＶは市場に出てから９年が経過し、販売台数も増加をしておりますが、小項目４点目として、今後の普及促進のためにも充電所の数が重要と考えます。
　そこで、豊田市内の充電インフラ整備がどのように進められているのか、お聞きします。
○議長（太田博康）　辻企画政策部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　平成２１年度に環境モデル都市の取組の一環として、太陽光充電施設２１基を市役所本庁舎や支所等の公共施設に設置いたしました。
　平成２５年度には、電気自動車、ＰＨＶの普及促進に向け、市内全域を１０キロメートルメッシュに区切り、各メッシュに１基以上の整備に加えて、幹線道路沿いの公共施設などに整備をする方針を策定いたしました。
　平成２６年度には、この整備方針に基づく整備を完了し、令和３年５月３１日現在、急速充電器１基を含む３３箇所４２基の公共施設充電ネットワークを構築し、市内では電動車が電欠を起こさない環境を整備しています。
　なお、愛知県の取りまとめによれば、民間を含めた豊田市全体の充電インフラの整備状況は、令和２年末時点で１９９基となっています。
　また、市が導入した充電設備は、多くの設備が更新時期を迎えており、令和３年度に更新を行う予定としています。
　以上です。
○議長（太田博康）　水野議員。
○２２番（水野博史）　施設整備の更新の時期を迎えていることもありますが、しっかりと整備のほうもやっていっていただきたいと思っています。
　今年度、ＳＡＫＵＲＡプロジェクトの一環として、災害時の在宅避難の電源確保を目指して３種類の外部給電装置設置補助金を創設しました。外部給電装置を普及させるためには、先ほどの答弁でありましたように、比較的保有台数が多いハイブリッド車を中心に設置を推進していくことが必要と思います。
　今回、３種類の補助制度の中で、ほかに例のない、既に販売された車を対象とした後付け外部給電装置設置費補助金があります。ＳＡＫＵＲＡプロジェクトを推進してきた豊田市ならではの取組だと思いますが、その一方で、市民には聞きなれない装置でもあり、後付け外部給電装置そのものを周知していくことが重要と考えます。
　そこで、小項目５点目として、後付け外部給電装置の機能と市民への啓発方法をどのようにしていくのか、お伺いいたします。
○議長（太田博康）　清水環境部長。
○環境部長（清水　章）　後付け外部給電装置は、次世代自動車から電力を家電製品に直接供給できる装置で、新車購入時に装備されていないハイブリッド車等に後付けで装着できることが特徴です。
　補助対象となる外部給電装置の機能は、自動車メーカーが搭載する車内コンセントと同等のＡＣ１００ボルト、最大１,５００ワットで電力を供給できるものです。
　市民への啓発方法としては、昨年、市が公用車２８台に率先導入した後付け外部給電装置を活用し、ＳＡＫＵＲＡプロジェクトの活動を通じて自動車販売店でのＰＲのほか、自治区の防災訓練や各種イベント時に装置のＰＲや活用方法を紹介してまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　水野議員。
○２２番（水野博史）　災害時にハイブリッド車が発電機となって、分散型エネルギーとして使用されるように広めていただきたいと思います。
　また、普及とセットで、停電時に設置した外部給電装置を市民がきちんと使えるように、ＳＡＫＵＲＡプロジェクトなどの活動を通じて継続的に市民にＰＲしていただきたいと思います。
　次に、家庭でのエネルギーについて考えていきます。
　日本の資源は、海外から輸入される石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料に大きく依存しています。そのためにも日本のエネルギー自給率を向上させようと再生可能エネルギー、以下、再エネとします、の普及を目指しています。
　現在、日本の発電電力量に占める再エネ比率は令和元年時点で１８パーセントと主要国と比べると低く、さらなる導入拡大が必要とされています。
　再エネ発電の普及、拡大により日本のエネルギー自給率が向上すると、化石燃料への依存度の低下につながり、燃料価格の乱高下に伴う電気料金の変動を抑えることも可能になると考えられています。
　再エネ普及促進のために、再エネで発電した電気を電力会社が一定期間固定価格で買い取ることを国が約束した制度をＦＩＴ制度と呼んでいますが、ＦＩＴ制度の売電価格が年々下がっていることは皆さんもご承知のことと思います。
　そして、早くから太陽光発電を取り入れた家庭では２０１９年１１月以降にＦＩＴの固定価格での売電が終了していきます。統計によれば、２０２３年までに１６５万戸、６７０万キロワットアワーがＦＩＴ対象外電源になり、家庭用太陽光が安価な金額で売電されていくことが考えられます。
　そこで、小項目６点目として、ＦＩＴ期間満了に伴う今後の家庭用太陽光発電の活用についてお伺いします。
○議長（太田博康）　清水部長。
○環境部長（清水　章）　ＦＩＴ期間満了に伴う家庭用太陽光発電の活用は、大きく分けて二つの選択肢があります。
　一つは、発電時は家庭の電力として使用し、使い切れない余剰電力をＦＩＴ制度の売電価格より安い価格で引き続き電力会社へ売電する方法です。
　もう一つは、蓄電池を併設して余剰電力を蓄電し、発電していない時間帯にも家庭の電力として使用する自家消費の方法です。
　太陽光発電の自家消費は、太陽光で発電した電力をできるだけ家庭で使用することで、家庭部門のＣＯ２削減に寄与するとともに、蓄電池を災害時の非常用電源として活用できることから、市としては自家消費の普及に取り組んでまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　水野議員。
○２２番（水野博史）　ＦＩＴ制度の期間満了後の選択肢では、答弁にあるように自家消費に移行していくことがよりベストと考えられますが、当時は太陽光発電を屋根に載せることが重要とされ、とにかく発電をすることに力が注がれました。今後、自家消費を推進していくためにも、蓄電池のない住宅に整備を促進していくことがより重要と考えます。本市がゼロカーボンシティを目指すためにも、また、災害時の電力供給の強靱化のためにも、家庭で発電している再エネを今まで以上に注視していかなければなりません。
　そこで、小項目７点目として、市場ではまだまだ高価格な蓄電池に対して、大胆かつ戦略的な方針で補助制度をさらに手厚く、思い切った施策に取り組んでいただくことを提言し、蓄電池の普及拡大に向けて、本市はどのように考えているのかお伺いします。
○議長（太田博康）　清水部長。
○環境部長（清水　章）　蓄電池の普及拡大に向けて、財政支援と意識啓発を両輪でさらに推進することが重要と考えています。
　財政支援としては、家庭用蓄電池設置補助制度のほか、太陽光発電、ＨＥＭＳ、蓄電池の３機器を備えた住宅に対して固定資産税を減免するスマートハウス減税に加え、今後は一括発注することで価格を抑える共同購入事業など、民間との連携を進め、蓄電池導入時における市民の費用負担の軽減に努めてまいります。
　また、ＦＩＴ期間満了間近の市民を対象にした卒ＦＩＴセミナーを、蓄電池の有用性をさらに訴求する内容に変更するなどにより意識啓発を図り、普及拡大につなげてまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　水野議員。
○２２番（水野博史）　ＦＩＴ制度期間満了を契機と捉え、さらなる普及拡大が推進できるよう、蓄電池の普及に向けて大胆に取り組んでいただきたい。
　次に、豊田市には、未来を見据えて豊田市が直面する課題を効率よく解決する実証実験の場として、豊田市つながる社会実証推進協議会が組織されています。
　目的に掲げているのは、市民生活の安全・安心の向上と、新産業の創出と産業の多角化、先進実証都市としての魅力向上を図り、持続可能な社会形成に貢献するとあります。さらには、ものづくり企業や団体のために相談支援や人材育成、新製品の開発支援などを展開している、ものづくり創造拠点ＳＥＮＴＡＮが整備されている本市には、未来にチャレンジする環境がそろっています。
　今後のキーワードとなる環境とエネルギーに対して本市のポテンシャルを今こそ生かし、本市が日本を牽引していく気概で取り組んでいく必要があります。
　そこで、中項目３点目、本市が牽引するエネルギー成長戦略として、小項目５点で質問してまいります。
　ＳＥＮＴＡＮでは、市内の中小企業の新製品、新技術の開発やスタートアップによる新たなビジネスモデルの構築に対して補助をしており、今年も９件の採択事業者を決定しました。６月には、ものづくりミライ塾第６期生の募集開始をしましたが、新産業を創出させるにも人材育成を行っているこのような取組はとても重要と思います。
　そこで、小項目１点目、官民連携による新産業の創出に向けて、ものづくり創造拠点ＳＥＮＴＡＮの取組をお伺いします。
○議長（太田博康）　西脇産業部長。
○産業部長（西脇委千弘）　ものづくり創造拠点ＳＥＮＴＡＮでは、新産業の創出に必要な企業の中核となるイノベーション人材の育成や新たなプレイヤーの発掘のため、社会に役立つ、今までにない大きなテーマを企画から製品開発までやり遂げ、商品創造力を鍛えるものづくりミライ塾を官民連携で実施しています。
　この活動で、既に新たな水素ガスの製造方法を発明して特許権を取得する成果も出ており、今後、活用先を広く募集し、活用されるよう促してまいります。
　また、新たなプレイヤーとなるスタートアップの誘引、誘発を目指し、活動場所としてのものづくり創造拠点の運営、ものづくり創造補助金による開発資金、新たなビジネスモデルの提案者と支援者とのマッチング機会の提供等の支援を行ってまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　水野議員。
○２２番（水野博史）　ものづくりミライ塾という人材育成事業から、水素社会の到来に向けた製品開発が行われ、豊田市として初となる特許権を取得した快挙はとてもすばらしいことと思います。未来の水素社会に役立つ商品化、事業化に結びつけてくれることを大いに期待したいと思います。
　そして、今後も産業部として発想の転換をし、カーボンニュートラルに向けた産業政策を積極的に進め、イノベーションを起こす企業等の挑戦を全力で応援することが重要と考えますので、ぜひ精いっぱい頑張っていただきたいと思います。
　２０１９年の東京モーターショーに、環境省によるコンセプトカーが出展されました。このコンセプトカーの製作はＮＣＶプロジェクトと言われ、セルロースナノファイバーを材料に自動車部材を製品化し、軽量化に成功しました。
　この素材は木材などの植物等を原料とし、軽量でありながら高い強度や弾力性を持つ次世代素材として様々な分野での活用が期待され、研究開発が進められています。現在中心となっているカーボンファイバーとは違い、植物由来のためリサイクルにも活用できる素材としても注目されています。
　そこで、小項目２点目として、森林が７割の本市においても植物由来の新素材の活用が次世代産業を構築する可能性があると考えますが、本市の強みでもある森林を生かした新素材の活用についてお伺いします。
○議長（太田博康）　西脇部長。
○産業部長（西脇委千弘）　愛知県では、セルロースナノファイバーの優れた特性に注目し、平成２８年度から３年間、産学官連携の知の拠点あいち重点研究プロジェクトで製品開発等の共同研究が行われ、現在、プロジェクト参加企業や地域の企業への技術移転が進められていると聞いています。
　一方、その実用化や市場拡大には課題もあり、現在、国の研究機関等で、コストの低減に向けた製造プロセスの開発、量産化のための利用技術の開発、長期利用のための信頼性向上等のプロジェクトが継続的に進んでいます。
　セルロースナノファイバーは、本市に豊富な森林の活用や企業の温暖化対策につながる新素材との認識から、特に各種研究の成果や最新の動向を注視してまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　水野議員。
○２２番（水野博史）　静岡県の富士市では、森林が多く、古くから製紙産業が地域の主要産業となっています。製紙産業が少しずつ停滞している中で、行政主導の下で地域コンソーシアムを立ち上げました。富士市の取組は、セルロースナノファイバーを始めとする新素材の研究、開発、実用化に向けた取組を支援し、関連産業の一大集積地を目指しております。
　セルロースナノファイバーは、切り捨て間伐材の地域資源の有効活用を通じて、地域産業の創出や森林吸収源確保による脱炭素化に貢献できる多様な可能性を秘めた次世代素材であることから、多くの森林を有する豊田市においても、新たな林産業の創出や関連産業の集積を図れる可能性があると私は思っています。
　一方で、本市では国土交通省にも取り上げられた未利用エネルギーを有効活用する取組として、豊田市駅前の再開発事業と連携して、らせんタイプ下水熱利用の民間事業者への供給を日本で初めて事業化しました。下水の水温は、大気に比べ年間を通じて温度が安定しており、この温度差エネルギーを空調や給湯に活用することで省エネ効果を発揮するものと聞いております。
　そして、平成２７年の下水道法の改正により、民間事業者が町なかの下水道管から採熱することが可能となりました。
　そこで、小項目３点目として、これまで未利用だったエネルギーの活用事例として行われている高齢者福祉施設での下水熱利用の成果と課題についてお伺いします。
○議長（太田博康）　杉本上下水道局長。
○上下水道局長（杉本尚久）　ＫｉＴＡＲＡの高齢者福祉施設では、給湯システムに下水熱を利用しています。平成３０年度から令和２年度の３年間における省エネ効果は、ガスボイラーと比較して１年間で約１５０万円の光熱費の削減と約１５トンのＣＯ２排出量の削減が確認でき、良好な結果が得られております。
　一方、下水熱利用はガスボイラーと比較して初期投資費が割高となることから、国の交付金を活用しても回収に１０年以上を要する場合もあるなど、費用面に課題があると考えております。
　今後は、下水熱利用技術の進展とコスト縮減が図られることを期待するとともに、本市においては、平成２７年度に下水熱の利用が可能な場所を示した、下水熱ポテンシャルマップを作成しておりますので、これを引き続きＰＲしていきます。
　以上です。
○議長（太田博康）　水野議員。
○２２番（水野博史）　未来にＣＯ２排出量の削減に対しての考え方が変化してくれば、未利用だったエネルギーの有効活用がより重要な取組へと変わっていくことも考えられます。今は費用面で課題はありますが、日本で初めての事業を誇りに思い、今後も次の事業へとつなげていただくことに期待しております。
　次に、豊田市のＰＲ動画、こんな豊田市知らなかったでは、散歩をしていた女性が空に飛び立ち、稲武地区面ノ木風力発電所の上空を空中散歩するシーンで始まります。３基の風車は国定公園内ということもあり、とても美しい映像となっていることが印象的でございます。風力発電は欧米諸外国で再エネの中心的役割を担い、日本でも平成１２年以降導入件数は急激に増加しています。変換効率が太陽光発電より、また、木質バイオマスに比べ高効率でエネルギーを電気に変換できると言われています。カーボンニュートラルには欠かせない存在になると考えられますが、小項目４点目として、平成１７年から中部電力へ売電が開始されている面ノ木風力発電所の稼働状況と未来の考えについてお伺いします。
○議長（太田博康）　松永地域振興部長。
○地域振興部長（松永浩行）　面ノ木風力発電所は、平成１７年２月の稼働開始から１６年余が経過し、その間電力の発電量は年平均約２４０万キロワットで安定した稼働状況となっています。
　ちなみに、令和２年度の実績では、発電量が約２３０万キロワットで４,６００万円余の売電収入を得ております。
　風力発電は二酸化炭素削減による地球温暖化防止に大きく寄与しており、電気事業者側も再生可能エネルギーを最大限受け入れていく構想があることから、発電施設の耐用年数や事業収支を考慮し、今後の事業展開の可能性について研究してまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　水野議員。
○２２番（水野博史）　今回の質問では、今まで本市が行ってきたエネルギー施策や実証を確認してきました。平成２１年に環境モデル都市として国から選定され、今日までエネルギーの地産地消モデルの構築のために次世代エネルギー社会システム実証として、市民・企業が、家庭・地域でエネルギーの地産地消に取り組みながら先進技術の開発や普及に努めてきました。
　しかしながら、時代の変化は私たちが考えるよりも急激に変化し、今まで以上に全庁が一丸となって２０５０年カーボンニュートラルに立ち向かっていく必要があります。中項目３の冒頭に話したように、本市には未来にチャレンジする様々な要素が備わっています。水素エネルギーや再エネ、そして新素材や新技術を活用し、これからの豊田市の未来戦略を構築していくべきと考えます。民間と力を合わせて、今まで蓄えた経験と実証から戦略的実装へつなげていくためにも、小項目５点目、豊田市つながる社会実証推進協議会と連携し、未来への戦略を本市から提案し、構築していく考えがあるのか質問します。
○議長（太田博康）　辻企画政策部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　豊田市つながる社会実証推進協議会では、資源、エネルギーの地産地消を解決すべき課題の一つとして位置づけ、これまで様々なエネルギーマネジメント実証に取り組んでまいりました。
　具体的な実証事業の一つであるバーチャルパワープラント実証では、天候等に発電量が左右される再生可能エネルギーの発電量に合わせて、利用者側が使用量を調整する仕組みを構築し、この実証を踏まえて、令和２年度から上下水道局では一部の送水場において、依頼に応じてポンプ稼働を一時停止することにより電力需給を調整しています。
　今後、再生可能エネルギーを最大限活用するためには、省エネの推進に加え、再生可能エネルギーなどの創エネ、蓄電池、電動車などの蓄エネの普及を加速化し、それらのエネルギーをマネジメントする仕組みを実装化する必要があると考えています。
　そのため、エネルギーマネジメントを推進するための取組を、豊田市つながる社会実証推進協議会のメンバーに提案し、官民連携により様々な実証実験に挑戦し、他に先駆けて先進的な取組の実装化を目指してまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　水野議員。
○２２番（水野博史）　今や製造業が盛んな中部地方、大企業だけでなく、中小企業でもＣＯ２排出量削減の取組を加速させ、毎日のように新聞等で取り上げられています。本市での実証と豊田市の企業全体の努力により、私は、日本で一番早くゼロカーボンシティ達成都市になりましたと報告をする姿が見られることを信じています。脱炭素社会実現に向けては、今後の１０年がより重要と思いますので、ぜひ大胆に戦略を立て、貴重なエネルギーを最適利用していただくこと、そして、しっかりとした体制構築に期待し、全ての質問を終わります。
○議長（太田博康）　以上で２２番、水野博史議員の質問を終わります。

○議長（太田博康）　暫時休憩します。再開は午後１時とします。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　休憩　午前１１時５４分
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　再開　午後　１時００分
○議長（太田博康）　休憩前に引き続き会議を開きます。
　２３番、岩田　淳議員。
○２３番（岩田　淳）　自民クラブ議員団の岩田　淳でございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、大きくは１項目について、提言を含め質問へと入らせていただきます。
　現在、国においては、第２０４回通常国会が１５０日間の予定で行われており、今回の質問の骨子である特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律、いわゆる流域治水関連法が令和３年２月２日に閣議決定され、与野党の全会一致で衆議院本会議において可決、その後、参議院においても通過し、本法案においては令和３年５月１０日に公布がされました。
　本関連法は、将来の気候変動を踏まえ、全国で策定された流域治水プロジェクトを速やかに実施することが目的とされ、ここに掲げる対策を進めるがための法的枠組みを始めとした国の定める法律でございます。
　これらに関連する法律は、特定都市河川浸水被害対策法、河川法、下水道法を始め、都市計画法、土砂災害防止法、また、防災のための集団移転特別措置法などを含め、何と９本もの法律が束ねられ、流域治水関連法として改正されることとなったわけであります
　そこで、本関連法施行後は流域治水という面整備への政策転換が大きく進められ、河川管理者の取組がより一層加速し、集水域から氾濫域にわたる流域のあらゆる関係者が共同する流域治水の推進に向けた計画や体制が強化されることとなり、具体的には氾濫を防ぐための既存ダムを活用した事前放流や雨水貯留浸透対策等が充実され、加えて防災集団移転促進事業の要件が拡充されたことから、危険エリアからの移転を事前に促す政策など、被害対象を減少させるための対策等が講じられることとなったわけであります。
　現在、公布から６か月以内の施行を目指し、これによりこれまでの防災・減災の観点、いわゆる災害対策への考え方が大きく変わり、防災まちづくりとしての新たな政策判断が必要であると私自身は捉えており、今回の法律改正がどのようなもので、そして、どのように本市が捉え、また政策として進めていかれるのか。
　そこで大項目は１点、流域治水関連法に伴う豊田市防災まちづくりとし、本市の取り組む姿勢及び見解、方向性等を趣旨に、以下中項目は３点として問うものでございます。
　さて、昨日まで行われたＧ７サミットにおいて、菅総理は記者団へ対し、今回の主要７か国の首脳会議では、新型コロナ対策、気候変動、経済、地域情勢といった重要な課題において、普遍的価値を共有するＧ７のリーダーと率直な議論を進め、その中で日本の立場を説明し、サミットの議論に貢献すると述べられたように、気候変動への問題は世界的な大きな重要課題としても取り上げられました。
　また国内においても、近年の気候変動の影響により全国各地で豪雨災害が激甚化、頻発化していることはご存じのとおりでございます。
　令和元年１０月に発生した東日本台風では、東日本と東北の広い範囲に記録的な豪雨をもたらし、死者９０名、行方不明者９名、住宅の全半壊等４,００８棟のほか、長野県の千曲川が氾濫した影響で新幹線車両基地が水没するなどの被害をもたらし、昨年発生した７月豪雨では死者８２名、住宅被害においては約１万８,０００棟など、極めて甚大な被害が発生し、本市においても多くの被害をもたらしたのであります。
　そこで、国土交通省では、抜本的かつ総合的な対策の検討が進められ、令和２年９月、総力戦で挑む防災減災プロジェクトが示され、流域治水への転換、気候変動の影響を反映した治水計画等への見直しが掲げられ、分野横断的な検討が重要視され、現在、進められているところでございます。縦割り行政の弊害等が市民の命を左右することなく、本市においても各部局が密に連携をとり、理解を示す、そして、政策として実行することでより市民への安全・安心な暮らしの確保へとつながるものと考えるのであります。
　現在、気候変動の影響を反映した治水計画等への見直しが掲げられているさなか、今後は世の中の気候変動等によって降雨量の増大等が見込まれることから、さらなる一歩踏み込んだ対応が求められるのではないでしょうか。
　そこで、これらを念頭に置き、中項目１では将来の気候変動を踏まえた水災害対策とし、国の動向を踏まえ、主に降雨量の増大による本市の取組及び見解を小項目は４点で伺ってまいります。
　まず、小項目１では、気温が上昇した際の河川整備等の見解、これらを踏まえ、将来の気候変動に対し、治水計画に関する国の動向、こちらはどのようか、お聞かせを願います。
○議長（太田博康）　早川建設部長。
○建設部長（早川　匡）　国におきましては、気候変動に適応した治水計画への見直しの検討を本格的に始めています。
　具体的には、カーボンニュートラルへの取組により、世界の平均気温の上昇が２度程度に抑え込まれるとしたシナリオに基づき、気候変動による今後の降雨量の増加がこれまでの１.１倍になると設定し、気候変動を考慮した河川整備基本方針の見直しが一級河川の水系ごとに進められます。
　令和３年度より奈良県など３県を流域とする一級河川新宮川や、宮崎県など３県を流域とする一級河川五ヶ瀬川など、過去たびたび被災した２水系にて審議を始めました。
　今後も水系ごとに将来的な気候変動の影響を加味した計画への見直しを行い、治水対策の強化を進める方針としています。
　以上です。
○議長（太田博康）　岩田議員。
○２３番（岩田　淳）　まずは国の動向を確認させていただきました。
　それでは、その国の考えの下、本市に置き換えた場合、気候変動に伴い、これまでの対策及び取組に加えてさらなる対応が求められると考えるわけでございます。
　そこで、小項目２では、気候変動を踏まえた、本市の見解とし、治水対策への反映、これらをどのように捉えておられるか、お聞かせを願います。
○議長（太田博康）　早川部長。
○建設部長（早川　匡）　各地で記録的な豪雨が発生している状況におきまして、河川施設の能力を超過する洪水が発生する可能性が高まっていること、また、将来的に気候変動がさらに顕在化していくことなどを踏まえ、本市の治水対策としましてはハード整備だけでなく、ソフト対策と一体となった取組を進めていく必要があると考えています。
　以上です。
○議長（太田博康）　岩田議員。
○２３番（岩田　淳）　本市においても国と同様、気候変動を見込んだ対応が求められ、それらに適応した治水対策の見直しは必要であるとの見解でございます。
　そこで、本市においてこの治水対策を見直すに当たり、これまで取り組んできた豊田市総合雨水対策マスタープラン、こちらにも大きく関わるわけであります。
　そこで、このあたりの見直しの考え方を含め、小項目３では、本市の河川における具体的な対応策、こちらについての見解をお願いします。
○議長（太田博康）　早川部長。
○建設部長（早川　匡）　具体的な対応策としましては、気候変動により増加する降雨量の設定など、治水対策の見直しに必要な情報が提供され次第、本市における雨水対策の方針と取組内容を示した豊田市総合雨水対策マスタープランにつきまして、気候変動を踏まえた内容へと改定を行ってまいります。
　また、今後事業化を予定している市管理河川を先進モデルとして、気候変動の影響を踏まえた計画策定に取り組んでまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　岩田議員。
○２３番（岩田　淳）　気候変動を踏まえた豊田市総合雨水対策マスタープラン、こちらの改定を進められ、モデル河川として今後の対応を検討していかれるとの方向性をいただき、建設部が担う河川への対応及び考え方は理解をさせていただきました。
　では、次に、降雨量の増大による雨水排水、こちらにおいては上下水道局としても大変重要な役割を担い、建設部と連携した対応がより求められるわけでございます。
　そこで、小項目４では、上下水道局として下水道整備における本市の対応策及び方向性をお聞かせ願います。
○議長（太田博康）　杉本上下水道局長。
○上下水道局長（杉本尚久）　本市の都市浸水対策においても、気候変動の影響による対策の強化は必要であり、豊田市総合雨水マスタープランの改定に合わせて関連する計画を見直していきます。
　以上です。
○議長（太田博康）　岩田議員。
○２３番（岩田　淳）　両部局ともがそれぞれ気候変動を踏まえ、関連する計画の見直しを図り、連携した対策を進めていかれる、このことを確認したところで流域治水関連法に伴う具体的な取組についてお聞きをしてまいります。
　さて、国においては本年３月、全国全ての一級河川１０９水系及び二級河川の１２水系において、流域治水プロジェクトが策定され、全国一斉に公表がされました。これらの実効性を高めるために今回の流域治水関連法を成立させ、公布がされたのであります。
　本市を縦断する一級河川矢作川と二級河川である境川及び猿渡川においても、本プロジェクトが策定され、流域全体を俯瞰し、短期、中長期的に事業が進められるにおいて、国や県、本市などあらゆる関係者が早急に実施すべきハード及びソフトが一体となった取組が既に明らかとされたわけでございます。
　そこで、事業を進める上で、今回の法律改正に伴う関連する部局の見解を始め、本市の取組及び具体的な方向性等について、中項目２では、矢作川水系流域治水プロジェクトとし、小項目は９点でございます。
　まず、小項目１では、詳細へ入る前に大局的な視点から伺わせていただきます。
　現在、国会において可決及び成立したこの改正特定河川浸水被害対策法、いわゆる流域治水関連法に伴うこれら９本を束ねた法律改正に対し、関連する建設部として、国の動向及び重要性、これらをどのように捉えておられるのか、お聞かせを願います。
○議長（太田博康）　早川部長。
○建設部長（早川　匡）　全国各地の河川でボトルネックが氾濫原因となり、甚大な被害が発生している現状におきまして、矢作川に鵜の首狭窄部を抱える本市の市街地では、ますます災害リスクが高まっており、早急に事前防災対策を講じ、治水安全度の向上を図っていく必要があると考えています。
　今回の流域治水への転換とその取組の実効性を高める法律改正は、施設整備によるハード対策だけでなく、土地利用対策などソフト対策を拡充したことにより、気候変動の顕在化が進むと想定される中、市民の生命と財産を守る事前防災対策をさらに加速化するものと大いに期待しています。
　以上です。
○議長（太田博康）　岩田議員。
○２３番（岩田　淳）　お答えいただいたとおり、私も事前の防災対策がさらに加速されることを大いに期待しているうちの一人でございます。
　では、次に、今回の法律改正に伴う本市の取組方針、これらを趣旨とし、小項目は２でございます。
　現在、国土交通省が主導となり、総力戦で挑む防災・減災プロジェクトが進められるさなか、今後様々な施策が実行されるわけでございます。その一つがお答えいただいた流域治水への転換でございます。私は市民の命と暮らしを守るためにはこの流域治水に取り組むことは大変重要と捉えております。本市においても重点施策として推し進めるべきと思うところでもございます。
　そこで、この項では、治水対策、こちらの現状をお示しいただき、法改正に伴う取組方針としての本市の見解をお聞かせください。
○議長（太田博康）　早川部長。
○建設部長（早川　匡）　本市の境川及び猿渡川流域では、平成２４年４月に全国に先駆けて当時の特定都市河川浸水被害対策法に基づき特定都市河川流域に指定され、河川整備や雨水流出抑制施設整備などを計画的に進めるとともに、一定の開発に対し、雨水流出対策を義務化するなど、官民一体となった治水対策を着実に実施してまいりました。
　流域治水を推進する関連法の改正により、矢作川流域におきましても特定都市河川流域の指定が可能となり、また、まちづくりに関連する新たな制度の充実もなされたことから、改正された各法律を所管する部署と密接に連携を図りながら、重要施策である流域治水対策に全庁的に取り組んでまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　岩田議員。
○２３番（岩田　淳）　治水対策の現状を示されました。この法改正に伴い、全庁的に取り組むことを重要施策として捉え、所管する関連部局との密接な連携が必要であるとの方針でございます。
　では、ここで洪水対策として関連する地域振興部、こちらの立場からの見解をお聞きしてまいります。
　現在、国においては国土交通省を中心に各省庁にまたがり分野横断的な仕組みが構築され、これを受け本市を含む基礎自治体では様々な部局が連携し、実効性のある災害対策を行う必要があると考えるのであります。
　そこで、今回の法改正における洪水対策においては、水防法、土砂災害防止法、河川法等にまたがり、被害の軽減の対策の一つとして洪水等に対応したハザードマップ、こちらにおける方向性が示されております。
　ここで所管する地域振興部の立場からお聞きするのは、本法律改正における重要性、これらの見解をいただいた上で小項目３では、洪水ハザードマップ作成における法改正への見解として伺います。
○議長（太田博康）　松永地域振興部長。
○地域振興部長（松永浩行）　近年は、線状降水帯による突発的な豪雨や台風の大型化などにより、想定を超える被害が発生していることから、本市においても、こうした環境の変化に対応した新たな洪水ハザードマップの作成が急務であると考えておりました。
　今回の法改正では、このような規模の洪水等に対応したハザードマップの作成を中小河川等まで拡大し、リスク情報の空白域を解消するための見直しが行われており、非常に重要な法改正であると認識しております。
　そこで、本市においては、今回の法改正の動向を見据え、関係部署が連携して対応する必要があるものと考え、法改正に先んじて、中小河川の浸水想定区域を含む想定最大規模の洪水ハザードマップを１７年ぶりに作成し、この４月に市民の皆様に全戸配布しております。
　以上です。
○議長（太田博康）　岩田議員。
○２３番（岩田　淳）　地域振興部としても、今回の法改正は大変重要と捉えておられるようです。関係各位が連携して対応することが必要であるとのことでもあります。本市の部局を超えた連携がここにおいてもより必要性を増したものと理解させていただきました。さらなる連携を図り、災害へのリスク回避への施策をより進めていかれることをお願い申し上げまして、では、具体的に矢作川水系流域治水プロジェクトに関して伺ってまいります。
　小項目４では、まず、本プロジェクトが策定に至った経緯と概要をお示しください。
○議長（太田博康）　早川部長。
○建設部長（早川　匡）　策定の経緯としましては、令和２年８月に国土交通省を始め、愛知県や流域市町、また中部電力株式会社など矢作川の関係者で構成する矢作川流域治水協議会が設立され、各構成員が緊急的に取り組むべき事前防災対策を議論し、令和３年３月に治水対策の全体像となる矢作川水系流域治水プロジェクトが策定されました。
　プロジェクトの概要としましては、大きく三つの対策を掲げています。
　一つ目は、主にハード整備を実施する、氾濫をできるだけ防ぐ減らすための対策、二つ目は、安全なまちづくりに向けた取組を実施する、被害対象を減少させるための対策、三つ目は、防災情報の提供を強化する取組を実施する、被害の軽減、早期復旧復興のための対策です。
　以上の三つの対策を流域の関係者が連携し、総合的に取り組んでまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　岩田議員。
○２３番（岩田　淳）　続いては、小項目５でございます。
　この項では、具体的な考え方及び関連する他部門との連携の必要性を趣旨にお聞きしてまいります。
　流域治水関連法案の改正に伴い、これまでの防災及び減災の観点が大きく変わろうとする中、本市における各関連部局が主体的、いわゆる責任を持ってこの治水対策へ取り組むことが必要とされ、温度差があっては国の示す真の防災・減災にはつながらないと感じております。
　そこで、本項では、河川における本市の具体的な取組、これらをいただき、併せて他部門との連携に対する見解をお聞かせ願います。
○議長（太田博康）　早川部長。
○建設部長（早川　匡）　河川における具体的な取組としましては、国による鵜の首地区水位低下対策事業や矢作ダム再生事業、また、愛知県による矢作川河道掘削事業などの支援を始め、市で実施する準用河川の改修や湛水区域の保全など、氾濫をできるだけ防ぐ、減らすための対策となるハード整備を主に実施してまいります。
　流域治水プロジェクトは、河川で取り組む対策のほか、ソフト対策と合わせ総合的に取り組むことが必要であります。このため、令和２年１１月に庁内関係部局で構成する検討部会を立ち上げ、プロジェクトの策定を進めてまいりました。
　今後、プロジェクトが実施される段階となり、より高い実効性が求められること、また、気候変動への適応や特定都市河川流域への指定などの検討を進めていく必要があることなどから、今まで以上の連携強化が肝要であると考えています。
　以上です。
○議長（太田博康）　岩田議員。
○２３番（岩田　淳）　河川における具体的な取組をいただき、他部門との連携において肝要ということでございますので、この言葉の意味を踏まえ、さらなる連携を図っていただくことを期待するわけでございます。
　そこで、本プロジェクトでは、お答えいただいた河川法に伴う対策を担う建設部と下水道法に伴う雨水等による浸水被害を防ぐため、上下水道局との意思疎通及び連携がより求められ、ハード整備における具体的な浸水対策が必要となってくるため、小項目６では、法改正に伴う下水道整備における位置づけ、これらを趣旨に、上下水道局の立場から、本法案に対する重要性への見解、こちらを交え、下水道整備の具体的な取組をお聞かせ願います。
○議長（太田博康）　杉本局長。
○上下水道局長（杉本尚久）　今回の法改正により、内水氾濫による浸水被害を防ぐための対策をさらに強化することが求められ、流域治水の取組の中で下水道整備は重要な役割を担うこととなりました。
　具体的な取組として、市街地の浸水被害を防ぐべき目標降雨を事業計画に位置づけ、浸水対策を進めてまいります。
　また、河川から市街地への逆流を確実に防止するため、市内にある下水道の樋門について、河川管理者と連携して操作ルールの見直しを行ってまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　岩田議員。
○２３番（岩田　淳）　続きましては、防災・減災への取組を進める上で、連動するまちづくりという観点からでございます。
　頻発、激甚化する自然災害に対応した豊田市の防災まちづくりに向け、災害ハザードエリアにおける新規立地の抑制等、総合的政策判断と対策を講じることが喫緊の課題となってまいります。
　これにより、本市において防災まちづくりを実施していくことで都市の魅力がさらに向上すると考え、大変意義深いものと感じております。
　本プロジェクトでは多くの施策が実施される中、これらは短期間で完了するものではなく、つまりまちづくりと合わせた長期的視点による政策を示し、事業を進めていくことが必要であるものと考えるのであります。
　そこで、小項目７では、防災まちづくりという観点から、今回法改正された都市計画法、こちらに伴う本市の見解及び対応を所管する企画政策部へお尋ねいたします。
○議長（太田博康）　辻企画政策部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　流域治水関連法の一つである都市計画法の改正では、地区計画のメニューとして、浸水エリアにおける居室の床面の高さや敷地のかさ上げ等が追加され、また、災害時の避難先となる拠点施設を都市施設として整備することが可能となっており、本市においても必要に応じて活用を考えてまいります。
　また、防災まちづくりに関連する取組として、令和２年６月に都市再生特別措置法が改正され、立地適正化計画において、居住の安全等の確保に向けた防災・減災対策を示す防災指針の作成が位置づけられました。本市は令和３年度から防災指針の検討を進めており、立地適正化計画の対象となる居住誘導区域における災害リスク等の分析、評価を行い、防災・減災に向けた整備及び避難誘導等について取りまとめていくこととしています。
　以上です。
○議長（太田博康）　岩田議員。
○２３番（岩田　淳）　言われるように、今回の法改正に伴い、災害時の避難先となる拠点施設を都市施設としての整備が可能となりました。必要に応じて活用を考えていただき、関連する部局と密に連携をした防災まちづくりに向けた政策を進めていただくことを提言申し上げておきます。
　では、次に、防災まちづくりという観点からはもう一点、現在本市が肝煎りで進める中央公園第２期整備事業に関してでございます。
　平成１２年９月、戦後最大級と言われる東海豪雨が本市を襲い、愛知県内においては２１の市町村に災害救助法が適用されました。我々はこの災害から多くのことを学び、決して忘れることなく後世へと伝えていかねばならない、その使命を担っていることは重々承知であると存じます。
　そこで、本プロジェクトでは、東海豪雨と同規模の洪水を安全に流し、矢作川流域における浸水の軽減を図るとされております。小項目８としてお聞きするのは、流域治水を踏まえた本市が現在進める中央公園第２期整備事業、こちらの進め方を伺います。
○議長（太田博康）　早川部長。
○建設部長（早川　匡）　中央公園第２期整備の区域は、低地という地形の特性から水が集まりやすく、東海豪雨を始め、幾度となく湛水している区域です。
　第２期整備につきましては、令和元年度に地域住民などの意見を踏まえた公園整備の方針を示したところでありますが、その後、治水政策上、流域治水へと大きな転換が図られました。事業区域が湛水しやすいという特性は大雨時に周辺地域の雨水を貯留させることで、矢作川への負担を減らすことができ、沿川市街地の浸水被害の軽減につながるため、この湛水特性の保全を流域治水プロジェクトに位置づけました。このため本事業では、大雨時は湛水を許容し、流域治水の対策の効果を最大限に発揮しつつ、平時は市民活動の場となる空間整備を図っていく必要があります。令和３年度より一部区域において用地買収に着手する予定ですが、併せて流域治水と調和した公園の整備方針についてさらに検討を進めてまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　岩田議員。
○２３番（岩田　淳）　中央公園第２期整備事業は、今年度より具体的に事業が進められますが、関連する部局においては、流域治水における施策と市民の憩いとなるまちづくりという視点の両面を合わせた豊田市のシンボルとなる公園として事業を進めていただくことをお願い申し上げまして、この項最後の質問へと入らせていただきます。
　本プロジェクトを進めるにおいては、今後法改正に伴い、国、県はもとより、本市においても関連部局を始め、関係者が多岐にわたるため、多くの課題も見受けられます。
　また、現在、矢作川は国の特定都市河川の指定がされていないため、これが指定されることで中央公園の第２期整備事業を始め、この後お聞きする防災集団移転の特別措置法改正における対象区域の拡充、こちらにもつながり、集団移転促進事業にも大きな影響を与えてまいります。
　そこで、一層の災害対策へとつなげるためには、今回の法改正に伴い、矢作川が特定都市河川流域への指定が可能となったため、その指定に向け、国への働きかけをお願いするわけでございます。
　小項目９では、このあたりを踏まえ、本プロジェクトを進める上での課題認識と課題解決に向けた取組についての見解をお聞かせください。
○議長（太田博康）　早川部長。
○建設部長（早川　匡）　流域治水プロジェクトの推進には大きな事業費が必要となることや市民への負担を強いる取組もあることから、必要な予算の確保とともに、市民と一体となり、治水対策に取り組む意識づくりが今後の課題と考えています。
　また、気候変動を踏まえた取組を着実に推進していくためには、今後矢作川が特定都市河川流域として指定される必要があります。
　このためさらなる特定財源の確保に向け、プロジェクトに掲げる本市独自の取組に合わせた新たな交付金制度の創設を国に強く要望するとともに、市民との円滑な意思疎通による理解活動を継続的に実施してまいります。
　また、特定都市河川流域への指定に向け、国に働きかけるとともに、流域市町との意見交換も積極的に行ってまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　岩田議員。
○２３番（岩田　淳）　矢作川を特定都市河川への指定に向けて流域市町との意見交換を積極的に行いながら国へと働きかけをしていかれる、大変前向きで心強い考えをお示しいただきました。
　本市が流域治水対策を進めるにおいて、行政間や関連部局における弊害や支障によって市民の生命や財産に影響を及ぼすことは寛容ではございません。国への本市への取組に合わせた新たな交付金制度の創設への要望及び財政支援等を始め、様々な課題への解決に向けてあらゆる関係者と連携を密にしていただき、ご対応をいただくことを提言するわけでございます。
　加えて、そのための政策実現に向けては、二元代表制の考えの下において、我々自民クラブ議員団としても執行部の皆様との両輪のバランス、こちらを考慮し、市民のための政治、地域のための政策実現を提言し、目指してまいることをお伝え申し上げ、次の項へ入らせていただきます。
　続いては、法改正に伴い、防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律、こちらも改正される運びとなり、事業主体の追加を始め、移転促進区域の要件の拡充がされることとなりました。
　この防災集団移転促進事業は昭和４７年の７月に発生した４７災害豪雨を機に、制度が創設されて以来、これまで土砂災害や洪水、津波、火山被害などによる被災地において約３万９,０００戸の住居が移転し、およそ１万４,０００戸分の住宅団地が整備され、特に東日本大震災の被災地においては甚大な被害を受けた市街地や集落のいわゆる高台移転にも数多く活用され、復興の一翼を担ってまいりました。
　他方で、近年においては、平成３０年７月豪雨や令和元年の東日本台風等において、水防法に基づく浸水想定区域や土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域など、災害の危険性が明示されている区域、いわゆる災害ハザードエリアにおいては人命につながるような災害が多発していることから、事前の防災・減災対策の重要性が改めて浮き彫りとなったわけであります。
　こうした近年の災害の激甚化、頻発化を踏まえ、災害危険区域からの事前の住居移転が有効な手段であると国は示しました。この防災集団移転促進事業をより使いやすくするため、新聞にも大きく取り上げられ、ご存じのとおり、令和２年度にも制度改正が行われたのであります。
　そこで、国においては今後、災害後の集団移転のみならず、災害前の集団移転を積極的に進めていくため、昨年の制度改正時には主に実務を担う各市町村の担当者向けへ本事業の具体的な進め方として運用ガイダンスとして取りまとめがされており、関連執行部においては既に把握しておると存じます。事業の検討に当たっては積極的に国土交通省の都市局まで相談、協議いただくよう記載されておりましたので、この言葉に甘えさせていただき、私自身も事前に国や愛知県の方へも調査研究を重ねた上で本質問に臨むわけでございます。
　そこで、調査の結果、本市においても災害前の集団移転を積極的に促すべきと捉え、中項目３では、防災集団移転促進事業の促進とし、以下小項目は５点で伺ってまいります。
　まず、小項目１では、流域治水における防災集団移転の特別措置の法改正に伴い、関連する建設部としての意見を伺ってまいります。
　今回の法改正により、危険なエリアから安全なエリアへの事前の移転をより促進するために、本事業に伴う特別措置法の改定も行われ、これまでの対象区域は災害が発生した区域及び災害危険区域だったものに加えて、浸水被害防止区域、地滑り防止区域及び急傾斜地崩壊危険区域、土砂災害特別警戒区域と四つの区域が拡充され、事業の担い手には新たにＵＲが加えられ、事業計画策定から各都道府県が関わることも可能となりました。
　そこで、矢作川流域において、本事業の新たに加わった浸水被害防止区域として実施するためには、先ほどの質問でも触れた特定都市河川流域に指定されることがここで必要となるわけでございます。事前の災害対策へとつなげるがためにも改めてこの矢作川を特定都市河川へと指定していただく、この国への働きかけをお願いするわけでございます。
　そこで、この項では、指定された場合、流域治水の観点からこの防災集団移転の促進事業がどのような対策として位置づけられるのか、流域治水における位置づけ及び本法律改正に伴う本市の見解としてお聞かせを願います。
○議長（太田博康）　早川部長。
○建設部長（早川　匡）　特定都市河川流域に指定された場合は、災害リスクの高い区域を対象に法定計画である流域水害対策計画の方針に基づき、浸水被害防止区域への指定が可能となります。
　指定された区域内の建築行為につきましては、洪水に対し安全な構造を有しているかなどの事前確認が必要となり、住宅など施設の安全性を確保する対策の強化が図られます。
　今回の防災集団移転促進事業に関する法律の改正で対象エリアが浸水被害防止区域にも拡充されたことにより、本事業は流域治水における被害対象を減少させるための対策として位置づけられ、治水対策の選択肢が広がったと認識しています。
　以上です。
○議長（太田博康）　岩田議員。
○２３番（岩田　淳）　では、次に、小項目２では、特定都市河川浸水被害対策法に伴う防災集団移転促進事業への有効性という視点からお聞きをしてまいります。
　これまでご説明申し上げたとおり、国においては災害前の集団移転をより積極的に進めるよう、本事業を各市町村へと促している状況下において、河川管理を担う建設部として、本事業における有効性、これらをどのように捉えておられるのか、見解をお示しください。
○議長（太田博康）　早川部長。
○建設部長（早川　匡）　防災集団移転促進事業は、区域内住民の合意形成や移転先の確保など整理すべき条件が多い事業と認識していますが、あらゆる関係者が協働して防災・減災対策に取り組む流域治水の観点からも事前防災対策として有効な手法の一つとして考えています。
　以上です。
○議長（太田博康）　岩田議員。
○２３番（岩田　淳）　本事業に対して、建設部の立場においては、災害から市民を守るための有効な手立ての一つであると見解を示されました。
　また、特定都市河川の指定を受けることで、市内における矢作川流域においても多くの危険エリアが対象となることから、国庫補助金等を有効に活用し事業を進めるにおいては、対象区域に住んでみえる方々の理解が得られるか等の様々な課題がございますが、防災、まちづくりという観点において、市民及び本市が政策判断する一つの選択肢として可能となる手段は、本市としては得ておくべきだということをお伝え申し上げまして次の質問へと入らせていただきます。
　さて、本質問を通じて、分野的横断、いわゆる各部局における見解の一致及び連携が必要である、このことはこれまで何度も述べてまいりました。
　そこで、この項では、本市の中心的な政策立案を担い、本事業を進める上で判断される立場でもある企画政策部へこれより伺わせていただきます。
　小項目３では、今回の法改正に伴う防災集団移転促進事業への位置づけ及び重要性、これらを企画政策部としてどのように捉えておられるのかをお聞かせください。
○議長（太田博康）　辻企画政策部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　防災集団移転促進事業は、災害危険箇所から住民の集団移転を促進するもので、対象区域は自然災害が発生した地域や災害危険区域に加えて、被災前かつ治水事業が未実施の場合は災害危険区域の指定がなくても、浸水被害防止区域、土砂災害特別警戒区域等の災害レッドゾーンも選定できることとなりました。
　災害レッドゾーンへの対応策としては、主に危険箇所の解消と危険区域からの移転がありますが、防災集団移転促進事業は、被災前の危険区域からの移転にも活用できることから、市民の安全な居住環境の確保において有効な手段の一つと捉えています。
　以上です。
○議長（太田博康）　岩田議員。
○２３番（岩田　淳）　企画政策部としても建設部同様、被災前の事前移転に適用できることから、市民の安全な居住環境確保に向け、有効な手段の一つとして捉えておられるとの考えでございます。
　では、続いて、小項目４では、本事業を進める上での財源措置に関してでございます。
　令和２年４月の法改正において、防災のための集団移転促進事業を進める上での国庫補助の対象が拡大されていることは既にご承知のとおりでございます。
　そこで、補助となる主な経費及び国の補助と地方財政措置についての割合等を含め、本事業の財源における見解をお聞かせ願います。
○議長（太田博康）　辻企画政策部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　国庫補助の対象となる主な経費には、地方自治体等の事業主体が要するものとして、移転先の用地取得及び整備費用や移転元の土地の買取り費用、事業計画の策定費用があります。また、移転を行う個人に関するものとしては、住宅ローンの利子相当額、引っ越し費用等が対象となります。
　国庫補助の補助率は４分の３で、併せて地方財政措置が適用されることにより、事業費の約９４パーセントを国が負担するものとされていますが、本市については、地方財政措置の交付対象外であるため、国の負担は７５パーセントとなります。
　なお、補助対象経費の一部には補助限度額が設定されおり、これらに基づいて補助額が決定されることになります。
　以上です。
○議長（太田博康）　岩田議員。
○２３番（岩田　淳）　ただいまお答えいただきましたように、本事業を進める上では、補助対象が拡大されたことから、国の補助金を活用することでより事業を進めやすくなるものと私は理解をしております。
　特に、法改正に伴う対象区域の拡充の大きな理由の一つとして、国においては本事業を促進することで危険エリアからの事前の災害対策を促し、国民の生命と財産を事前に守るという政治の根幹の考えの下、有効な手段として捉えている背景がございます。
　現実として自然災害の対象区域に住まれている方々が多く存在していることはご承知のとおりでございます。本事業は被災前及び対象の区域と認定されれば、移転の条件としては５戸以上かつ移転を考える住居の数の半数以上が対象とされ、国の補助金を活用し、また、地方財政の交付対象となった際には、合わせて約９４パーセントの補助事業として進めることができ、市民の安全・安心がそれも事前に確保されるという、極めて重要な防災政策として促すべきと考えるのであります。
　また、本事業を進める上で大きな課題となる地域コミュニティ、こちらも維持しつつ、防災の向上を図ることも重要視する、このことも今回明文化された政策であり、事業主体はこれまでの各市町村に加えて、都市再生機構も加えられ、住んでみえる方々の同意さえいただければ、事業を行わない理由は見当たらないわけであります。
　併せて現在、本市が大きな課題として抱える中山間地域等を始め、市内全域における自然災害や人口減少、地域コミュニティ維持及び活性化、定住施策への課題解決等にも大いにつながるのではないでしょうか。
　今回の一般質問において国土交通省を始め、愛知県の担当部局の方々には丁寧なご説明とご教授をいただきました。ここで心より感謝を申し上げる次第でございますが、そのご指導をいただく中で、まずは豊田市が事業を進めるという政策判断をし、意思表示の声を上げる、この第一声が事業化に向けての審議がされることとなり、対象区域の方々の理解を得ながら我々自民クラブ議員団の目指す地域のための政治により拍車がかかることへとつながるものと考えるのであります。
　そこで、本項最後の質問として、この防災集団移転促進事業を政策と示し、促進することを提言した上で、小項目５では、本項目の全体を通じ、総括的見解及び事業化に向けた考え方として、政策判断を担う企画政策部へ見解をお願いします。
○議長（太田博康）　辻部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　激甚化、頻発化する自然災害に備えて、市民の居住環境における安全・安心を確保することは優先的に取り組む事項と捉えています。災害に強いまちづくりに関する手法は、今回法改正された流域治水関連法案による事業等のハード整備だけでなく、ソフト対策も用意されています。
　特に、災害レッドゾーンへの対応については、地域の実情を踏まえ、最も有効な事業を展開する必要があることから、地域住民と話し合いながら適切な手法を選択し、安全・安心なまちづくりを進めていくことが重要と考えています。
　以上です。
○議長（太田博康）　岩田議員。
○２３番（岩田　淳）　災害レッドゾーンは年々対象区域が現代の自然災害によって拡大され、その対象区域に住まれている方々にとっては既に死活問題となっていることはご承知のとおりでございます。
　そこで、国は、こういった方々の声を聞き入れ、希望と光を今回の法律改正という形で応じていただけたものと感じております。事業を進めるにおいて、様々な課題も見受けられます。これらの課題をどう克服すれば市民の生命と財産を事前に守り、期待に応じることができるのか、この考えを関連部局が主体となって進めることで、執行権を持つ立場として明確な政策として示され、政治的判断をしていただくことを求めるわけでございます。
　今回の質問に臨むにおいて、本市が平成２４年７月に発刊された昭和４７年豪雨災害、あれから４０年これからも伝え継ぐための記念誌にも目を通させていただき、６６ページにも及ぶ当時の写真や記録が鮮明に残され、言葉を失いました。当時の足助町、藤岡村、小原村を始め、そして、豊田市が災害救助法適用の市町村として指定され、西三河地方においては行方不明者を含め６８名もの尊い命を奪い、全壊家屋２７１戸、罹災世帯数は１,８７３世帯となり、土砂及び崖崩れ等は１０６箇所にまで上り、多くの麓民家を襲い、昨日まで共に暮らしてきた親、兄弟、子ども、そして、友人が土砂や濁流、倒壊した家屋によって帰らぬ人となり、一夜にして町を荒廃させました。
　後の調査の結果、家屋被害の特徴は、小川と山津波が結びついて起きたところにあり、裏山の崩壊、崖崩れという地滑りが大きな被害の原因と発表がされました。
　この災害の発生後に本市が中心となり復旧事業の一つとして進められたのがこの防災集団移転促進事業であります。藤岡地区において２７戸、小原地区では２２戸が本事業を適用し、深い悲しみを乗り越え、地域の方々の深い郷土愛と強い団結力を結集させ、復興を成し遂げました。
　地元の高橋地区においても、この４７豪雨災害では多くの被害を受け、現在でも土砂崩れや地滑りによって発生した巨大岩が存在するなど、当時の爪跡が残っており、災害から約半世紀という月日がたった現在においても、昨年は民家周辺の山の実に３９箇所からこれまでの気候変動などの影響によりさらに大きな岩が顔を出し、現在愛知県と本市とで対策を進めている状況でございます。
　しかし、この状況はほんの一部にすぎません。本記念誌において太田市長はこうご挨拶でお書きになっておられます。
　自分たちの住む地域自分たちで守る、その心構えが必要であり、二度とあのような災害を繰り返さないためには、防災に関する施策を積極的に展開し、推進していくと述べられております。私も全く同じ考えでございます。今回の流域治水関連法案の改正により、国は私たちへ警鐘を鳴らしたのではないでしょうか。私はこの事業においては、事前に危険区域が明らかとなっていることから、自然災害によって多くの市民が生命や財産を失う前に、本市が率先して事業を促すべきと考えており、ましてや地域住民がまとまり、本事業を地域から提案された場合には、本市が船頭となり、国や県と連携し、国庫補助金等を活用することで進めるべき政策と考えるわけでございます。まさにこれこそが自分たちの住む地域は自分たちで守る、この言葉の意味につながるのではないでしょうか。
　国においては９本もの法律を改正させ、本法案を通過させました。今後は本市を含めた地方自治体からの政治判断を待つ立場となり、政策を進めるのか、進めないのかのグリップは本市の手の中にあるということでございます。今後起こり得る様々な自然災害における対応や考え方及び取組が市民の生命と財産を守るための本市の姿勢としてまさに今、法改正によって問われ、政治判断をする時期にある、このことをお伝え申し上げまして、全ての質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長（太田博康）　以上で２３番、岩田　淳議員の質問を終わります。

○議長（太田博康）　暫時休憩します。再開は午後２時５分とします。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　休憩　午後１時５７分
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　再開　午後２時０５分
○議長（太田博康）　休憩前に引き続き会議を開きます。
　２７番、窪谷文克議員。
○２７番（窪谷文克）　議長のお許しをいただきましたので、さきに通告いたしました大項目１点、都市部における空き家対策について、中項目３点を順次質問をしてまいります。
　本市のみならず、全国的に空き家が増加するとともに、適切な管理が行われていない空き家が周辺の居住環境に悪影響を及ぼすケースが増加しています。
　空き家対策は、空き家の倒壊や衛生上の問題などが社会問題化する中、当初、各地方公共団体において、空き家の適正管理に関する条例を制定するなどしてその対策が進められてきました。
　一方、空き家対策のための固定資産税の課税情報の内部利用や行政処分の名宛人が不明な場合などについては、条例では対応できないとされ、空き家等の問題の全国的な広がりと、今後のさらなる深刻化のおそれを踏まえ、国として、空き家対策へのより積極的な対応が求められました。
　このような状況の中、平成２７年５月に空家等対策の推進に関する特別措置法、今後は空家法と省略して言いますが、空家法には地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、併せて空き家等の活用の促進と空き家等に関する施策を推進するために必要な事項を定めることを目的に制定されました。
　なお、空家法では、空き家等の管理責任が第一義的にはその所有者等にあるとしているものの、当該所有者等が経済的な事情等から、管理責任を全うしない場合、住民に最も身近で個別の空き家等の状況を把握できる立場にある市町村が空き家等対策について主体的な役割を果たし、国及び都道府県がその支援を行うとされています。
　具体的には同法等に基づき、市町村は空き家等対策として、空き家等対策計画の策定、空き家等の実態把握、所有者の特定、空き家等の発生予防、空き家等及びその跡地の活用、特定空家等に対する措置、具体的には助言、指導、勧告、命令、行政代執行、略式代執行等に取り組むとされています。
　そのような対策に対し、国は、空き家対策総合支援事業の個別補助金や社会資本整備総合交付金を利用しての空き家再生等推進事業等による財政的支援、空き家等に係る譲渡所得の特別控除の特例、固定資産税等の住宅用地特例の解除等による税制上の支援などを図ることとされています。
　なお、国は、空き家対策について、壊すべきものは除却し、利用可能なものは活用するとの考えの下、地域のまちづくり、住まいづくりとしての取組を支援するとともに、既存住宅流通市場の活性化の一環として支援することとしています。
　また、空き家対策は、移住・定住、観光振興、福祉、中心市街地活性化、密集市街地対策、産業振興などの施策分野とも関わりが深く、実効性を上げるためには、これらの施策分野を含めた総合的な対応が求められていると思います。
　本市においても、昨年１０月に、豊田市空家等対策計画を策定し、その基本理念の一つに、豊田市はその成り立ちから、都市部と山村部が共存するまちとなっており、空き家対策においても都市部と山村部において、それぞれの課題に応じた対策が求められているとしています。
　そこで、今回は、都市部における空き家対策について、中項目３点を質問してまいります。
　始めに、中項目１として、都市部における空き家の状況について質問をしてまいります。
　一概に空き家といってもいろいろなケースや状況があると思います。
　そこで、小項目１として、空き家等の定義について確認をいたします。
　空家法第２条には、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地をいうと定義していますが、具体的にどのようなものが空き家等となるかをお尋ねします。
　また、分譲マンションの空き住戸や商店街等の空き店舗について、空き家等に含めるのかもお尋ねをいたします。
○議長（太田博康）　阿久津都市整備部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　空き家等とは、総務省と国土交通省の告示、空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針において、おおむね年間を通して建築物等の使用実績がないものとされております。
　豊田市空家等対策計画では、空家法及びこの指針を踏まえ、空家等とは、１年以上居住、その他の使用がない建築物等とその敷地と定義しております。
　また、分譲マンションは一棟全体で一つの建築物等と捉えるものであり、住戸単位での判断をするものではありません。このため、居住している住戸が一部でもあれば、棟内に空き住戸があったとしても空き家等には該当しないものとしております。
　また、空き店舗につきましては、使用実態として１年以上の使用がなければ空家等に該当するものとしております。
　以上です。
○議長（太田博康）　窪谷議員。
○２７番（窪谷文克）　空家法による空家等としては、全ての用途が建築物であること、また豊田市空家等対策計画における空き家と称するものについては、住宅と定義していることが分かりました。
　続いて、管理不全が進んだ空き家等に対して空家法第２条第２項に、特定空家等が定義されています。特定空家等の定義として、一つ目に著しく保安上危険となるおそれがある状態。二つ目に著しく衛生上有害となるおそれがある状態。三つ目に著しく景観を損なっている状態。そして、四つ目に生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態、この四つの定義が示されています。
　しかし、条文において、著しくという言葉は極めて主観的、抽象的な記述であると思います。
　そこで、小項目２として、特定空家等に該当する場合の具体的な判断基準についてお尋ねをいたします。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　空家法では市町村の責務として、空家等に関する必要な措置を適切に講ずることとされており、特定空家等の対応については、国の示すガイドライン、特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針により、市町村の判断に委ねられております。
　そのガイドラインを踏まえて、本市の特定空家等の具体的な判断基準としては、対策の実効性を高めるために、除却を含めた措置を行うことができる以下の二つの状態について具体的に定めていく予定であります。
　１点目は、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態のものです。
　具体的な例としては、国のガイドラインで示されているように、建築物の傾斜が２０分の１を超える状態のものです。
　なお、財団法人日本建築防災協会の被災建築物応急危険度判定マニュアルなども参考に定めていく予定であります。
　２点目としては、そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態のものであります。
　具体的な例としては、建築物や浄化槽設備等の破損、またはごみ等の放置を原因として臭い、いわゆる臭気の発生があるケースであり、地域住民の日常生活への支障の程度を不良な生活環境を解消するための条例の業務マニュアル等を参考に定めていく予定であります。
　以上です。
○議長（太田博康）　窪谷議員。
○２７番（窪谷文克）　特定空家等の判断基準についても具体的な基準の作成を進めていることが分かりました。
　昨年１０月に制定された豊田市空家等対策計画では、都市部と山村部に分けて共通の課題やそれぞれの課題を整理しています。今回は都市部の空き家に限定して質問することは冒頭に申し上げました。空家等対策計画を策定するに当たり、空き家の状況について事前に調査をされています。
　そこで、小項目３として、都市部の空き家の状況について、どのように捉えているのかお尋ねをいたします。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　空家法に基づく空き家等は、分譲マンションは１棟単位で判断すると先ほどの質問の答弁で申し上げましたが、当質問の空き家の状況につきましては、マンションを含めて住戸単位でお答えをいたします。
　本計画において、特に対策が必要なものはその他の住宅としており、その他の住宅とは、空き家のうち賃貸用又は売却用の住宅と別荘などの２次的住宅を除いたものとしております。
　総務省が実施した平成３０年の住宅・土地統計調査によれば、豊田市のその他の住宅の割合は２.７パーセントで、これは全国平均の５.６パーセント、愛知県平均の４.１パーセントよりも少ない状況であります。
　また、計画では、都市計画区域内を都市部としており、平成３０年に実施した市の独自調査の結果によれば、空き家のうち、その約８割が都市部にありました。このことから、都市部におけるその他の住宅は約２.２パーセントと推計され、近隣の全市域が都市計画区域である豊橋市の４.７パーセント、刈谷市の２.９パーセントと比較して少ない状況であると認識しております。
　以上です。
○議長（太田博康）　窪谷議員。
○２７番（窪谷文克）　本市は都市部と山間部からなり、空家等対策計画でもその二つの地域を分けた調査をしていますが、都市部の空き家が近隣他市と比べて少ない状況であることが分かりました。
　では、次に、この状況を踏まえた上で、今後は空き家が増えていくのかどうかについてお尋ねしたいと思います。
　高齢化率と空き家率には相関関係があると言われています。このことは、都市部や山間部でも共通していますが、本市においても２０２５年以降、高齢者世帯や高齢者の単身世帯が急増することが予測されています。
　そこで、小項目４として、空き家となる予備軍の現状について、どのように捉えているのか、お尋ねをいたします。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　国勢調査によりますと、都市計画区域内に住む６５歳以上の高齢者のみの世帯の割合は、平成１７年では６.７パーセントで、平成２７年には１２.９パーセントと倍増し、世帯数は２万９６７世帯となっております。
　高齢者のみの世帯は今後も増加すると見込まれており、こうした高齢者のみが居住する住宅が、将来、居住者の転居や相続などにより空き家になる可能性の高いと考えており、空き家予備軍と認識しております。
　以上です。
○議長（太田博康）　窪谷議員。
○２７番（窪谷文克）　ここまで空き家等の定義と都市部における空き家の状況、また、空き家予備軍の現状について質問をしてまいりました。
　次に、中項目２として、豊田市空家等対策計画について質問をしてまいります。
　本市の空き家率は、全国平均よりも低いものの、将来人口及び世帯数の減少に伴い、空き家の増加が予測されています。管理されていない空き家は火災や倒壊のおそれ、草木の繁茂や病虫害の繁殖など、周辺の安全面や衛生面といった生活環境に及ぼす影響が問題となっています。空き家に関する問題は多岐にわたり、状況に応じた効果的な対策を講じることが必要となります。
　また、空き家となっている期間が長期化するほど、問題の解決は困難になることから、より早期の段階での取組が重要となります。
　国は、空き家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって公共の福祉の増進と地域の振興に寄与することを目的として、空家法第４条において、市町村の責務として、市町村は第６条第１項に規定する空家等対策計画の作成及びこれに基づく空き家等に関する対策の実施その他の空き家等に関する必要な措置を適切に講ずるよう努めるものとすると規定しています。
　そこで、空き家等への対策を総合的かつ計画的に進めるため、本市も昨年１０月に空家等対策計画を策定しました。
　まず、小項目１として、空家等対策計画の策定時期について確認をいたします。
　調べてみますと、愛知県では、平成３０年１月に空家等対策計画作成ガイドラインを示し、空家等対策計画に記載すべき事項の考え方や記載例、その他参考資料について取りまとめており、特に市町村の担当者の方が空き家等の実態、特徴の整理や空家等対策を検討、また空家等対策計画を立案する際に活用できるようにいたしました。平成３０年度末までに全国市区町村の６割を超える１,１２２団体が計画を策定済みでありました。愛知県においても、豊橋市と一宮市が平成２９年３月に、岡崎市が平成２９年８月に制定されています。令和２年４月時点において、県内の大半の市が策定をしており、本市はいろいろな計画策定において、他市町村と比較して早く手がけると思っていましたが、空家等対策計画の策定の時期が令和２年１０月になった理由についてお尋ねをいたします。
○議長（太田博康）　阿久津都市整備部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　対策計画は、実態をしっかりと把握した上で実効性のあるものとするためには、それ相応の調査や検討が必要であると認識しております。
　本計画の策定に当たっては、平成３０年３月の上位計画である豊田市住宅マスタープランの改定、平成３０年に愛知県が公表した空家等対策計画の作成に関するガイドラインを踏まえ、平成３０年度に市内の空き家の状況を把握するための独自調査の実施、そして、令和元年度から本市の実態を踏まえた計画内容の具体的な検討、これら必要な段階を経て、令和２年１０月となったものであります。特に策定が遅いとは認識しておりません。
　以上です。
○議長（太田博康）　窪谷議員。
○２７番（窪谷文克）　空き家に関する取組は、目的なく承継され、使用されない空き家とならないための予防、抑制策を始めとして、空き家の活用、適切な管理を実現するための対策を行っていかなければならないと思います。
　しかし、適切に管理されていない空き家になった場合は、管理不全の解消に向けた取組を行い、解消されない場合は、管理に関する指導等の適正な措置を実施しなければなりません。また、空き家が除却された場合に、跡地の活用にも取り組む必要があります。他市の計画には、計画に附随してアクションプランを作成する市も見受けられます。
　そこで、本市の空家等対策計画で取り組む空き家対策について、空き家対策の対象や具体的な施策について順次伺っていきます。
　まず、小項目２として、本計画により対策を行う対象についてお尋ねをいたします。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　計画のより対策を行う対象につきましては、別荘等の２次的住宅を除く居住のない住宅である空き家と空家法による空家等であります。
　以上です。
○議長（太田博康）　窪谷議員。
○２７番（窪谷文克）　対象とする建築物について、管理不全となった空き家等に対する取組を、店舗などの用途の建築物に実施することと、既存住宅の利活用を含めた全般的な対策を行う住宅が計画の対象であることが確認できました。
　次に、どのような施策を実施していくかについてですが、本市の計画を読みましても、具体的な施策がよく分かりませんでした。建物、空き家に関するそれぞれの段階、状況に応じた対策をどのように実施していくのか、空家等対策計画の三つの基本方針の具体的な施策について質問します。
　始めに、小項目３として、基本方針のうち、一つ目の空き家を増やさない施策についてお尋ねをいたします。
　空き家の急増を抑止するために、新たな空き家を発生させないための具体的な取組についてお尋ねをいたします。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　空き家を増やさないためには、所有者が空き家を放置しないように意識を変えることが必要であると認識しており、啓発や相談等の取組を進めております。
　具体的な取組としては、住まいのワンストップサービスの一つとして、定住促進課で空き家に関する幅広い相談を随時受け付けております。
　また、市と協定を結んだＮＰＯ法人が、電話による週４日の総合相談や、空き家になる前からの日常的な問題、相続や税金の問題やコミュニティの問題をテーマにしたセミナーを定期的に開催しております。
　相談者やセミナー受講者から寄せられた、相続や処分、管理に関する専門的な問題については、必要に応じて同法人などと個別相談の対応をすることで、所有者等が空き家としないように促す取組を進めてまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　窪谷議員。
○２７番（窪谷文克）　総合的な空き家対策の観点から、本市におけるまちづくりの方向性と調和させながら空き家を改修して再生し、利活用を図ることも欠かすことができません。
　そこで、小項目４として、基本方針の二つ目、空き家を使う施策について質問します。
　計画では、利用されず壊れていく空き家を活用される資産にするとしていますが、具体的な取組についてお尋ねをいたします。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　空き家を使う取組としましては、空き家やその敷地の活用を前提として、令和３年度からリフォームや解体のための空き家についても無料耐震診断の対象としております。また、市街化調整区域にある空き家については、空き家認定の取組を新たに始め、活用を支援していく予定であります。
　加えて、公益社団法人愛知県宅地建物取引業協会と空き家の利活用等に関する協定を締結し、同協会が運営する空き家総合相談窓口を通して、空き家所有者の相談を受けていく予定であります。
　同協会の空き家の専門家、空き家マイスターですが、相談者である所有者に空き家の利活用を促すとともに、売買や賃貸の物件情報として、愛知県空き家・空き地バンクポータルサイトに掲載することで、空き家を住宅として使えるよう誘導していく取組等を開始する予定です。
　以上です。
○議長（太田博康）　窪谷議員。
○２７番（窪谷文克）　個人の財産については、あくまでも所有者等が適切に管理するのが原則であります。しかし、現実にはこの原則が守られていないから管理不全となった空き家等の問題が発生をしています。
　そこで、小項目５として、基本方針の三つ目、空き家の管理の促進についてお尋ねします。
　計画では、周辺に悪影響を及ぼさないよう、空き家の適切な管理を行うとしていますが、具体的な取組についてお答えください。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　本市では、令和元年度に行った実態調査による約３,０００戸の空き家の情報を統合型地図情報システムを用いてデータベース化し、空き家に関する状況や自治区などからの相談、所有者などの情報を一元的に管理しています。
　このデータベースを用い、適切に管理がなされていない空き家に起因する周辺環境の悪化などの苦情に迅速に対応するとともに、改善が進まない所有者に対し、定期的に空き家の適正な管理を促す情報提供や助言を行っています。
　また、自ら管理することができない所有者に対しては、協定を結んでいるＮＰＯ法人を通じて、庭木の剪定や窓開け、清掃などの管理代行や、見回りのサービスを行う事業者を紹介するなど管理を支援しております。
　そのほか令和２年度から管理不全の空き家を減らす目的で、一定の要件を満たす老朽空き家に対し、解体費補助制度を設け、解体費の一部助成も始めております。
　今後、著しく管理不全となった空き家等については、計画に基づき特定空家等の判断基準や対応体制を整え、所有者等に対して適正な管理を促していく予定です。
　以上です。
○議長（太田博康）　窪谷議員。
○２７番（窪谷文克）　基本方針に基づく、具体的な施策の取組について質問をしてまいりました。こうした施策を確実に実行するためにも、組織体制の確立が必要であると思います。空家等対策計画では、空き家対策を進めるためにも、庁内組織としての住宅施策推進会議や評価委員会を組織し、各種関係団体との協力、連携体制を構築するとしています。施策の効果を定期的に検証し、必要に応じて計画の見直しも行わなければならないと思います。
　そこで、小項目６として、実施体制とその役割についてお尋ねをいたします。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　計画に掲げた取組の実施体制としては、庁内関係課長で構成する住宅マスタープランの推進を担う住宅施策推進会議と、関係部長と学識経験者で構成する評価委員会の二つの既存の組織活用と、特定空家等への対応として新たに設置する審議会で構成してまいります。
　これらの組織の役割としては、住宅施策推進会議は、計画の推進、事業の取組内容の見直しや新規事業の立案等、評価委員会は、計画の取組成果の評価や助言、そして、審議会は特定空家等の判断や措置の諮問に対する答申という役割分担の下で進めていく予定です。
　以上です。
○議長（太田博康）　窪谷議員。
○２７番（窪谷文克）　岡崎市や豊橋市は空家法を受けて、空家等対策協議会が先に組織されたため空家等対策計画には当初から空家等対策協議会が盛り込まれておりました。
　空家等対策協議会の主たる業務は、空家等対策計画の策定及び変更、また市長の諮問への答申だそうです。諮問事項として特定空家等の判断も行うそうです。多くの個人情報を扱うことから、岡崎市や豊橋市も空家等対策協議会条例を制定し、守秘義務条項を設けています。また、名古屋市では法定の特定空家対策協議会は設置されていませんが、特定空家等の対策について、学識経験者等からなる名古屋市空家等対策審議会を設け、条例による特定空家等の措置を明確にしております。
　本市においても、今後の空き家対策として、特定空家等に対する法律による措置を実施していくに当たり、しっかりとした組織をつくり、その役割を明確にしていく必要があると考えます。特に個人や法人の所有する建築物に義務を課す措置に対しては、必要な手続について明らかにするとともに、学識経験者などの専門家から意見を聞く組織の位置づけの明確化が必要だと思います。
　そこで、小項目７として、本市の特定空家等の対策における審議会の設置について提案いたしたいと思います。
　この審議会は、特定空家等の判断や措置への諮問を受ける機関として、条例に基づいた位置づけを与える必要があると思いますが、見解をお尋ねします。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　特定空家等の判断や措置については、行政や利害関係者ではなく、第三者が中立・公正に判断することが求められることから、さきに述べた審議会を条例に基づく審議会として位置づけていくことを考えております。
　当審議会は、学識経験者等から構成することを考えており、現在、設置に向けた準備を進めております。
　以上です。
○議長（太田博康）　窪谷議員。
○２７番（窪谷文克）　次に、小項目８として、空き家等の適正管理に関する条例の制定について、本市の見解をお尋ねします。
　本市における、空き家等の現状や課題、空家法の趣旨や国・県の方針等を踏まえながら、所有者の責務を明らかにするとともに、本市としての空き家等を適正に管理していく必要があると思います。効果的な空き家対策を総合的に推進するためにも条例は必要と思いますが、見解をお尋ねします。
　ちなみに、豊橋市は平成３０年４月に、岡崎市は令和２年３月に空家等対策計画策定後に条例を施行しています。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　当面はさきに答弁した体制の下で、空家法の規定に基づく計画の運用を適正かつ着実に進めていくことが重要であると考えております。
　条例制定の必要性につきましては、計画に基づき様々な取組を進め、その評価を見極めながら判断してまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　窪谷議員。
○２７番（窪谷文克）　特定空家等に対する対応は、空家法の目的を達成する重要な部分であるため、適正な運用を図っていただきたいと思います。
　また本市の空家等対策計画は、空き家の発生の予防を第一の基本方針として策定していることから、継続的に空き家の現状把握に努め、数値目標を用いた進行管理など、計画的な取組の推進を期待いたします。
　空き家の発生は、様々な社会的要因、生活意識の変化に影響を与えることから、社会・経済情勢、国・県の施策、法律、条例等の動向等に注視し、施策の適正化を図り、国や県による財政支援策を積極的に活用し、市民の負担軽減に努めいただくことを要望し、次の中項目に移ります。
　都市部の空き家問題は、山村部と比較してその深刻さは低いという学者もおられます。その主な視点は、人口減少がもたらすその地域のダメージの強さに起因していると思います。しかし、今後、都市部においても世帯数が減少に転じることにより、空き家問題が深刻化していくことが予測されます。
　都市部における空き家問題としては、木造住宅密集地域が存在することや、中古戸建ての流動化の遅れ、また賃貸住宅や分譲マンション、そして店舗のストックが多く、管理が放棄された場合の潜在的な問題を抱えていると思います。
　そこで、中項目３として、都市部特有の空き家等の対策について、質問と提案をしてまいります。
　マンションストックの現状として、３階建て以上の中高層、共同建て、非木造の分譲マンションの住戸数を調べてみると、分譲マンションのストックは全国で６００万戸を超える戸数があり、築５０年を超えるマンションは２０年後には全国で１４０万戸に達することが予測されています。また、マンション完成年次別の空室率を調べてみると、全体の空室率は２.４パーセントにすぎませんが、１９７４年、昭和４９年以前に完成したマンションでは空室率が１０パーセントを超える物件が増え、１９６９年、昭和４４年以前になると空室戸数の割合が１５パーセントを超える統計があります。すなわち、築４０年を超えると、空き住戸数が増えていくそうです。平成３１年における国交省の資料によると、築４０年超えのマンションは全国で７２万９,０００戸あり、１０年後にはその約２.５倍、２０年後には約５倍に急増するとのことです。
　そこで、小項目１として、本市の分譲マンションの現状について、どのように把握しているのか、お尋ねをいたします。
○議長（太田博康）　阿久津都市整備部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　平成３０年度に総務省が実施した住宅・土地統計調査によりますと、本市には３階建て以上の非木造の分譲マンションは約１万２,０００戸となっております。そのうち、築４０年を経過する１９８０年以前に建築された分譲マンションは約１,３００戸となっています。１０年前に実施された平成２０年度の調査結果と比較すると、分譲マンションの総数では約４割増加しているのに対し、１９８０年以前に建築されたものは微減となっております。１９８０年代以降のマンション建築の動向を踏まえれば、今後、本市においても築４０年を超える分譲マンションは増えていくものと想定しております。
　以上です。
○議長（太田博康）　窪谷議員。
○２７番（窪谷文克）　本市においても全国的な傾向と同様に、老朽化したマンションの増加が見込まれることが確認できました。老朽化した分譲マンションは、必ずしもマンションの構造自体の安全性に問題がないとしても、マンションが古くなると徐々に時代に合わなくなってくることや、居住性が損なわれていたり、建物の外装や設備機器等の機能面での劣化が進行している可能性があります。特に適正に管理されていない中古マンションは、市場において流動性価値が低下し、空き住戸として放置されることが懸念されます。
　そこで、小項目２として、分譲マンション管理に関する課題について、本市としてどのように捉えているのか、お尋ねをいたします。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　分譲マンションの管理に関する全国的な課題として、所有者の高齢化、管理組合役員の担い手不足、マンション管理の専門化・複雑化、長期修繕計画や積立金の不足等から適正に管理できなくなることが懸念されています。
　また、全国的に既存マンションの流通量が増加しており、管理状況等の情報ニーズの高まりに対し、管理情報の不足も課題として挙げられます。
　本市においても、今後、老朽化した分譲マンションが増加し、同様の課題が生じるものと推察しております。
　以上です。
○議長（太田博康）　窪谷議員。
○２７番（窪谷文克）　老朽化した分譲マンションの建設当初には想定し得なかった耐震基準の見直し等により、それ以前の分譲マンションの建築物としての価値の低下や、新たに発生した耐震改修等に係る負担の増加が生じていることも適正な維持管理を困難にし、空き住戸数の増加を助長する一つの要因になっているのではないかと思います。
　このような建設時には想定し得ない問題は仕方がない面もありますが、少なくとも空き住戸を増やさないためには、いかに住宅としての価値を維持できるかが重要であり、そのためには分譲マンションが適正に管理されていることが必要であると思います。
　そこで、小項目３として、管理状況に関する調査を含め、空き住戸を増やさないための分譲マンション管理対策について、本市の考え方をお尋ねいたします。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　基本的に分譲マンションの各住戸の安全確保や資産価値を維持することは所有者自身の責務であります。
　一方で、所有者がその責務を果たせず老朽化し、管理水準が低い分譲マンションの増加が見込まれることから、令和２年６月にマンションの管理の適正化の推進に関する法律が改正されました。
　この改正により、マンションの管理水準の底上げを図るため、地方公共団体が管理適正化のための指導等を行うこととなりました。
　また、地方公共団体がマンション管理適正化推進計画を作成し、適切なマンションの管理計画を認定することにより、適正管理を誘導することとなっております。
　本市においては、国の支援を受けながら、管理運営の状況やこれまでの修繕の実施状況、修繕計画の策定状況等、分譲マンションの管理実態等の調査を実施してまいります。その結果を下に、本市の分譲マンションに関する課題を整理し、マンション管理適正化推進計画の作成を進め、所有者等の適切な管理を促してまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　窪谷議員。
○２７番（窪谷文克）　今後、増加が見込まれる老朽化した分譲マンションに対し、本市においてもマンション管理の適正化に向けた取組が必要であると思いますので、その重要性を十分認識していただき、計画作成を進めていただくようお願いをしておきます。
　一方で、十分な費用が積み立てられていない状態で老朽化を迎えてしまっている分譲マンションでは、既に修繕等では対応し切れず、建替え等でしか対応できない状態となっていることが想定され、多大なる個人負担が発生する可能性もあります。
　分譲マンションが老朽化するということは、すなわち住んでいる人自身の高齢化も進んでいるということになり、その負担に耐えられないケースも考えられます。
　そのため、費用負担の面で建替え計画が進まず、結果として空き住戸として放置されることが懸念されます。
　そこで、小項目４として、老朽化した分譲マンションの建替え対策について、本市の考え方についてお尋ねをいたします。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　マンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正により、建替え時の容積率の緩和や敷地売却時に必要な同意率の緩和の適用対象が、これまでは耐震性の不足しているマンションのみとされてきましたが、外壁の剥落等により危害が生ずるおそれのあるマンション等が追加されるなど、マンション再生の取組が強化されました。
　本市においても、老朽化した分譲マンションの適切な再生のため、国や県の動向を見ながら、これら制度を活用しながら円滑な建替え等を促していく考えです。
　以上です。
○議長（太田博康）　窪谷議員。
○２７番（窪谷文克）　分譲マンションは時間の経過とともに、建物の老朽化に加え、区分所有者の高齢化も進んでいきます。いわゆる分譲マンションが直面する二つの老いであります。今後は分譲マンションの老朽化とともに、区分所有者の高齢化や空き住戸化が進んで管理が行き届かず、スラム化に至る分譲マンションが発生することが予測されるため、早急に分譲マンションの空き住戸対策を進めていただくようお願いをいたしておきます。
　ここでもう一つ、都市部の活性化にとって問題となっているのが空き店舗の増加問題です。
　空き店舗は、景観上、あるいは地域住民の生活基盤の維持という意味では、地域において解決が急がれる課題です。
　空き店舗が増加する原因としては、新型コロナウイルス感染症拡大や少子高齢化によって商店街等の商業集積地の来街者が減少し、事業維持が困難となったり、事業を引き継ぐ人材がいなかったりすることにより、商店等が廃業することにあります。住宅だけではなく、店舗や工場などを含む幅広い建物で使用されていない状態のものは、全て空家等に含まれるということは冒頭確認をいたしました。
　そこで、小項目５として、本市の空き店舗の中で、特定空家等と判断するものがあるのか、確認をいたします。
　私の地元においても、２０年以上も営業をしていない屋台の店舗が５店舗連担をしていますが、特定空家等と判断するのか併せて確認をいたします。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　空き家について平成３０年に実施した市の独自調査は、共同住宅を除く住宅が対象であり、店舗は対象にしていないため、現状では空き家店舗の特定空家等は把握しておりません。
　空家法では、国や地方公共団体が所有し、又は管理するものを除くものが対策の対象とされています。このことから議員ご指摘の屋台については、県の管理する公有地上に位置する所有者不明の物件であり、空家法の適用の対象ではないと認識しておりますが、管理者である愛知県に対して引き続き撤去等の働きかけを行ってまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　窪谷議員。
○２７番（窪谷文克）　地元の屋台の店舗が空家法の措置によらず、用地管理上の課題として解決されるべき問題であることは分かりました。今後は用地管理者への情報提供などを通じて、スピード感を持って問題の解決を図っていただきたいと思います。
　各市の空家等対策計画を読ませていただくと、空き店舗についても空き家の調査対象とし、計画にその対策を盛り込んでいるところもありました。本市においては、空き店舗対策は商業活性化プランに記載がありますが、空家法の対象になる空き店舗も現実に発生をしています。
　最後の質問として、小項目６、都市部特有の空家等として、分譲マンションの空き住戸や空き店舗への対策における取組強化について、本市の見解をお尋ねいたします。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　分譲マンションの空き住戸の問題については、本来基本的に所有者や管理組合が自ら適正に管理を実施し、資産価値を維持することで解決すべき問題であります。
　本市としては、今後、改正されたマンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づくマンション管理適正化推進計画の策定を進め、必要に応じて管理組合に対する指導等を行うとともに、管理組合等からの申請により適切なマンションの管理計画の認定を行っていく考えであります。
　これにより、健全な分譲マンションと認定され、適正な維持管理が進むことで、既存住戸の資産価値も維持され、円滑な流通が促進されるなど、空き住戸の抑制につながるものと考えております。
　また、空き店舗の利活用については、空家法に基づく取組も踏まえつつ、商業活性化プランに基づき、まちのにぎわいにつながるよう、事業者への支援を進めてまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　窪谷議員。
○２７番（窪谷文克）　人口減少や建築物の老朽化、社会や産業構造の変化に伴い、本市も空き家が増加しています。管理されていない空き家は火災や倒壊のおそれ、草木の繁茂や害虫の繁殖など、周辺の安全面や衛生面といった生活環境に及ぼす影響が問題となっています。空き家に関する問題は多岐にわたり、状況に応じた効果的な対策を講じることが必要となります。
　また、空き家となっている期間が長期化するほど、問題の解決は困難となることから、より早期の段階での取組が重要となります。
　そこで、空き家等への対策を総合的かつ計画的に進めるため、昨年１０月に空家等対策計画を策定したと思います。この計画を基に空き家情報の的確な収集、把握し、空き家の専門家や庁内関係課との連携など、切れ目のない空き家対策を進めていただくことを期待し、全ての質問を終わります。ありがとうございました。
○議長（太田博康）　以上で２７番、窪谷文克議員の質問を終わります。

○議長（太田博康）　暫時休憩します。再開は午後３時１０分とします。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　休憩　午後２時５２分
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　再開　午後３時１０分
○議長（太田博康）　休憩前に引き続き会議を開きます。
　３２番、古木吉昭議員。
○３２番（古木吉昭）　議長のご指名をいただきましたので、大項目１点、第３次地域経営戦略プランの実現を目指してと題して順次質問いたします。
　昨年から感染症が猛威を振るい、何度も緊急事態宣言発令となる事態となり、飲食業を始めとして大きな打撃を受けております。高齢者のワクチン接種が始まり、これから徐々にその効果が現れてくることを期待しているところであります。
　その中においても行政の業務は滞りなく遂行していかなければならず、コロナ禍での感染症対策と円滑なワクチン接種への対応が求められているところであります。日々ご対応いただいておられます医療従事者並びに保健部を含めた職員の皆様に心から感謝を申し上げます。
　今回の第３次地域経営戦略プランへの質問は、昨年、次期地域経営戦略プランについて質問し、第２次地域経営戦略プランの取組成果と課題や、課題解決に向け、デジタル化などについて提言も含め質問いたしました。本年度より第３次地域経営戦略プランへの取組が始まっており、その具体的な取組等について新しく掲げられた基本方針からの内容を確認するとともに、より実効性の高いものにするべく、提言も含め伺ってまいります。
　中項目１、歳出抑制につながる行財政改革に向けて。
　第３次地域経営戦略プランの基本方針の１項目に新しい未来の構築に向けた横断的かつ抜本的な行財政改革が挙げられております。様々な取組を進められておりますが、その中で今回は、今後財政運営に重くのしかかってくる公共施設の維持管理費を抑制するべく、公共施設マネジメントの推進をどのように進めるのか、改定された豊田市公共施設等総合管理計画を下に確認いたしますが、今回は２０１６年１２月市議会定例会において、公共施設マネジメントについて質問し、当時の公共施設の維持管理費のインフラ、箱物を含めた総経費を確認し、そのことも含めて確認いたします。
　小項目１、豊田市公共施設等総合管理計画改定の特徴。
　今回改訂された豊田市公共施設等総合管理計画は、以後管理計画と申しますが、国から２０２１年度までに管理計画を改定することや、維持管理に関する数値目標の設定、個別施設計画の今後の維持管理費の見込み等を管理計画に追記するとされており、本市は、２０１９年度までに個別施設計画を改定し、事業費等の全体調整が２０２０年度に終了したと承知しております。
　そこで、改定された管理計画の特徴について確認いたします。
○議長（太田博康）　辻企画政策部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　公共施設等総合管理計画は、平成２９年度から令和８年度までの１０年間を計画期間としていますが、今回の改定は個別施設計画の取りまとめを踏まえた部分改定であることから、計画期間や基本方針といった主要な項目については従来の内容を継続しつつ、主に次の２項目について内容を追加しました。
　まず１点目は、目標指標の追加です。
　個別施設計画や第８次豊田市総合計画後期実践計画の策定を踏まえ、公共施設等総合管理計画を着実に進めるため、後期実践計画期間における施設の維持管理について年平均１６０億円規模で実施することを新たに目標として設定いたしました。
　２点目は、維持管理費用の長期見込みの追加です。
　個別施設計画を基に、令和３８年までの公共施設全体の維持管理、更新費用を時系列で取りまとめ、建築物の更新時期が令和２０年頃から集中し、経費の増加が懸念されることなどを示しました。
　以上です。
○議長（太田博康）　古木議員。
○３２番（古木吉昭）　年平均約１６０億円規模の維持管理費を確保して進めるということでありますが、中長期的には年間３００億円から４００億円かかるとの概算での想定もお聞きしておりますので、その抑制に向けた取組について、以降の質問で確認いたします。
　小項目の２、豊田市公共施設等総合管理計画へ織り込まれていないものへの対応。
　今回の改定された管理計画を確認いたしました。先ほどは、改正の特徴である数値目標の設定として、施設費に年間約１６０億円を確保すると内容が記載されていました。２０１６年１２月市議会定例会の公共施設マネジメントでの維持管理費、総経費の答弁では約１００億円から今回約１６０億円へと膨らんでいるように見えます。しかし、私はまだ維持管理費には隠れているものがあると考えます。それは、管理計画の中にテニスコート、また、学校も含めたグラウンド夜間照明３４施設など、その他も含め計１０９施設は、全体の管理計画の中に表はあるものの、スポーツ施設の表の基本方針の現状維持や大規模修繕等の記載がありません。照明施設などは塗装により、そもそもの国から管理計画の趣旨である予防保全としては必要であると考えますので、そのお考えを確認いたします。
○議長（太田博康）　辻部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　計画の対象とした施設は、原則、延べ床面積１００平方メートルを超える建築物を有する施設としたほか、国の方針に基づいて１００平方メートルに満たない一部の施設も対象としており、屋外スポーツ施設についても、現状維持を基本的な方針に、安全・安心の確保に必要な対策を整理した上で個別施設計画を策定しています。
　計画の対象外となっているものは、倉庫、公衆トイレなどの小規模な建築物のほか、フェンス、駐車場等の外構などが挙げられます。これらの建築物、工作物等は原則、点検結果等を踏まえた事後保全型の修繕等による対応を想定しています。
　以上です。
○議長（太田博康）　古木議員。
○３２番（古木吉昭）　小項目３、トータルコスト縮減の方策。
　今回の管理計画の四つの方針の中にあるトータルコストの縮減は最も重要なものであり、今回財政的にも重くのしかかる公共施設の維持管理費を縮減するその方策について確認いたします。
○議長（太田博康）　辻部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　トータルコストの縮減という視点では、建築物とインフラ施設を分けた上で、それぞれの施設の特性に応じた取組を進めていく考えです。
　建築物については、個別施設計画で位置づけた対策を着実に実施し、施設の長寿命化を推進するとともに、ＬＥＤなどの省エネ機器の導入や、新技術を活用した点検調査の効率化等により、維持管理費の抑制に努めます。
　また、施設の更新時期に合わせて集約化、複合化等による施設の再編や廃止を行うことで更新費用の抑制を図ります。
　道路や河川などのインフラ施設については、生活の基盤であることから、安全・安心の確保を最優先としながら、予防保全型の管理による施設の長寿命化や維持管理の効率化に優先して取り組みます。
　以上です。
○議長（太田博康）　古木議員。
○３２番（古木吉昭）　小項目４、施設カルテ更新の対応について。
　もともとこの管理計画は２０１９年までに作成した個別施設計画を基に、そのランニングコストや予防保全に基づく修繕計画などを勘案し、施設維持枠として第８次豊田市総合計画後期実践計画に係る普通建設事業に約１６０億円を確保するべく設置したものでありますが、全体計画の中でＬＥＤなど省エネ機器の導入では到底縮減できるものではありません。実際の個別更新時の検討はこれからであるため、具体性に欠ける印象があり、私自身物足りなく感じております。
　トータルコストの縮減には具体的な個別施設計画の内容も重要であり、知る必要があると考えます。２０１３年からまとめられた施設カルテは２０１５年まで実績が記載され、２０１７年３月に公開されておりますが、２０１６年から２年間の更新の記載はありません。重要な基礎データであり、個別施設計画にもつながるものであり、公開する必要があると考えますので、施設カルテ更新と個別施設計画の公開に対する考えを伺います。
○議長（太田博康）　辻部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　施設カルテは、平成２５年度に本市独自の取組として公共施設の現況を整理したもので、公共施設等総合管理計画や個別施設計画の策定に当たっては、施設カルテを基礎データとして活用しています。
　今後、適切に公共施設のマネジメントを進めるために必要な情報や管理方法を整理する必要があり、施設カルテの取扱いについても検討していきます。
　個別施設計画の取扱いとしては、公共施設等総合管理計画にその概要を掲載しており、市ホームページで公開しています。
　なお、約６００施設に及ぶ建築物の個別施設計画の詳細の内容については、今後、一般の閲覧に供するよう、注記など補足事項を加え、年内をめどにホームページ等において公開することを考えています。
　以上です。
○議長（太田博康）　古木議員。
○３２番（古木吉昭）　小項目の５、公共施設等最適化検討業務委託の内容。
　本年度に業務委託する公共施設等最適化検討業務委託の内容については、公共施設の最適化への取組につながるものであると思いますので、その業務委託の内容について確認いたします。
○議長（太田博康）　辻部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　公共施設等総合管理計画の改定により、公共施設の維持管理、更新費用が将来的に増加見込みであることを改めて確認しており、その対応方策の具現化に向けた委託調査に取り組んでいます。
　特に、建築物については、令和２０年頃から更新時期が集中する想定であるため、今後の施設再編を見据えた施設の定量的な評価や分析手法に関する検討について、専門的な知見も取り入れながら調査を進めており、令和３年度中に今後の対応方策を整理する予定です。
　以上です。
○議長（太田博康）　古木議員。
○３２番（古木吉昭）　公共施設の再編における今後の施設再編を見据えた定量的な評価や分析手法の確立に向け、どのように評価するのかを次の項で確認いたします。
　小項目６、維持管理の縮減目標の設定について。
　先ほどの小項目５で確認した業務委託をどのように評価するかの視点について質問いたします。
　行政としての立案能力も問われていると考えます。評価をするに当たり、行政サイドでの基本的な考えも必要であると感じております。それが今回改正された管理計画に表れていなかったことが少し残念でなりません。
　そこで、維持管理の縮減目標の設定についてどのように考えているのか。やはり目標値が必要であると考えますので、その考えをお聞きします。
○議長（太田博康）　辻部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　今後、厳しい財政状況が見込まれる中、公共施設関連経費についても限られた財源の中で的確に対応する必要があるので、第８次豊田市総合計画後期実践計画期間においては、公共施設等総合管理計画の目標指標である年平均１６０億円規模の事業により、施設の安全・安心を確保するための取組を着実に推進いたします。
　総務省が示す公共施設等総合管理計画の策定指針では、計画の策定、改定の際に、公共施設等の数や延べ床面積等の数量に関する目標設定に努めることとあります。本市においても、次期総合管理計画の策定を見据えて公共施設の総量に関する目標設定の必要性について検討、調整を進めていく必要があると考えています。
　以上です。
○議長（太田博康）　古木議員。
○３２番（古木吉昭）　委託業務の評価に関しましての行政側の目標値も必要であると申し上げ、この項の最後の質問に移ります。
　小項目の７、公共施設最適化への取組。
　この中項目１では、管理計画について重くのしかかる公共施設やインフラなどの維持管理の縮減に向けて取り組んでいくことは、これから人口減少が始まるとされている２０３０年までに歳入の確保がさらに厳しくなる前に、公共施設やインフラストックに対する集約化や複合化による維持管理を縮減する取組を進めなければなりません。今まで確認してきたことを踏まえ、今後どのように公共施設の最適的化への取組を進めるのかについて確認いたします。
○議長（太田博康）　辻部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　公共施設の最適化に向けた取組については、施設の利用状況や施設の状態等の基礎的情報を的確に把握するとともに、長期的な見込みの下に、市民への情報発信を適宜行いながら、関係者との協議や調整などの合意形成を丁寧に進めていく必要があると考えています。
　本市を取り巻く環境の変化や今後の経費見込みを的確に捉えた上で、公共施設に必要な機能や適正な規模、配置を検討し、最適化に向けた本市としての基本方針を今後速やかに整理し、着実に進めてまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　古木議員。
○３２番（古木吉昭）　次に、中項目の２、行政課題の解決に向けて、基本方針の第２項目めは、多様な主体との共働の拡大・深化と官民・民民連携による行政課題の解決が掲げられております。市民との共働はもとより官民連携や事業所の方々が連携した取組を進められております。令和３年の市制７０周年記念シンボル事業の一環として、ＳＤＧｓをテーマとした国際会議がオンラインで開催されました。その事例やその他の取組も含め、さらなる拡大に向けて伺ってまいります。
　小項目の１、ＳＤＧｓパートナーとの行政課題解決への取組拡大。
　先ほども触れましたが、７０周年記念行事で行われた３グループの内容について、オンラインで参加し確認いたしました。ＳＤＧｓパートナーの方々のご参加は２０２１年５月３１日現在２８９団体であり、それぞれＳＤＧｓの１７の項目に合致する取組を進めていただいており、感謝するところであります。
　今回、防災グループでの活動説明において、パートナーの事業所が災害時の協定においてフォークリフトを提供しているが、具体的な動きまでは決まっていない、とのことから、まちのお助け隊として、地域の強みを生かして災害時の実働部隊としてアイデアをメンバーから出し合い、進められていました。大変すばらしい取組であり、災害時に頼りになると強く感じました。
　災害以外にも行政課題の解決のためには、こういった取組を今後も継続して進めるべきであると考えて、その拡大に向けた取組について確認いたします。
○議長（太田博康）　辻企画政策部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　ＳＤＧｓ国際会議をきっかけに、パートナー同士がつながり、地域課題解決に向け、教育・次世代育成、災害・まちのお助け隊、おたがいさま会議という三つのグループが形成され、会議終了後も自発的に活動を継続いただいています。
　引き続き地域課題をテーマとしたワーキング活動の推進や、庁内各部局とパートナー、またはパートナー同士をつなぐマッチング支援を強化してまいります。
　特に、令和３年度におきましては、１０月に本市で開催する食品ロス削減全国大会を契機に、パートナーとともに食品ロス削減など、ＳＤＧｓのゴール１２、つくる責任、使う責任の達成につながる取組をさらに推進します。
　以上です。
○議長（太田博康）　古木議員。
○３２番（古木吉昭）　小項目の２、子ども食堂の拡大に向けて。
　子ども食堂は、最近になってご協力いただける方々が徐々に増えてきており、その取組を担っていただいておりますことに心からの感謝を申し上げます。
　高橋地区においても令和元年に高橋コミュニティセンターで区長を始め、様々なボランティアをされている方や、高齢者施設等の職員にお集まりいただいて、子ども食堂の情報交換会が開催されました。当時は区長も、「わしらは何をやればいいんだ」とピンときていないように感じましたが、７月にはボーイスカウト団体による子ども食堂が１箇所、令和３年度に２箇所と徐々に拡大をしているところであります。
　ＳＤＧｓの誰一人取り残さない取組であり、様々な環境にある孤立や困り事を抱える全ての子どもたちを大人や地域が助けるという行政課題を解決する取組であると考えます。この取組を知っていただくこと、そして、立ち上がった後には、その志を継続して持ち続けていただくための支援をどのようにされるのか、また、拡大するためにどのように考えているのか、私のところにも子ども食堂についてもご意見をいただいております。ご寄附いただいたお金や物資の流れ等、透明性のある運用で行わなければ信頼も失うこととなります。そういったことも含め、丁寧に進めなければならないと考え、その取組について確認いたします。
○議長（太田博康）　柴田福祉部長。
○福祉部長（柴田徹哉）　まず、子ども食堂を知ってもらうために、地域への出前講座を実施しているほか、子ども食堂が開設される際には情報交換会を開催し、民生児童委員や自治区役員を始め、地域全体で支えていこうという機運が醸成されるよう努めております。
　また、継続して子ども食堂を運営していけるよう、必要な資金、物資の調達ノウハウや事故への備え、助成金等について情報提供を行うとともに、市が持つ広報手段を活用しての情報発信を行う等の支援をしています。
　今後も引き続き支援物資の円滑で公平な活用方法も含めて、活動団体の工夫や連携を伴走型でサポートし、子ども食堂の拡大を図ってまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　古木議員。
○３２番（古木吉昭）　小項目の３、公共施設の管理における官民連携の拡大に向けて、令和３年５月、鞍ケ池公園がリニューアルオープンしました。地元の議員として私も記念式典に来賓として出席させていただきました。感染症対策のため規模は縮小し、短時間で行われ、少し残念に思いましたが、スターバックスコーヒーやパークフィールドスノーピークやエルミオーレ野外乗馬場にゴールデンウィークには外環状線までの渋滞となるほどの人気でありました。まさに官民連携の成果であり、さらに、維持管理の縮減にもつながるものであります。
　そこで、西山公園なども四季折々の花々を楽しむすばらしい公園でありますが、全ての植物の維持管理、さらには美しく咲かせるための努力も大変なものだと推察いたします。以前、西山公園は来場者の規模から官民連携には向かないと伺っておりますが、昨今のガーデニング人気、また、ＲＶキャンプなどは全国で注目されており、各地で新設がされております。植物など四季折々満喫できる西山公園など、アイデアを民間から提案していただくこともできると考えます。
　そういった公園などの公共施設等の管理における官民連携の拡大に向けてどのように考えておられるか、この項最後にお考えをお聞きします。
○議長（太田博康）　藤本総務部長。
○総務部長（藤本　聡）　まず、本市の公共施設の管理における官民連携の現状を申し上げます。
　公の施設１,２５２施設のうち、指定管理者による管理が２２３施設、市営住宅の管理代行が２３施設、汚水処理施設の包括的民間委託が７施設、残る９９９施設が直営による管理となっています。
　直営施設の多くは、広場や公園など、管理行為の中心が草刈りや清掃、安全点検等の作業となる施設であり、これらの作業についても民間事業者や地元自治区等へ委託をしております。
　公共施設における官民連携につきましては、指定管理者制度やＰＦＩなどの活用を基本方針として進めているところでございますが、直近では、議員ご紹介のとおり、鞍ケ池公園においてパークＰＦＩという手法を用いて、施設の魅力向上や効率的な管理運営に取り組んでいます。
　今後も、公共施設の管理に限らず、第３次地域経営戦略プランの基本方針に沿って、多様な主体とのつながりを深め、官民それぞれの強みを生かしながら行政課題の解決を図りたいと考えております。
　以上です。
○議長（太田博康）　古木議員。
○３２番（古木吉昭）　続いて、中項目の３、デジタルの推進に向けて。
　基本方針の３項目めは、先進技術、ＩＣＴツール等を活用した市民目線の市役所改革、いわゆるデジタル化についてです。
　今回３年連続でこの質問を行いますが、昨年創設された情報戦略課に今年２名増員されたことは一定の評価をいたしますが、これから本格的に豊田市デジタル強靱化戦略に基づき、行かない、書かない、待たないスマート窓口を目指し進められております。
　まず、フェーズ１として、令和４年度までに、できることから着実に実行するとされているため、その内容を確認してまいります。
　小項目の１、デジタル強靱化戦略の進め方。
　市役所業務を止めることなくデジタル化を進展させるためには、業者を入れて一斉に進める方法もあると思います。今回のデジタル強靱化戦略の進め方についてまず確認いたします。
○議長（太田博康）　栗本経営戦略部長。
○経営戦略部長（栗本光太郎）　令和３年２月に策定しましたデジタル強靱化戦略は、令和４年度までをフェーズ１と位置づけ、デジタル化の起点となる取組を進めております。
　現在、基本事業に位置づけている、電子申請、ＡＩチャットボット、ＡＩ-ＯＣＲ、ＡＩ議事録などによるデジタル化を各部局において進めております。
　これらの取組については、令和３年度の重点目標等にも位置づけ、進捗状況を確認しながら鋭意進めているところです。
　加えて、豊田市つながる社会実証推進協議会に参加いただいているＩＴ関連事業者等と連携することにより、デジタル技術の進展を注視し、中長期的な視点を持ち、市民サービスのさらなる向上のため、骨格となる取組として、電子申請を起点としたデジタルトランスフォーメーション、スマート窓口、相談業務等におけるＡＩの活用などを本市のデジタル化の核として捉え、取組を着実に進めてまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　古木議員。
○３２番（古木吉昭）　各部局で進めるとのことですので、ちょっと心配な部分がありますので、その部分について以降質問いたします。
　小項目の２、手続きデジタル化の目標。
　政府の規制改革推進会議は、２万２,０００ほどある行政手続の９８パーセント以上を２０２５年にオンライン化する目標を掲げる答申を６月１日に首相に対して提出いたしました。
　本市役所においてもデジタル化が進んでいると市民へ実感させるためには、どれほどの申請や手続などをスマート窓口でできるかにかかっております。ミライのフツーでは行かないことを目指すわけですが、その前のまず書かない、待たない窓口を目指す目標についての考えを伺います。
○議長（太田博康）　栗本部長。
○経営戦略部長（栗本光太郎）　書かない、待たない、スマート窓口については、パソコンやスマートフォン等から事前に届出や書類を作成する等、書類を書かなくても済むような仕組みの導入を市民課の窓口において検討しており、窓口での待ち時間減少を図ってまいります。
　また、手続デジタル化の第一段階として電子申請がありますが、本市では、あいち電子申請・届出システムの活用促進のために普及啓発を進めています。
　電子申請の目標としては、市民の皆様の利便性を考慮し、ニーズの高いものや申請数の多いもの等、効果の高いものから優先的に取り組みつつ、順次、電子申請可能な手続を増やしていくことで、スピード感を持ったスマート窓口を目指していきたいと考えています。
　スマート窓口の実現により、市民の皆様の利便性が向上し、職員の事務効率をも向上させることが本市の目指すデジタル化であることから、このような取組を着実に積み重ねてまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　古木議員。
○３２番（古木吉昭）　先ほどの答弁で、手続の数ではなく、市民サービスの向上、ニーズの高いところから進めるということが分かりましたが、やはりそのスピード感も重要であると考えます。その支障とならないかという観点で、小項目の３、各部局での取組を重視する理由について伺います。
　小項目１の答弁において各部局で電子申請、ＡＩチャットボットなどによるデジタル化を鋭意進めるとのことですが、部局ごとではなく統一してデジタル化できるものもあると思います。民間においては、３年間で世界一を目指すため、ＩＴ専門部署にそれぞれの部署がデジタル化に向けて要望等を吸い上げ、世界一を目指して投資するものを絞りながら進めるとのことであります。
　豊田市は各部局からの取組を重視することにより、各部局で重複した無駄なことになったり、反対に統一すべきところができなかったりしないか。また、各部局でのデジタル化予算をどのように進めるのか。さらにはデジタル化に向けては国からの予算措置もあります。そういった補助金の活用はどのように進めるのか。中項目の１で維持管理費のことを申し上げましたので、システムソフトにおいても同様に考えていかなければなりません。そういった観点も踏まえて、今回のデジタル強靱化戦略で各部局の取組を重視する理由について確認いたします。
○議長（太田博康）　栗本部長。
○経営戦略部長（栗本光太郎）　令和３年３月に豊田市デジタル化推進本部を設置しました。
　推進本部を設置した理由の一つとして、それぞれの部局が抱える課題や事業が異なることから、各部局として必要なデジタル化を着実かつスピード感を持って、全部局を通した効率的なデジタル化を進めることで全体最適化を図れることにあります。
　各部局での取組をデジタル化推進本部で取りまとめることで、俯瞰的かつ横の連携が図られるため、各部局での重複した無駄を省きながら、統合すべきところは統合し、かつデジタル関連の予算要求や国等の補助金活用等についても、全市的な観点で効率的かつ効果的に進めていくことができると認識しています。
　以上です。
○議長（太田博康）　古木議員。
○３２番（古木吉昭）　各部局よりデジタル推進本部でのデジタル化の進捗を今後も注視していくことを申し上げ、次の質問に移ります。
　小項目の４、先進的な自治体事例の反映。
　現在ネット検索をしますと、各自治体が先進的に取り組んでいるデジタル化への取組実績など、多くの自治体が取り組んでいることが検索できます。それぞれ部局において進める場合、どのようにその取組を取り入れるかについて、各部局で先進的な自治体事例の反映の進め方について確認いたします。
○議長（太田博康）　栗本部長。
○経営戦略部長（栗本光太郎）　様々な自治体でデジタル化に関する取組が進められております。
　デジタル技術の先進的な自治体として、つくば市ではスマート窓口、神戸市や加古川市ではオープンデータ、ビッグデータの活用などが先進的に取り組まれています。
　先進的な自治体とは、オンライン会議等により有益なＩＴ技術の情報を取得しながら、スマート窓口やＡＩを活用した相談支援体制の構築、電子申請の推進、地図を活用したオープンデータの取組を進めています。
　また、デジタル環境の先進的な自治体としては、福岡市、磐梯町のように外部人材を登用してデジタル化を推進している自治体もあり、本市においては、内閣府デジタル専門人材として民間ＩＴ企業社員を情報化推進アドバイザーとしております。
　なお、現在調整中ではありますが、中央省庁から派遣される職員を配置することで、国の動向を的確に捉えながら、先を見越したデジタル化を強力に進めていきたいと考えています。
　これら先進的な自治体の事例等は、デジタル化推進本部会議において各部局の本部員へ共有するとともに、各部局の推進員への研修で周知する等、推進本部が主導して各部局への取組に反映させていきたいと考えています。
　以上です。
○議長（太田博康）　古木議員。
○３２番（古木吉昭）　小項目の５、デジタル化推進本部員・推進員始め、職員の意識改革。
　各部局でデジタル化推進本部員、推進員が選任配置されている職員が、ある程度の知識はあるにせよ、デジタル化を進める上で、推進本部員、推進員の知識向上への取組、また、各部局でデジタル化を積極的に進めるためには全職員がデジタル化を理解し、協力していくことが重要であると考えます。
　そこで、デジタル化の知識向上として、ＩＴパスポートの国家試験取得を提言し、職員のデジタル化への意識改革についての考えを確認します。
　現在ＩＴパスポートは自己啓発として職員の方々が取得していると承知しております。ＩＴパスポート取得によるメリットとして、一つ目に情報セキュリティーや情報モラルなどの知識が身につき、インターネット等の利用時に機密情報の漏えいやウイルス感染など様々なリスクを理解し対応できることや、コンプライアンス、法令遵守に貢献する正しい知識、知的財産権などに関する法律などが身につきます。何よりも経営戦略、財務など経営全般に関する基礎知識が身につき、ＩＴを活用した業務の課題把握と解決力が養われ、業務改善ができることです。情報システムなど、ＩＴの基礎知識が体系的に身につくことでＩＴによる円滑なコミュニケーションにも役立ちます。
　二つ目は、組織のＩＴ力向上につながること。
　コンプライアンス強化となり、行政リスクである機密情報や個人情報の漏えいなどの原因で起こる職員のシステム誤操作や確認漏れ、管理不徹底など、人的ミスによる被害を未然に防止するためにも、ＩＴパスポート取得は有効であり、大変重要であると考えます。
　また、今年度より新入職員の研修も行うとのことですが、ＩＴパスポート取得者が新入職員への導入教育としても活用できます。
　三つ目は、企業や省庁などの派遣時でのアドバンテージ、これからはＩＴの知識等の取得も必要になってくると考えます。各部局でのデジタル化を進める上で、お墨つきを得た上で行うことが必要であると考えます。
　そこで、デジタル化推進本部員、推進員へＩＴパスポートの取得と職員の意識改革について伺います。
○議長（太田博康）　栗本部長。
○経営戦略部長（栗本光太郎）　デジタル化の推進においては、デジタル技術を理解することも重要でありますが、デジタル化に携わる職員一人一人の意識改革も並行して進めていくことが重要であると認識しています。
　まず、デジタル化推進本部員に向けては、年数回開催する本部会議にて、民間企業や先進的な自治体の事例を共有する機会を通じて、デジタル化に関するトレンドや先進事例などを共有し、各部局の視点にとどまらない、本市を俯瞰した取組が可能となるような環境を整えております。
　また、各課に配置したデジタル化推進員に向けては、デジタル化の推進において意識してほしい視点、各種ツールの利用方法について研修を随時実施していきます。
　さらに、全職員に向けた、Ｅラーニングを活用したデジタル強靱化戦略に関する研修、新規採用職員に向けた研修を実施しております。
　一方、民間企業へ派遣している職員を講師として、データの利活用等に関する勉強会を昨年度に引き続き実施するとともに、人事課の自主学習助成を活用して、デジタル化に関する国家資格であるＩＴパスポートの取得促進やＡＩの活用に関するディープラーニングＧ検定の取得推奨を進め、デジタル化に詳しい人材の育成も進めております。
　特に、ＩＴパスポートについては、デジタル活用の基礎知識の習得及び知識向上が効果的に行えるものと認識しており、デジタル化推進本部員や推進員を始め、広く職員にこの国家資格の取得を推奨していきたいと考えております。
　これらの取組を継続的に実施することで、庁内全体でのデジタル化に関する意識改革を進めていきたいと考えております。
　以上です。
○議長（太田博康）　古木議員。
○３２番（古木吉昭）　小項目の６、デジタル化の推進に向け重視する視点。
　小項目５まででデジタル化に向けてどのように行かない、書かない、待たせないスマート窓口を実現させるか、提言も含め確認しました。今回の質問では、第３次地域経営戦略プランの三つの基本方針に掲げるものから公共施設等総合管理計画での維持管理の縮減への取組や行政課題解決に向けた取組の拡大、最後にデジタル化への取組を確認しました。今年度から進められるデジタル化の推進は市役所の働き方も大きく変革するものであり、市民サービスの向上にもつながります。そのデジタル化の推進に向け重視する視点について最後にお伺いします。
○議長（太田博康）　栗本部長。
○経営戦略部長（栗本光太郎）　国では、デジタル改革関連の６法案が令和３年５月に成立したことを受け、９月に予定しているデジタル庁発足により、デジタル化が加速度的に進められるものと理解しており、本市としては職員の意識改革、業務プロセスの見直し、技術革新の三つの視点を重視してデジタル化を加速してまいります。
　特に窓口を始め、市民の皆様の利用が多い業務でのデジタル化が重要と認識しており、市民課窓口における書類を書かなくて済むようなスマート窓口や福祉の窓口における新人職員や異動間もない職員でも、迅速的確な相談対応ができるＡＩを活用した相談支援、市役所に行かなくても各種手続ができる電子申請を着実に推進していきます。
　併せて、デジタル化により市役所業務の効率化によって生み出された時間を市民の皆様との対話の時間に当てることで、市民本位の行政運営を図ってまいります。
　デジタル化の推進に向け、豊田市デジタル強靱化戦略に基づくデジタル施策を着実に進めることにより、行かない、書かない、待たない、ミライのフツーを実現した市役所となることにより、市民サービスのさらなる向上を実現してまいります。
○議長（太田博康）　古木議員。
○３２番（古木吉昭）　今回の質問は、第３次地域経営戦略プランとして第８次豊田市総合計画の後期実践計画と両輪で進めるものであります。継続して質問しておりますので、今後も答弁いただいた内容を注視して確認していくことを申し上げ、全ての質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長（太田博康）　以上で３２番、古木吉昭議員の質問を終わります。

○議長（太田博康）　暫時休憩します。再開は午後３時５５分とします。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　休憩　午後３時５０分
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　再開　午後３時５５分
○議長（太田博康）　休憩前に引き続き会議を開きます。
　報道機関から撮影、録音による取材の申出があり、これを許可したのでご了承願います。
　１１番、中島竜二議員。
○１１番（中島竜二）　議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、大項目１点、市民ニーズの多様化に対応した都市公園について、順次質問をさせていただきます。
　新型コロナウイルス感染拡大が依然として続いており、市長を始め、各部長など市職員の皆様が感染拡大防止対策などに尽力されていると思います。心より感謝申し上げます。
　また、医療従事者の皆様の日々の奮闘に敬意を表すとともに、一日も早い収束を願っております。
　さて、新型コロナウイルス感染拡大により、多くの市民がなかなか遠出できない状況が続いている中、近場への外出が増えているそうです。身近で訪れることができる場所といえば、その中の一つが都市公園だと考えます。
　そこで、今年の５月から本市の代表的な都市公園の一つである鞍ケ池公園が、スターバックスコーヒーやパークフィールドスノーピーク豊田鞍ケ池などのリニューアルオープンがなされました。カフェやキャンプフィールドが新設されたことにより、若者でも、親子でも楽しめるし、全ての市民でも楽しめるような魅力のある公園になりました。
　私もリニューアルされた鞍ケ池公園を何度も訪れましたが、コロナ禍にもかかわらず大勢の方々が来園され、特に親子連れ家族が多くにぎわっていました。こうした身近に楽しめる場所があることはとてもありがたいことではないかと思います。
　そもそも、都市公園とは、身近な街区公園などの住区基幹公園に始まり、総合公園や運動公園などの都市基幹公園や５０ヘクタール規模の大規模公園、国営公園などに分類され、住宅街にある公園から大規模な公園まで、規模も用途も様々であります。
　都市公園の役割としては、良好な都市環境の提供、災害から市民を守るなど都市の安全性の向上、市民の活躍の場、憩いの場の形成、豊かな地域づくり、地域の活性化などがあります。
　こうした都市公園の機能をうまく活用しながら、今後もさらなる市民ニーズに応じた魅力のある都市公園が必要になってくるのではないかと思われます。
　例えばドローンやスケートボード、バーベキューなどで楽しめるような多様な公園を整備してほしいという市民ニーズがあるとお聞きしており、時代が変わればニーズは変わる、利用者も変わるということを改めて認識する必要があるのではないかと考えます。
　それでは、中項目１点目、都市公園の管理の現状について質問いたします。
　都市公園への市民ニーズが多様化になっている中、本市は市民ニーズに対してどのように対応しているのか、様々なニーズを踏まえて都市公園をどのように管理しているのか、都市公園の管理の現状について把握していきたいと思います。
　本市の都市公園の開設状況についてですが、市内で１８７の公園があり、そのうち猿投公園や柳川瀬公園などのスポーツ施設や支所と一体的に管理をしている上郷公園などを除くと１８０の都市公園があると伺っております。
　それでは、小項目１点目、公園管理の現状についてお伺いします。
　市内１８０の都市公園をどのように管理しているのか、お聞かせください。
○議長（太田博康）　阿久津都市整備部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　都市公園の管理は、開設している１８０公園のうち１５６公園を１１の地区に分け、市内造園業者に委託し、残りの２４公園はシルバー人材センターや地元の管理組合等に委託をしております。
　委託内容は樹木の剪定や草刈り、トイレ清掃、遊具等の日常点検などの管理業務です。
　また、遊具等については、国や一般社団法人日本公園施設業協会が示している劣化や安全に関する基準に基づいて、年１回定期点検を実施しております。
　以上です。
○議長（太田博康）　中島議員。
○１１番（中島竜二）　本市は広大な面積を有し、多くの都市公園を擁していることから、市域を１１地区に分割して管理しているのは妥当だと考えます。
　それでは、小項目２点目、公園管理に対する市民の要望や問合せについてお伺いします。
　都市公園を管理している中、当然自治区からの要望や市民からの要望などがあると思います。要望や問合せがどれくらいあるのか、内容についてはどのようなものがあるのか、現在の状況についてお聞かせください。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　都市公園に対する要望、問合せは、主に自治区から提出される工事申請や市民からの問合せメールなどで受けております。
　工事申請については、令和２年度は１６５件を受け付けており、内容としては、樹木の剪定や伐採の要望、公園施設の修繕要望等が多数でありました。
　メールでの問合せについては、令和２年度は９３件であり、内容はドローンの飛行やバーベキュー、花火など公園の利用方法に関する相談が半分以上を占め、次いで公園利用上の注意喚起の看板設置などの要望が多くありました。
　以上です。
○議長（太田博康）　中島議員。
○１１番（中島竜二）　自治区からの申請は年間１６５件もあるということが分かりました。また、メールでの問合せに関しては、ドローンの飛行やバーベキュー、花火などの相談が半数以上であることも確認できました。家族で楽しめる、グループで楽しめるといったようなニーズがたくさんあるということも現在の傾向の一つではないかと考えます。
　様々な要望や問合せに対応しながら、全ての公園の隅から隅まで管理するのは大変ではないか、職員や委託業者の負担も大きいのではないかと思われます。また、公園を管理するに当たって様々な課題があるのではないかと考えます。
　それでは、小項目３点目、公園管理における課題について、本市としてどのように認識しているのか、お伺いします。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　公園管理における課題は、遊具やフェンスなど公園施設の破損対応を始め、利用者の安全確保に関する課題や、公園内の樹木の越境、夜間の騒音、不審火等、公園周辺の住環境に関する課題など多岐にわたっています。
　特に、施設の不具合、異常への早期発見、早期対応は安全で安心して利用できる公園の管理として重要な課題と認識しております。
　以上です。
○議長（太田博康）　中島議員。
○１１番（中島竜二）　様々な課題があると理解しました。特に利用者の安全・安心の観点から、公園施設の不具合があれば当然速やかに対応しなければならないと考えます。対応が遅れれば遅れるほど事故につながるなど危険性が高くなってしまうおそれがあるので、課題がある以上、できる限り早期に解決しなければなりません。
　それでは、小項目４点目、迅速な課題解決に向けた取組について、現在の状況について具体的にお聞かせください。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　課題への迅速な対応を図るため、令和３年度から市内の造園業者と地元管理組合に委託している１５８公園の管理業務において、スマートフォンアプリを活用した管理報告をすることとしています。
　具体的には、受託者が管理する公園施設において、異常を発見した場合、スマートフォンを用い、施設の位置情報や破損状況などをリアルタイムで市に報告するもので、これにより異常発見時の現場への迅速な指示、対応が可能となりました。
　また、夜間の騒音や不審火など事件、事故が発生した公園には、可搬式の防犯カメラと注意喚起のポスターを設置するなど、再発防止に努めております。
　以上です。
○議長（太田博康）　中島議員。
○１１番（中島竜二）　今年からスマートフォンを活用した取組が始まったということですが、市役所においても今後デジタル化推進に取り組まれると思いますので、デジタル技術を取り入れられるものは積極的に取り入れて進めるようにお願いいたします。職員や委託業者の負担が軽減できれば、公園管理や利用者の要望などに対して、迅速かつ丁寧な対応ができるのではないかと期待しております。
　さて、小項目２点目でお尋ねしましたが、様々な要望や問合せがあり、市民ニーズも様々であることが確認できました。
　それでは、小項目５点目、多様な意見、要望への対応についてお伺いします。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　公園は様々な人々が利用する場所であり、お互いが安心して快適に利用できるよう、一定のルールは必要と考えており、様々な意見や要望に対して全て応えていくことは困難です。
　しかし、他の公園利用者との共存が可能な河川敷の一部の公園では、周辺環境や安全に配慮しつつ、ニーズに応えるよう努めております。
　今後も関係法令の改正などの動向や社会情勢を踏まえつつ、ニーズの変化に柔軟に対応しながら、様々な人々が使いやすい公園づくりに努めていきたいと考えております。
　以上です。
○議長（太田博康）　中島議員。
○１１番（中島竜二）　今答弁がありましたように、ドローンを含めた無人航空機に関しては、今後、航空法などの法整備の改正が議論される予定であり、公園利用者の安全確保の観点から、例外として御立公園の一部エリアのみ、事前申請をした上で許可をしているということだと認識しております。
　確かに、御立公園で現地調査をしたところ、ドローンを操作している利用者がいらっしゃいました。利用者のニーズから見れば、安全を確保できれば、ほかの公園でも利用してもいいのではないかと思えることもあり、法改正の動向などに注視していただき、より使いやすい公園となることを期待しております。
　以上で、中項目１点目として都市公園の管理の現状について質問いたしました。
　今後も、市民や利用者の様々なニーズに対応しながら、適切に公園を管理していただくよう、引き続きよろしくお願い申し上げます。
　続きまして、中項目２点目、インクルーシブ公園について質問いたします。
　現在の市内の都市公園における遊具の更新やバリアフリーの状況などを踏まえた上で、今後のインクルーシブ公園の考え方についてお伺いしたいと思います。
　そもそもインクルーシブ公園とは、障がいの有無にかかわらず、誰もが楽しめる遊具のある公園のことで、１９８０年代以降に欧米で広がりました。しかし、国内のほとんどの公園は障がいのない子ども向けに設計されているのが実情であります。
　近年、全国各地で障がいのある子どもでも安心して遊べる公園が増えています。例えば、東京都豊島区が昨年の９月に設置したとしまキッズパークでは、大人にだっこされたまま滑ることができる幅広の滑り台や台の上に砂が置かれ、車椅子に乗ったまま遊ぶことができる砂場などがあるそうです。ミニＳＬも乗り降りしやすいように工夫されていますし、地面はウッドデッキで車椅子でも動き回りやすいように工夫もされているそうです。
　また、神奈川県藤沢市の秋葉台公園では、今年の３月に神奈川県初のインクルーシブ公園として、４種類のインクルーシブ遊具が導入されました。足が不自由な子どもや姿勢を保つのが難しい子どもも一緒に遊べるよう設計されているそうです。例えば車椅子のままアクセスできるスロープや車椅子からの移乗ポイントを設定したアクセスシブルな構成で、難度のある動線やクールダウンポイントを設けるなど、多様な子どもが一緒に楽しめる複合遊具があります。また、体を保持する大型バケットシートが設置されたブランコは、ハーネスでしっかり体を固定するので、体幹が弱い子どもでも安心して乗ることができます。ほかに車椅子から乗り降りしやすいように低くつくられている回転系遊具やスロープ付きで車椅子のまま遊べるスイング系遊具もあります。
　それら以外にも東京都世田谷区や岩手県宮古市など全国各地に広がっています。
　一般社団法人ＴＯＫＹＯ　ＰＬＡＹと公益財団法人東京都公園協会の聞き取り調査によると、障がいのある子どもの親の多くが公園に行きにくいと回答したそうです。一方、家族に障がい者がいない人のうち７割が障がい者と関わる機会がないと回答したと分かりました。
　そうした現状があることを重く受け止めなければなりません。多様な都市公園の利用ニーズを踏まえながら、障がいの有無にかかわらず、誰もが安全・安心に利用できるインクルーシブ公園の整備が必要ではないかと考えます。障がいのある子どもとない子どもと共に関わり、交流する場所としての役割があるなどメリットがあります。新たに公園を整備するのは難しいとしても、既存公園にある遊具を更新するタイミングでインクルーシブ遊具を設置するなど、様々な方法があるのではないかと考えます。
　それでは、小項目１点目、遊具更新の考え方について伺います。そもそも遊具を更新するタイミングはいつなのか、どのように更新していくのか、また、近年の実績について教えてください。
○議長（太田博康）　阿久津都市整備部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　市内の都市公園には、約６９０基の遊具があり、長寿命化計画に基づき更新を実施しております。遊具の更新は、定期点検による劣化状況から健全度を判定し、劣化が進み、緊急度の高い遊具から順次更新を進めています。
　実績としては、平成２５年度から令和２年度末までに約３０パーセントに当たる２１９基の遊具を更新しています。
　以上です。
○議長（太田博康）　中島議員。
○１１番（中島竜二）　豊田市内の都市公園の遊具が約６９０基あると分かりました。年に１回の定期点検により総合的に判断し、劣化が進んでいるかつ緊急度の高い遊具から順次更新していると理解できました。遊具の更新について確認できましたので、次の質問に入ります。
　それでは、小項目２点目、バリアフリーの整備状況についてお伺いします。
　障がいの有無にかかわらず、誰もが気軽に利用できる公園にするためには、まずはバリアフリーが当然必要です。例えば車椅子に乗っている方やベビーカーを押す方、高齢者など様々な配慮の必要な方がいらっしゃいます。こうした方々のためのバリアフリーについては、どのような整備がなされているのか、市内の都市公園の整備状況は現在どのようになっているのか、お聞かせください。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　都市公園のバリアフリーについては、国土交通省が策定した都市公園技術標準等により、園路幅員や勾配のほか、出入口の間口等が定められています。
　本市における都市公園のバリアフリーの整備状況としては、１８０公園のうち約８割の公園で対応しております。ただし、起伏が激しい位置に存在する公園など、立地条件や周辺環境等によって園路の勾配等が基準を満たすことができない公園も存在しております。
　以上です。
○議長（太田博康）　中島議員。
○１１番（中島竜二）　国土交通省の都市公園技術標準などに基づき、入り口の間口や園路幅などの整備を進めていると分かりました。そもそもバリアフリーの整備は利用者の安全・安心につながるものだと考えております。基準を満たしていない公園もあるということですが、昔ながらの公園が存在していると思いますので、公園の文化的景観が損なわれない限り、できるところからバリアフリーの整備を進めていただくことを期待します。
　それでは、小項目３点目、インクルーシブ公園の考え方についてお伺いします。
　冒頭でも述べましたが、障がいの有無にかかわらず、誰もが楽しめる遊具のある公園は必要です。ソーシャルインクルージョンという言葉があり、全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として包み、支え合うという理念を言います。
　ソーシャルインクルージョンを普及するためには、身近な環境と関わることが重要ではないかと考えます。この理念を共有できる環境づくりももちろん大切ではないでしょうか。こうした環境づくりは、福祉や教育の現場を始めとする環境づくりから始めることが最も重要と認識しておりますが、ハード面の整備としてインクルーシブ公園も必要だと私は考えます。インクルーシブ公園に関して本市としての見解をお聞かせください。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　様々な利用ニーズがある中で、障がいの有無にかかわらず安全・安心に利用できる公園であることは大変重要な視点と認識しております。
　インクルーシブな考え方の公園整備については、障がいなどを含めた利用者の多様性の理解や共有の下、福祉的、教育的な観点も踏まえながら、遊具や施設の更新に合わせて総合的な視点で対応を判断してまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　中島議員。
○１１番（中島竜二）　地域共生社会を実現するためには、小さいときから障がいのある人とない人と共に関わることから始めることが重要ではないかと考えます。また、誰一人取り残さないという理念のあるＳＤＧｓの取組として大変重要なことだとも言えます。
　インクルーシブ公園の遊具を全ての都市公園に設置してほしいというわけではなく、鞍ケ池公園のような大型都市公園の一部に設置するなど、ぜひ本市としても可能なところから進めていただくよう、ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
　インクルーシブ遊具を設置しても、障がいのある子どもが遊んでいる際に、障がいのない子どもが一緒に遊ぶのを遠慮する、またその逆のことが起きるような状況になってしまうと、本来の目的であるソーシャルインクルージョンが達成できなくなります。
　インクルーシブ遊具を設置するに当たって、障がいのある子どもやその親、地域住民が公園の計画や整備の段階から参画し、議論できるような環境づくりが必要だと考えます。そのあたりについてもよろしくお願い申し上げます。
　本市が誰もが憩う快適な空間を創出するために、中心市街地や豊田スタジアムと連携して多世代が交流できる空間を創出することを目指し、中央公園第二期整備を推進していく方針があると伺っております。今後、中央公園を段階的に整備していく中、ぜひその整備に合わせてインクルーシブ遊具を設置するなどご検討いただくように提言いたします。
　整備が終わってからでは遅いと思われますので、計画を策定する段階で議論しながら取り入れられるものはぜひ取り入れていただき、市民ニーズの多様化に対応した老若男女問わず、誰もが楽しめるような魅力のある都市公園を期待します。
　２０１７年に都市公園法が改正され、地方公共団体など公園管理者の許可を受けた上で都市公園内で保育所や保育園、認可こども園や学童クラブなどの設置が認められるようになりました。それだけではなく、公募によって公園内にカフェやレストランなどの収益施設も設置できるようになりました。都市公園の再生、活性化を目的として、そのように規制が緩和されたため、整備しやすくなった面があると思われますので、今後も本市として積極的に取り組んでいただきたいと思います。
　スポーツ施設や運動公園などを管理している生涯活躍部を始めとする関係のある部署と連携をしながら、時代の変化に対応した都市公園の役割と可能性を十分見極めていただき、前向きにご検討いただくことを期待します。
　最後に、都市整備部だけではなく、障がい福祉課を始めとする福祉部や特別支援学校を所管している教育委員会などにおいて、福祉と教育が両輪となり、まず多様性の理解と共有を図り、障がいのある人とない人と共に学び、共に育つ地域共生社会の実現に向けて、市民ニーズの多様化に対応した魅力のある都市公園の整備も含め、全市的な取組に期待して全ての質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長（太田博康）　以上で１１番、中島議員の質問を終わります。

○議長（太田博康）　暫時休憩します。再開は午後４時３０分とします。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　休憩　午後４時２５分
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　再開　午後４時３０分
○議長（太田博康）　休憩前に引き続き会議を開きます。
　本日の会議は議事の都合により、午後８時まで延長します。
　３６番、岡田耕一議員。
○３６番（岡田耕一）　私は通告に従い、大きくは４項目の質問をいたします。
　まずは１項目め、新型コロナウイルスワクチン接種への対応について伺います。
　本市においても新型コロナウイルスワクチンの集団接種、個別接種が始まり、皆さん期待感を持って接種を進めている状況であります。まずは関係各位のご尽力に敬意と感謝を申し上げたいと思います。
　まずは中項目の１といたしまして、安心・安全、不公平感のないワクチン接種について伺ってまいります。
　まずは１点目、集団接種予約における電話枠の確保、予約システムの見直し、その他市民相談への対応について伺います。
　本市は、個別接種を推奨していると認識しています。しかし、かかりつけ医のいない市民がコロナワクチンナビを確認し、一般向けとなっている医院で予約しようとしても、診察券がないとの理由により予約できないところもあるそうであります。
　そして、６月１３日現在でコロナワクチンナビ対応医院１１４件中７施設しか一般予約ができない状況の中で、集団接種への期待は大きいものがあります。
　そこで、本市における集団接種予約ですが、接種希望日から一定期間前の決められた日以降いつでも予約申込みが可能となっております。しかし、実際には、インターネット予約により深夜未明にあっという間に枠が埋まっている状況であります。そして、後日、眠い目をこすりながら、ＰＣ、スマホと格闘しながら再挑戦されている方も多いようであります。
　結果的に現状の予約システムでは、集団接種の予約可能日は限定されており、その日がいっぱいになれば、また次の予約可能日まで待たねばなりません。
　また、電話予約は朝の９時からですが、ネット予約は、先ほど言ったように、日付が変わった時点で可能となり、その時点で瞬時に予約がいっぱいになることも私自身、数回体験いたしました。
　地域ごとにわざわざ時期をずらして接種券を発送し、予約が集中しないように配慮していたものの、結果的には少ない予約枠に連日多くの皆さんが殺到し、予約ができない状況であります。
　そこで、提案でございますが、現在ＬＩＮＥを含めたインターネット予約も電話予約も同じ枠内での予約と伺いましたが、ネットと電話、それぞれに予約枠を別に設けることはできませんか。
　それができないのなら、例えば９時からの電話予約を優先し、インターネット予約は午後から、または、電話予約終了後からとするなど、インターネットを活用できない方への配慮、優先の考えが必要ではないでしょうか。
　併せて現在予定されている全ての日時、会場をいつでも予約できるよう、早急にシステム変更すべきと考えます。現状のシステムの理由、今後の対応をお聞かせください。
　また、その他ワクチン接種予約以外についても、市民から直接、または、電話、インターネット等、様々な声が市にも届いているのではないでしょうか。どのようなご意見があるのか、それらに対する対応も併せてお聞かせください。
○議長（太田博康）　竹内保健部長。
○保健部長（竹内清美）　集団接種の予約システムは、予約データを一元的に管理しており、インターネット予約、電話予約を別々に管理することはできません。
　また、１回目の接種を終えた人が先行して２回目を予約して、確実に２回目の接種が受けられるように設計されているため、先々の予約枠を全て空けてしまうわけにはいきません。これは全国の複数の自治体が採用しているパッケージのシステムであり、今から任意に改修することはできません。
　電話予約に対する改善策として、予約の追加枠を開示したときには、コールセンター開始時刻の午前９時に受付開始時刻を合わせました。今後もこのような運用面での改善を工夫してまいります。
　今後、会場レイアウトや運営方法を改善し、予約枠の拡大にも努めてまいります。
　次に、市民の皆様の意見と対応としては、接種券の早期送付を望む意見が多くあったため、送付時期を当初の計画から前倒しいたしました。
　このほかにもコールセンターに電話がつながりにくいとの意見も多いことから、電話の回線数を増やしたところです。
　以上です。
○議長（太田博康）　岡田議員。
○３６番（岡田耕一）　他の自治体では、インターネット枠と電話枠を明確に分けているところもございます。現状ではこのシステムの選択ミスと言わざるを得ませんが、システム上できないものは仕方ありません。
　また、コールセンターの回線を増やしたとしても、その前に予約枠がなくなっている現実を直視する必要もあります。各現場のご労苦には頭が下がりますが、今後の現役世代の接種に向けた新たな取組に期待し、次の質問に入ります。
　２点目、県が実施する大規模接種への参加について伺います。
　愛知県では、県内医療機関の協力を得て、新型コロナワクチンの大規模集団接種会場を県内に開設し、高齢者接種及びそれに続く住民接種を速やかに実施するとしております。
　具体的には、空港ターミナルビルにおいて、名古屋市、春日井市、小牧市、豊山町を対象に１日２,０００人規模で、また、藤田医科大学において名古屋市、刈谷市、大府市、豊明市、日進市、東郷町を対象に１日１,０００人規模で接種を進めております。
　もう既に予約と接種が進むこの時期において、豊田市も対象自治体に加えることは非現実的ですが、今後、新たな接種スケジュール等が追加される可能性があるのなら、豊田市も対象自治体とするよう、県へ要請できないでしょうか、所見をお聞かせください。
○議長（太田博康）　竹内部長。
○保健部長（竹内清美）　愛知県が実施する大規模接種会場での接種については、既に実施している会場に参加するのではなく、新たに開設する会場での参加を考えています。
　具体的には、午前中にも答弁したとおり、県が西三河地方に新たに開設する大規模接種会場で本市市民が接種できるよう、現在愛知県と予約方法やシャトルバスの運行など、実務的な連絡調整を進めています。
　今後、詳細が決まり次第、市民の皆様に公表してまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　岡田議員。
○３６番（岡田耕一）　では、最後に３点目、ワクチン接種をしない、できない方に対する偏見、差別、不公平感のない社会の実現について伺います。
　なかなか接種予約がとれないという声もありますが、関係各位のご尽力で徐々にではありますが、接種も進み、一般の方でも早い方では２０日頃から２回目の接種も始まるようであります。
　しかしながら、持病の関係で接種できない方やご自身の判断で接種されない方もおられるかもしれません。ワクチンの接種は任意であり、強制ではありませんので、ワクチン接種していない方を偏見の目で見たり、差別したりすることは決してあってはなりません。
　ただ、世界的に広がりつつあるワクチンパスポートとも呼ばれるワクチン接種証明書による各種利用制限の解除など、区別は必要かもしれません。
　ワクチン接種をしない、できない方に対する適切な区別の在り方と偏見、差別、不公平感のない社会の実現について、本市の考え、今後の取組をお聞かせください。
○議長（太田博康）　藤井市民部長。
○市民部長（藤井美彰）　ワクチン接種をしない、できない方に対する適切な区別につきましては、国の見解が示されておりませんので、今後、国の動向を注視しながら対応してまいります。
　また、ワクチン接種に関する人権問題につきましては、他の人権問題と同様に取り組み、偏見、差別、不公平感のない社会の実現を目指してまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　岡田議員。
○３６番（岡田耕一）　ご答弁いただきました。思いが伝わるよう、しっかり啓発いただくよう要望し、次の質問に入ります。
　次に大項目の２、駅西口再開発ビルに関連する今後の展開について質問いたします。
　松坂屋豊田店が本年９月末で営業を終了いたします。同店が入店する駅西口再開発ビルを保有するのは、豊田市が筆頭株主となっている豊田まちづくり株式会社、以下、会社といたします、であります。本市はこの会社に約２３億円の債務が残った状況で、新たな銀行融資によるビル再生、テナント募集は難しいと判断し、債務を株式に転換し、その全てを本市が保有する議案がさきの３月市議会定例会で可決、成立いたしました。今後は、松坂屋撤退後に入店されるテナント募集、ビル再生が急務となります。
　そこで、まずは、中項目１として、本市と豊田まちづくり株式会社について伺います。
　本市は、株主総会を経て、会社の発行株式の９割以上を保有する特別支配株主となる予定であります。私は、過去に会社が締結された松坂屋豊田店に関する契約書、合意書等を確認し、松坂屋撤退と今後のビル再生を考えたいと思い、本市及び会社それぞれに対しまして、市情報公開条例に基づき開示請求をいたしました。
　結論としては、市は資料を保有していない。会社は相手との秘密保持契約上、明らかにできないとのことでありました。
　そこで１点、過去に会社が締結した契約書等の保有、内容把握と今後の保有、管理について伺います。
　本市の文書の保存期間は、市文書管理規程に基づき、法令に定められたものを除き、３０年、１０年、５年、３年となっております。先ほど申し上げたとおり、現在、市では会社が締結した契約書等の保有はしていないとのことでありましたが、かつては関係資料を保有していたのか、それらの内容は市として把握しているのか、お聞かせください。
　それから、今後のことを考えますと、会社の契約書等の全てを管理することは非現実的ですが、会社の特別支配株主となる本市は一定額、一定期間以上の契約書等については責任を持って複製品を保有し、内容を把握しておくべきと考えます。所見をお聞かせください。
○議長（太田博康）　西脇産業部長。
○産業部長（西脇委千弘）　豊田市として豊田まちづくり株式会社の契約書等を保有したことはありません。株主総会で示される事業報告や計算書類等の範囲で内容は把握しております。
　また、今後についても、豊田まちづくり株式会社が締結した契約書等の複製品を市が保有することは考えていません。
　豊田まちづくり株式会社が継続して健全経営を行うよう、筆頭株主として適切に権利を行使してまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　岡田議員。
○３６番（岡田耕一）　では、次に、中項目の２、豊田まちづくり株式会社と松坂屋豊田店について伺います。
　私がさきの質問で契約内容等を確認したかったのは、今後の会社の再出発に際して、可能な限り金融機関からの融資を減らし、事業を好転させ、できるだけ速やかに株主に対して適切な配当金を出せるようにしてほしいからであります。
　そして、これまで地域に貢献されてこられた松坂屋には、契約を適切に履行され、立つ鳥跡を濁さずきれいに撤退されるのか、確認したかったからであります。
　そこで１点、契約事項の確認とそれに基づく今後の対応について伺います。
　契約書等の内容の全てについては、秘密保持契約上、明らかにできない部分があることは理解いたします。しかし、会社の特別支配株主となる本市の、市民、納税者に対する責任として、最低限の事項は明らかにすべきであります。
　そこで、伺います。
　松坂屋撤退時の原状回復費用は契約上、どうなっていますか。最新の情報として、その費用はどの程度を見込んでいるのか、契約事項に基づく今後の対応も含め、お聞かせください。
○議長（太田博康）　西脇産業部長。
○産業部長（西脇委千弘）　豊田まちづくり株式会社が保有する松坂屋からの預り金の全ては、原状回復費用に充当し、精算する契約を締結したと確認しています。
　費用の見込み額については、秘密保持契約が交わされており、お答えできません。
　今後は、契約に基づき適切に原状回復が図られるよう確認してまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　岡田議員。
○３６番（岡田耕一）　預り金の額が秘密保持契約というのは分かります。しかしながら、原状回復費用の見込み額が秘密保持契約というのは理解できません。でしたら、原状回復費用清算後に会社がどれだけ負担したかは、後日ぜひ公表したいただきたい、その点を強く要望しておきます。
　最後に、中項目の３、テナント募集の進捗状況と今後の対応について伺います。
　松坂屋豊田店が営業を終了する本年９月末まで、残すところ３か月余りとなりました。この発表以降、市及び会社も会社存続とビル再生に必死で取り組んでこられたことと思います。時代の流れにより、店頭販売を行う実店舗での買い物からＥＣ、またはＥコマースとも呼ばれるインターネットショッピングが当たり前になった時代となり、またコロナ禍でもあり、さらに実店舗での消費が落ち込む厳しい時代となっております。
　そこで１点目、現段階でのテナント出店意向について伺います。
　コロナ禍でもあり、松坂屋豊田店が営業終了と同時にＢ館からの撤退店舗もあるのか、今後の新規出店意向店舗はどうなのか、出店規模、業種等、可能な範囲でご答弁願います。
○議長（太田博康）　西脇産業部長。
○産業部長（西脇委千弘）　松坂屋豊田店営業終了を理由としたＢ館からの店舗の撤退は聞いておりません。
　テナント誘致は滞在型書店を始め、当初のコンセプトどおり順調に進んでおり、株主総会を経て、出店契約等、必要な手続を終えた後、公表されると聞いております。
　以上です。
○議長（太田博康）　岡田議員。
○３６番（岡田耕一）　では２点目、新たな視点での入居テナント誘致について伺います。
　本市に限らず、駅前商業施設における百貨店等の撤退、小売店舗の閉店が珍しくない状況であり、同時に新型コロナウイルス感染症の影響もあり、実店舗にとっては厳しい時代となっております。
　こうした中、現状のままでテナント誘致できたとしても、継続的に経営されるには厳しい時代となっております。持続可能なまちづくり、地域の活性化を考えるのなら、定住人口、交流人口の増加は欠かせません。
　そうであるなら、例えば、建築後４０年程度を超えるような商業ビル、オフィスビル等のオーナー様と協議を行い、容積率、建蔽率等の変更も視野に入れた集合住宅等の建替えを市から提案できないでしょうか。
　そして、現在入居されている店舗、事務所などを再開発ビルに移転していただく。そして、新たなビルとしてマンションや事務所などを建設していただき、定住、交流人口を増やす。こうすることによって駅西口再開発ビルのテナント誘致とともに、中心市街地全体の活性化が期待できるのではないでしょうか。本市の所見、実現可能性を伺います。
○議長（太田博康）　西脇部長。
○産業部長（西脇委千弘）　再生手法としてご提案の可能性はあり得るものと考えますが、一方、現在、中心市街地では、再開発法人等による中心市街地テナントミックス再構築プロジェクトが継続的に実施され、各法人が情報を共有することで、各施設の役割に合ったテナント誘致が行われています。
　魅力ある店舗や事務所等が誘致され、中心市街地の価値を高めるため、このような民間が中心となる取組を支援してまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　岡田議員。
○３６番（岡田耕一）　松坂屋豊田店閉店後の駅西口再開発ビルを含めた中心市街地の活性化、豊田まちづくり株式会社の業績が回復されることを期待しまして、次に大項目の３、フォレスタヒルズ跡地の利活用について質問します。
　トヨタ自動車の１００パーセント出資子会社であるトヨタアメニティが運営する複合レジャー施設、フォレスタヒルズが、施設老朽化と利用客の減少を理由に来年３月末で閉館すると本年３月に公表されました。
　報道によりますと、施設は１９９３年に開設され、敷地面積７６万平方メートルにホテルや結婚式場、プールなどを備え、現在も地域住民にも開放、開館当時は５０万人規模だった来場者数が近年は３０万人ほどとなり、さらに新型コロナウイルス感染が広がったこの１年間は約１５万人にまで落ち込んだ。そして、老朽化で数年以内に大規模修繕が必要になるものの、投資を回収する見込みは立たないとして、開館３０年を前に閉館を決めたとのことでありました。
　本施設は、市の出資を受けない純粋な民間施設であり、管理者にお話を伺いますと、敷地についても民間所有であり、本市の責任となるところではありません。しかし、豊田市東部の広大な敷地であり、今までも、そして、これからも本市にとっても重要なエリアであるとの観点から、本市が関与、貢献できることはないかとの視点で質問に入ってまいります。
　まずは中項目の１、過去と今後の施設概要について伺います。
　１点目、経済波及効果等について伺います。
　冒頭申し上げましたが、施設利用者も減少傾向であり、昨今はコロナ禍により利用客も落ち込んではいるものの、これまで相当な貢献をされてきた施設だと認識しています。過去の累計でも、単年度でも結構ですので、本施設の経済波及効果、市域に貢献されてきた状況等、分かる範囲でお聞かせください。
○議長（太田博康）　西脇産業部長。
○産業部長（西脇委千弘）　フォレスタヒルズの経済波及効果については把握しておりません。
　しかしながら、平成５年の開館以降、宿泊や各種催事、スポーツなど、市内外からの施設利用や、１８０人程度の従業員の雇用、食材や売店商品などの仕入れ、併せて将棋や囲碁のプロタイトル戦、新車発表会、リレーマラソンなど、数百人規模のイベントも数多く行われ、本市の経済に一定の貢献をしてきたものと認識しています。
　以上です。
○議長（太田博康）　岡田議員。
○３６番（岡田耕一）　フォレスタヒルズが本市域に貢献されてきたことが再確認できました。
　それでは２点目、情報把握と今後の利活用について伺います。
　フォレスタヒルズが閉館すると本年３月末に公表されましたが、本市として、この情報をどのくらいのタイミングで入手されましたか。また、その後の跡地利用について、所有者とどのような意見交換をされているのでしょうか。
　私は５月に現地を訪問し、トヨタアメニティの担当者の方に様々なお話を伺ったところ、健康支援センターウェルポやトヨタの森、エコの森ハウスについては今後も継続利用とのことですが、他の施設については解体も視野に入れ、現在の機能としての利用はしない方向と伺いました。
　本市が、最新情報として今後の現地の利活用について把握している範囲でご答弁お願いいたします。
○議長（太田博康）　西脇部長。
○産業部長（西脇委千弘）　閉館は、令和３年３月末の公表直前に情報提供を受けました。
　今後の利用は未定と聞いており、現時点でもその状況は変わらないと承知しております。
　以上です。
○議長（太田博康）　岡田議員。
○３６番（岡田耕一）　公表の直前まで情報が入ってこない市というのはちょっと非常に残念ではございますが、次に中項目の２、既存施設の市営化の考えについて伺います。
　民間施設である本施設に対して、市が口を挟む立場でないことは承知しております。ただ、ここを利用している多くは豊田市民であります。そうした中、このまま施設が利用できないのは非常に残念であるとの多くの市民の声を伺います。
　そこで、営利施設であると同時に社会貢献施設でもある本施設を、可能であれば市として管理運営できないかとの観点で質問させていただきます。
　１点目、跡地を本市が取得、活用する考えについて伺います。
　現地は市民にとって有望かつ貴重なエリアであり、跡地利用についても市民に期待する声も大きいものがあります。
　そこで、本市が直接、跡地を取得、活用する考えはないのか、所有者側の意向把握も含め、本市の関与、対応についてお聞かせください。
○議長（太田博康）　辻企画政策部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　跡地は、議員がおっしゃっているとおり、民間が所有する財産であり、市が取得、活用する考えはございません。
　以上です。
○議長（太田博康）　岡田議員。
○３６番（岡田耕一）　跡地全体を取得、活用する考えがないことは分かりました。
　では、施設の一部を市の責任で継続して利用することはできないかとの観点で２点目、屋内テニスコート、プールの活用について伺います。
　現在、施設内には、４面を有する全天候型インドアテニスコートが存在します。管理者のお話によりますと、一部床に漏水が見られ、修繕が必要で、１,０００万円単位、場合によっては１億円程度の修繕費が必要となるかもしれないので、テニスコートは廃止予定とのことでありました。
　ただ、本施設は、ＵＳオープンと同じ、デコターフ材質でつくられた本格派コートであり、市内はもちろん、県内でも同レベルのテニスコートはないと伺いました。そして、照明、シャワーも完備しており、これまでテニスはもちろん、屋内スポーツや職場、地域のイベントなど多目的に利用されてこられたそうであります。
　現地を訪問した際に利用されていた４名の女性グループにお話を伺いますと、ここは２０年以上の利用で、他のテニスコートは使っていない。同程度の利用料金で市営で存続してくれればうれしいとの声も伺いました。
　また、施設内には全長１３０メートルと９５メートルのウオータースライダーを有するウオーターパークがあります。こちらも閉館予定と伺います。
　しかし、本施設は本市随一のウオータースライダーを有するプールであり、閉館を惜しむ声が聞かれます。
　いずれの施設も所有者と協議を重ね、譲渡費用、当初の修繕費も含めた維持管理費を積算し、可能と判断されれば、ぜひ本市が継続して市営の施設として管理運営できないでしょうか。所見をお聞かせください。
○議長（太田博康）　粕谷生涯活躍部長。
○生涯活躍部長（粕谷浩二）　市民が利用できる市内のテニスコートは、２４の市営施設と五つの民間施設、合わせて２９施設あり、うち３施設が屋内テニスコートであります。
　またプールは、六つの市営施設と１４の民間施設、合わせて２０施設あり、うち、ウオータースライダーを有する豊田スタジアムの屋内プールがあります。
　近隣の中核市と比較しても、これらの施設は大変充実しており、当該既存施設を市営施設として活用する考えはありません。
　以上です。
○議長（太田博康）　岡田議員。
○３６番（岡田耕一）　両施設について近隣中核市との比較は理解しますが、フォレスタのウオータースライダーとスタジアムのウオータースライダー、全く規模が違いますので、そういうことも含めて、始めから否定するのではなく、ぜひ実現可能性を模索していただきたいとの意見を申し上げまして、次に中項目の３、官民連携のまちづくりの考えについて伺います。
　基本的に市として閉館予定のフォレスタヒルズに関して、積極的な事業継続はできないことが分かりました。残念であります。
　そこで、所有者による新たな開発の可能性について伺います。
　１点目、跡地を再開発する可能性と課題について伺います。
　現地は有望かつ貴重なエリアであり、跡地利用については、市もしっかり協議に加わり、未来を見据えたまちづくりをすべきと考えます。
　特に、現在、本市に欠けているのは、定住施策を進めるための住宅地の確保、また、次世代産業の誘致も含めた産業用地整備、そして、他市では積極的に進められ、本市の消費動向にも影響を与えている郊外型の大型ショッピングモールの進出を期待する市民の声もございます。
　そこで、所有者による跡地の宅地化や産業団地化、また、ショッピングモール化する可能性、そして、その際の課題についてお聞かせください。
○議長（太田博康）　辻企画政策部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　当該地は豊田市の土地利用構想において、都市的土地利用などの位置づけがないことなどから、市として具体的な利活用方針はございません。
　なお、民間事業者により開発が計画される場合は、当該地が市街化調整区域であることから、開発許可等の基準に適合する必要があります。
　以上です。
○議長（太田博康）　岡田議員。
○３６番（岡田耕一）　では２点目、跡地を実験都市化する可能性と課題について伺います。
　トヨタ自動車は、２０２０年末に閉鎖されました静岡県裾野市のトヨタ自動車東日本株式会社、東富士工場の跡地約７０.８万平方メートルの範囲でウーブン・シティと呼ばれる実験都市を開発するプロジェクトをスタートし、まちづくりを進めておられます。２０２１年２月より着工され、プロジェクト初期はトヨタの従業員や関係者を始めとする２,０００名程度の住民の入居を想定されているとのことであります。
　裾野市のウーブン・シティ予定地とほぼ同規模のフォレスタヒルズ用地を所有者が実験都市として開発を希望した場合、どのような課題が想定されますか。本市の対応も含め、お聞かせください。
○議長（太田博康）　辻部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　民間事業者による具体的な計画があった場合は、先ほどの答弁のとおり、市街化調整区域における開発許可等の基準に適合する必要があり、また、開発の規模によっては周辺交通への影響等の課題があります。
　以上です。
○議長（太田博康）　岡田議員。
○３６番（岡田耕一）　分かりました。基本的にはその方向はないと、現時点では思われます。
　では最後に、大項目の４、開発手続条例に関する今後の対応について質問いたします。
　過去、私は、豊田市開発事業に係る手続等に関する条例、以下開発手続条例といたします、に関しまして、藤岡地区北一色町地内の無農薬農園造成事業、以下農園造成事業といたします、を例に挙げまして、複数回にわたり問題提起し、課題解決に向けた提言を繰り返してまいりました。市当局も共通認識の下、現行制度下で可能な限りの取組をされてこられたことは評価いたします。
　ただ、現行制度における対応では限界があり、農園造成事業は、本来の事業進捗はもちろん、不適正是正すら見えない状況であります。
　そのような中、本市では、市議会に対する説明、報告もない中、区長会を始めとする関係団体に対して、秋頃の設立を目指した、（仮称）開発事業対策協議会、以下協議会といたします、の説明を進めてこられました。
　そこで、以下協議会を中心に質問してまいります。
　中項目の１、（仮称）開発事業対策協議会の設置について伺います。
　５月初旬より、区長会や行政書士会など、関係団体に対して協議会設置の説明を進めておられます。
　そこで、伺います。
　まずは１点目、協議会の設置目的、役割等の概要とともに権限、責任についても併せてお聞かせください。
○議長（太田博康）　阿久津都市整備部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　（仮称）開発事業対策協議会、以下この答弁では協議会とさせていただきますが、豊田市開発事業に係る手続等に関する条例、これも以下この答弁では開発手続条例と言います。この協議会は、開発手続条例などの開発行為に係る関係法令を踏まえ、公民が連携し、より適切な開発事業の確保を図ることを目的に設置しようとしているものであります。
　現在、令和３年１０月の発足に目指して、関係団体と準備のための協議、調整を進めているところであります。
　協議会は、固有の権限などを有しない任意の組織とし、適切な開発事業の推進に向けた、開発手続条例の制度理解の促進や、違反開発事業等の情報収集と共有、未然防止、拡大抑制のための意見交換などに取り組む予定であります。
　以上です。
○議長（太田博康）　岡田議員。
○３６番（岡田耕一）　では２点目、協議会の負担、コストについて伺います。
　協議会は、市長を会長に、市区長会長、愛知県行政書士会豊田支部長、愛知県建築士会豊田支部長や愛知県の各事務所長など、多くの組織団体に協力をお願いしております。
　そこで、伺います。
　協議会として市や構成団体による、今後想定される人的、時間的な負担、かかる経費についてお聞かせください。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　協議会の活動に関する経費については、基本的には人的負担などを含め、各構成団体が自己負担しますが、啓発ポスターの印刷や一斉で行うパトロールで使用するビブスなどの一部の経費は本市が負担する方向で調整を進めております。
○議長（太田博康）　岡田議員。
○３６番（岡田耕一）　では３点目、協議会設置による期待する効果と残る課題について伺います。
　協議会設置で課題の何に対応でき、何に対応できないのか。協議会設置では解決できない課題に対して、今後、どのような取組を考えているのか、お聞かせください。
○議長（太田博康）　阿久津部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　協議会設置による期待する効果としては、違反開発事業に対する監視の目が地域に細かく行き渡ることにより、早期発見・早期是正につながる通報が増えるとともに、条例制度の理解促進や、違反発覚時の対応体制の強化などが図られるなど、これまでの課題への対応がさらに一歩進み、開発手続条例の実効性が高まるものと期待しています。
　協議会の設置により、直ちに全ての違反開発がなくなるものではありませんが、地域、関係団体、市、県の連携、協力体制をこれまで以上に強化し、お互いの主体的な取組を一層促進することで、開発手続条例の運用の見直しと合わせて違反開発の未然防止と拡大抑制に継続的に取り組んでまいります。
　今後、協議会の取組を通して浮かび上がった新たな課題などについては、構成する関係団体の意見を参考にしつつ、適切に対応していきたいと考えております。
　以上です。
○議長（太田博康）　岡田議員。
○３６番（岡田耕一）　最後に中項目の２、課題解決のための条例規則の整備について伺います。
　私も協議会には大きな期待をしております。しかし、協議会の設置だけでは、農園、造成事業のような案件に対して無力な部分もございます。
　そこで１点、条例規則改正、新規条例制定の考えについて伺います。
　農園造成事業では、土地の形状から外部からの監視が行き届かず、不適切な状況がなかなか発覚しませんでした。また、他市では規定されている土地所有者の承諾確認は、本市の条例、規則では規定されておらず、所有者が知らないうちに本市では開発ができてしまうなど、他市では考えられない状況であります。
　産廃問題も同様ですが、条例、規則の不備を突き、制度の弱い自治体が狙われる傾向にあります。こうしたことからもこれまで繰り返し提案してきたように早急な条例、規則の改正、もしくは不適正事案に対応できる新規条例制定を再度強く求めます。見解を伺います。
○議長（太田博康）　阿久津都市整備部長。
○都市整備部長（阿久津正典）　令和２年度に開発手続条例の運用を見直したことにより、違反開発の事例の中には、指導、是正等が具体的に進んだものもあり、一定の効果があるものと認識しております。
　さらに、今後、協議会の設置とその活動を通して、行政と地域、関係団体との連携を深めていくことで違反開発の抑制や、違反時の迅速な対応などの取組をさらに一歩進められるものと考えております。
　これらのことから、条例、規則の改正や、新規条例など新たな仕組みづくりについては、今後の開発手続条例の運用や、新たに設置する協議会の活動などを見極めながら適切な方法を判断してまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　岡田議員。
○３６番（岡田耕一）　以上で全ての質問を終わりますが、今回は、いずれも現在進行形の重要なテーマを取り上げさせていただきました。
　コロナウイルスワクチン接種については、今後の適切な対応を期待いたします。
　また、松坂屋閉店後につきましては、中心市街地活性化のための複合的な取組を期待しております。
　フォレスタヒルズの跡地につきましては、民間施設だからとか、市街化調整区域だから、市は我関せずというのではなく、所有者と適切な情報交換、協議を期待しております。
　そして、開発手続条例については、条例、規則の不備を真摯に受け止め、小手先だけの、運用面だけの対応ではなく、条例、規則の整備により、法的拘束力、条例に基づいた適切な管理・監督、指導ができることが適切な開発はもちろん、現場の職員の皆さんの負担軽減にもつながると思われます。
　全ての事項について、さらなる前向きな取組を期待し、全ての質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長（太田博康）　以上で３６番、岡田耕一議員の質問を終わります。

○議長（太田博康）　暫時休憩します。再開は午後５時１５分とします。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　休憩　午後５時０８分
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　再開　午後５時１５分
○議長（太田博康）　休憩前に引き続き会議を開きます。
　９番、倉山和之議員。
○９番（倉山和之）　議長の指名をいただきましたので、さきに通告しました大項目１点、社会参加支援による健康寿命延伸について順次質問をいたします。
　本市の高齢化率は２０２０年の実績で２３.３パーセント、２０４０年には３０.１パーセントという将来推計となっており、要支援者、要介護認定者は２０２０年の実績で高齢者人口の１５.１パーセント、２０４０年には２１.３パーセントと大幅な増加が見込まれています。
　高齢者人口が増えれば福祉を必要とする人が増え、また、その福祉を支える人やそれらの介護サービスの利用の増加により、介護保険料の行政負担も増加することから、介護を社会全体で支えていく必要があります。
　その一方で、健康寿命が少しずつ延びている現代においては、働ける高齢者が増えてくることも想定されます。市民一人一人が自分らしく生きがいを持ち、生き生きと地域の中で活躍することは、人生１００年時代の到来を見据えて大変重要なことであります。高齢者から若者まで全ての人に活躍の場があり、元気に活躍し続けられる社会、そして、安心して暮らすことのできる社会を整備していく必要があると考えます。
　自らの生きがいの充実や社会参加を希望する高齢者の就労機会などを増やし、地域社会の中で社会的役割を担い、関わりを持ち続けることが高齢者の生きがいや健康づくりにつながると言われております。
　また、経済を維持するための就労活動を始め、地域のボランティア活動や学習などの自己啓発活動に努めるなど、積極的な社会参加は、新しい友人を得るきっかけや生活の充実感を与えてくれるほか、介護予防としても有効だと言われております。
　このような背景から、高齢者の活躍の場をいかに地域の中で創出し、社会全体で支えていくかが課題となります。
　本市の第８次豊田市総合計画後期実践計画においても、重点施策である超高齢社会への適応として、誰もが健やかに安心して暮らせるまちの実現を基本施策で取り組む計画となっています。
　そこで、今回の一般質問は、高齢者の社会参加に向け、本市における現状と課題、今後の考えについて、中項目３点で質問してまいります。
　昨年から新型コロナウイルス感染症の影響により、外出を自粛し、社会との関わりが減った高齢者も多いのではないかと思います。人と交流する機会や社会参加の機会がなく、孤立状態となれば、転倒や骨折のリスクが高まることや、鬱病の発症や認知症の進行などの間接的な健康二次被害が生じる可能性も高まるという懸念があります。
　そこで、中項目１点目では、高齢者の社会参加の状況として、本市はどのように現状を把握しているのか、小項目５点で順次質問をしてまいります。
　今年度から、第８期豊田市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画がスタートし、以下第８期計画と言いますが、今後３か年で実践されていきます。その第８期計画の策定を行うに当たり、高齢者福祉や介護保険の方向性を定める市民ニーズなどの基礎調査として、高齢者等実態調査を実施しております。
　そこで、小項目１点目、外出における現状として、高齢者及び要支援者等の外出される方の割合はどのようか伺います。
○議長（太田博康）　柴田福祉部長。
○福祉部長（柴田徹哉）　令和元年度に実施した高齢者等実態調査では、要支援や要介護等に該当しない高齢者のうち、週に２日以上外出する人が８８.５パーセント、週に１日外出、またはほとんど外出しない人が１０.８パーセントでした。
　要支援者等の場合になりますと、週に２日以上外出する人が５４.６パーセント、週に１日、またはほとんど外出しない人は４１パーセントでした。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　次に、小項目２点目として、先ほど答弁いただいた週に１日以下の、外出を控える人の理由について、要支援や要介護等に該当しない高齢者及び要支援者等、それぞれどのような回答であったのか伺います。
○議長（太田博康）　柴田部長。
○福祉部長（柴田徹哉）　外出頻度を週に１回、またはほとんど外出をしないと回答をした要支援や要介護等に該当しない高齢者ですけれども、外出を控えている理由として、特にないが３３.５パーセントと最も高く、次いで足や腰が痛い、転倒が心配、これが２８.８パーセントとなっています。要支援者等では、足や腰が痛い、転倒が心配が５９.６パーセントと最も高く、次いで体調が優れないが２５.５パーセントとなっています。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　外出を控える方の理由としては、特に理由がない方や身体を心配される方も多いという状況であります。
　次に、小項目３点目として、高齢者、要支援者等において、先ほどの質問とは逆に、外出する機会が多い方の傾向として、外出によってどのような効果があるのか伺います。
○議長（太田博康）　柴田部長。
○福祉部長（柴田徹哉）　実態調査の結果から、外出機会が多くなるほど、会合やグループへの参加や会話の頻度が高くなり、また、健康状態がよいと感じている方の割合が高くなることが分かりました。
　調査ではさらに、現在の幸せ感を１０段階で回答する質問も設けましたけれども、会やグループへの参加頻度や、知人友人等と話す頻度が高い人ほど幸せ感も高いことが分かりました。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　外出する機会などの社会参加、つまりグループ活動などの参加によって、会話が増えることで高齢者と要支援者の幸せ感が高くなるという結果であります。
　そこで、小項目４点目として、実態調査から第８期計画における社会参加に向けた取組について伺います。
○議長（太田博康）　柴田部長。
○福祉部長（柴田徹哉）　実態調査の結果から、高齢者が社会とのつながりを持つきっかけづくりや、それを支える仕組みづくりが必要と捉え、学びや体験や活躍の場の情報提供や、民間の創意工夫で社会参加機会や活動量を増やす取組、集いの場へのコーディネート強化やリハビリ等の専門職との連携促進、助け合いによる移動手段の確保等に取り組んでいきます。
　また、元気アップ教室を始め、身近な地域で継続的にふれあいや健康づくりができる機会の創出に取り組んでいきます。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　高齢者が社会とのつながりを持つきっかけや、それを支える仕組みづくりが必要であると答弁をいただきました。外出を増やす取組を始め、社会参加に向けた推進にはたくさんの皆さんが無理なく参加していただくことが大事であると考えますが、そこで小項目５点目、本市の目指す姿と目標について伺います。
○議長（太田博康）　柴田部長。
○福祉部長（柴田徹哉）　新たに策定しました第８期計画の重点施策の第１に、介護予防・健康づくりに通じる社会参加を掲げ、介護予防や健康増進を直接の目的とせずとも、高齢者が自分の関心のあるものを、できる範囲で無理なく続けられる集いの場に参加できるようにすることを目指す姿としています。
　実態調査によれば、令和元年度において、会・グループへ月１回以上参加している高齢者の割合は６０.８パーセントですが、この割合を引き上げることを目標とし、取組を進めていきます。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　中項目１では、本市の高齢者における社会参加の現状を中心に質問し、本市の取組の方向性を確認させていただきました。
　冒頭にも申し上げましたが、新型コロナウイルスの影響により、人と交流する機会や社会参加の機会が実態調査結果により大幅に減少していると予想され、高齢者の生きがいづくりや介護予防及び健康づくりにおいて、様々な事業が停滞している状況は喫緊の課題であります。
　次の中項目２では、介護予防に通じる社会参加促進への取組として、現状の事業の状況と今後の施策について、小項目７点で質問してまいります。
　厚生労働省の次期国民健康づくり運動に関する委員提出資料によると、６５歳以降では足の筋力が低下することによって歩行速度が少しずつ遅くなり、男性８０歳以降、女性７５歳以降になると日常生活に支障を来すおそれがあるとされています。
　全国の高齢者で毎年約６万７,０００人近くの人が、転倒により寝たきりの状態になってしまう場合があるとされております。定期的に体をバランスよく動かすことが大事であり、また、人との交流での会話は脳が刺激され、不安感やストレスの軽減につながると言われています。こういったコミュニケーションは、高齢者が患いやすい認知症の予防にも効果が期待されます。
　本市では、健康づくり豊田２１計画の第三次計画において、市民一人一人が取り組む健康づくりに加え、地域における健康づくりを推進する仕組みづくりやまちづくりの視点で、きらきらウエルネス地域推進事業に取り組んでいます。
　多様な取組の中では、６５歳以上で介護保険の認定を受けていない方を対象に、介護予防、健康づくりとして元気アップ事業があります。地域の身近な場所で介護予防を目的としたストレッチ、筋力アップ体操、脳力アップ等を教室形式で全８回行われ、終了後も自主的に活動が継続されています。
　しかし、昨年からの新型コロナウイルス感染症により、緊急事態宣言下においては、各地域で開催されている元気アップ事業などの活動が休止されていると承知しており、高齢者の方々の筋力低下や認知症の発症が今後懸念されます。
　そこで、小項目１点目、コロナ禍での元気アップ教室、元気アップ自主活動の実施状況として、昨年度の元気アップ事業の現状について伺います。
○議長（太田博康）　竹内保健部長。
○保健部長（竹内清美）　令和２年度の元気アップ教室の開催及び自主活動グループへの支援については、新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、事業に参加する高齢者への感染拡大を防止するために、全て中止としました。
　このことにより、新たな自主活動グループの増加が見込めず、加えて既存のグループの解散も重なり、令和元年度末の２０６グループから１３グループ減少し、令和２年度末時点で活動しているグループは１９３グループです。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　元気アップ自主活動グループの減少という状況であり、今後もさらに影響が出てくることも考えられます。コロナ禍以前は、自治区の区会館にお邪魔したときに、元気アップ体操自主活動グループの皆さんが音楽をかけながらゆっくりと無理なく体操をされており、始まりと終わりには会話を楽しみ、にぎやかな活動をされていました。
　現在、元気アップ事業に参加できない高齢者の皆さんは外出を控え、社会参加への機会が少なくなっていると聞いております。元気アップ体操は皆さんが定期的に集まることで参加しやすい環境にありますので、コロナ禍での自宅においては自主的に体を動かすことは少し困難であると考えます。
　そこで、小項目２点目、元気アップ事業の中止による高齢者の声とコロナ禍での支援について伺います。
○議長（太田博康）　竹内部長。
○保健部長（竹内清美）　事業を中止したことにより、「体を動かす機会が減ってしまった」「いつになったらできるのか」など実施を待ち望む声が多く寄せられました。
　コロナ禍での支援策としては、全ての自主活動グループの参加者に対して、新型コロナウイルス感染症に関する正しい知識や、自宅での健康づくりの方法を記載したリーフレットを配布しました。
　また、教室で学んだ体操が継続できるよう、ＤＶＤの貸出しを行い、体力維持の支援を行いました。
　さらに、広く市民の方にコロナ禍における健康づくりを啓発するために、ストレッチやペットボトル体操などをひまわりネットワークやユーチューブの動画で配信したほか、広報とよたの号外としても配布しました。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　現在、高齢者のワクチン接種も進んできている状況にあり、医療従事者や本市のコロナ対応いただいている職員の方々には心から感謝を申し上げるところであります。
　皆さんのご尽力もあり、今後様々な社会参加への機会が増えてくると考えられますが、現在休止している元気アップ教室、元気アップ自主活動においてはすぐに再開できないグループもあると考えます。
　そこで、小項目３点目、元気アップ事業の再開に向けた取組について、どのように進めていくのか伺います。
○議長（太田博康）　竹内部長。
○保健部長（竹内清美）　元気アップ事業の再開については、高齢者のワクチン接種がおおむね終了し、感染状況が落ち着いてきた時期を一つの目安として判断する予定です。
　再開に向けた支援としては、まず最初に、自主活動グループに対して、保健師等の専門職による感染予防マニュアルに基づいた講話や、活動場所に応じた換気の仕方、参加者同士の距離のとり方など、具体的な指導を行います。
　こうした指導を終えたグループから健康づくりリーダーやヘルスサポートリーダーなどの講師の派遣を開始し、地域での自主的な活動を支援していく予定です。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　引き続き本市の支援を継続して実施していただき、元気アップ事業が以前のように再開できることに期待したいと思います。
　さて、今年度７月より、ソーシャル・インパクト・ボンド、以下ＳＩＢと言いますが、民間の活力を生かした取組としてＳＩＢ事業が始まります。全国でもＳＩＢによる事業が広がりを見せており、本市では介護予防としての事業を進めていきますが、本日午前中の一般質問でも取り上げられており、目的や効果については答弁がありましたので承知をしております。
　私からはもう少し具体的な内容を質問させていただく中で、重複する内容もあるかと思いますが、ご了承を願います。
　このＳＩＢ事業でありますが、今まで実施してきた本市や地域の自主活動など、既存の介護予防事業と今回の民間活力による事業を比較して、これまでと何が違うのか、小項目４点目、ＳＩＢ事業のプログラム内容について伺います。
○議長（太田博康）　辻企画政策部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　本事業は、高齢者の方の社会参加を促進するプログラムを民間の創意工夫により創出し、提供していくことに特徴があります。
　プログラムには、オンラインを活用したものとコロナ対策を講じた上で対面で実施するものがあります。
　具体的な内容としては、オンラインを活用したものでは、例えば、日本語を学びたい海外の方と高齢者の方をつないでコミュニケーションを創出するプログラム、声優による発声練習や著名なトレーナーに運動を教えてもらうプログラムなどが候補となっています。
　対面によるものでは、健康測定会とセミナーを組み合わせたプログラムや高齢者のお宅へ訪問し、一緒に食事をするプログラム、若者に人気のお店などを巡る若者文化の体験を組み込んだプログラムなどが候補となっています。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　多様なプログラムによって運動や学びといった体験により、人とのつながりを得ることができ、高齢者の生きがいや楽しみにもつながるような内容であると確認しました。
　本市においては参加数やリスク評価点での成果を報酬対象とするということを承知しておりますが、介護予防の観点から、高齢者の健康寿命延伸にはつながりにくいのではないかと考えます。
　例えば要支援、要介護の認定率や特定健診の結果による効果も加味して対価報酬とする必要があると考えますが、そこで、小項目５点目として、参加数と介護予防の因果関係及び民間事業者への成果報酬の考え方について見解を伺います。
○議長（太田博康）　辻部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　成果報酬については、評価指標に基づいて、その達成度合いに応じて支払う仕組みとなっています。
　本事業で設定した評価指標は、長年、高齢者の実態や介護予防について調査研究を行っている一般社団法人日本老年学的評価研究機構、以下ＪＡＧＥＳと言います、と協議し設定しています。
　ＪＡＧＥＳの研究によると、社会参加の種類や参加の頻度が多くなるほど要介護状態になるリスクが低くなるという因果関係が確認されていることから、参加者数が指標として適切であるということで設定しています。
　また、最終的な効果の検証に際しては、要支援や要介護の認定率は用いませんが、要支援・要介護状態になる将来的なリスクを判定できる、要介護リスク点数と介護保険給付費の削減額を成果報酬の指標としています。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　ただいまの答弁の中で、介護保険給付費の削減額を指標にするのは理解できますが、リスクを判定する要介護リスク点数においては、高齢者の健康状態の効果を期待することも考慮し、今後、医療や福祉のデータなども併せて評価を行い、指標の精度を上げていただくよう提案をいたします。
　さて、このＳＩＢ事業は５年の契約期間で進められ、企業版ふるさと納税の寄附金を活用し、行政の事業コスト削減や介護保険給付費削減など、費用の削減が目立っておりますが、本来、高齢者の社会参加の機会や社会活動量を増やすことも目的でありますので、そこでの質が低いサービスであった場合、本末転倒であります。
　今後、中間成果指標による事業の評価確認を行うということでありますが、目標未達成時の対応も必要と考えます。
　そこで、小項目６点目として、成果向上に向け、評価機関と民間事業者へのフィードバックを含めた連携をどのように考えているのか、本市の見解を伺います。
○議長（太田博康）　辻部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　事業者との連携につきましては、毎月の実施状況を本事業の企画・運営を行う運営事業者と共有することで達成状況を把握し、必要な対応を行ってまいります。
　また、プログラムを提供する事業者に対しましては、運営事業者とともに定期的な実施状況の共有や優良事例の共有を行う場を設け、各事業者に対してサポートを行います。
　評価機関とは年に数回程度、必要なタイミングで情報を共有し、評価をいただきながら事業改善を図るなどの対応を行ってまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　定期的な協議や評価においても行政の意見を反映できることを確認し、今後の成果向上となるよう期待をしたいと思います。
　今回ＳＩＢの事業内容に、リモートや三密の回避などウイズコロナに対応するプログラムを提供していくとありますが、高齢者にとってはデジタル的な参加はハードルが高くなり、敬遠される方も少なくないのではないでしょうか。高齢者が参加しやすく、健康に関心を持てるような工夫により、たくさんの方に参加していただけるプログラムが必要と考えます。
　そこで、小項目７点目として、ＳＩＢ事業のプログラム参加率向上への取組について伺います。
○議長（太田博康）　辻部長。
○企画政策部長（辻　邦惠）　オンラインを活用したプログラムについては、例えばプログラムの中にスマートフォン教室を組み込むなどのサポートを行い、高齢者の方が参加しやすくなるよう工夫していきます。
　また、本事業は、民間の創意工夫によりエンターテイメントやレジャーといった多様なプログラムを提供できることに特徴があることから、既存のプログラムへの参加に消極的であった方でも幅広く参加するきっかけを提供できるものと考えています。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　高齢者の方がオンラインを活用しやすいよう、プログラムによってはスマホ教室を組み込んだサポートを行うなど、民間ならではの工夫も織り込まれるということであります。既存の介護予防事業と同じく、無理なく、簡単に、長い期間で参加できることで、健康保持や増進につながるサービスとなるよう期待をいたします。
　中項目２では、主に本市の新しい取組であるＳＩＢ事業について質問してまいりましたが、本市の事業や自主的な活動、そして、ＳＩＢ事業など多様なサービスがある中で、高齢者、すなわち受け手にとっては選択肢が増えるというメリットがある一方、受けるサービスの選択を自らがしなくてはならないという課題が考えられます。
　また、これまで集まりなどに参加していなかった高齢者が、社会参加を望まれた際に多様な選択肢の中から選ぶのは困難であるため、今以上に選択の支援が求められます。
　そこで、中項目３点目、社会参加に向けた伴走型支援として、本市の地域資源を生かした社会参加につなげる取組について、小項目７点で質問してまいります。
　本市では、定年退職者や子育て後のシニア世代が就労や趣味、健康づくり、また学びの場といった社会参加につなげるための支援として、相談者に対し、シニアアカデミーやシルバー人材センターなど多様な事業へ案内されていることは承知しております。
　そこで、小項目１点目、現在実施している高齢者におけるセカンドライフへの支援として、令和２年度に作成されたセカンドライフガイドブックの活用状況や相談者から、どのような声が出ているのか併せて伺います。
○議長（太田博康）　粕谷生涯活躍部長。
○生涯活躍部長（粕谷浩二）　シニア世代のセカンドライフのきっかけづくりを後押しする目的で、セカンドライフガイドブックを令和３年３月に作成し、市役所の窓口、各交流館などで広く配布を行っています。
　ガイドブックの内容は、就労、学び、趣味、社会貢献の四つの分野に分け、自分に合った活動を探すことができるセカンドライフチャートと、実際のシニアの方の活動を１０事例紹介しています。
　ガイドブックを手にされた方からは、「実際に活動をされている方の事例を読むことでイメージがしやすい」といった声が寄せられており、活動を始めるきっかけづくりに役立っているものと認識しております。
　今後も企業の退職者説明会など広く活用してまいります。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　セカンドライフガイドブック、以下ガイドブックと呼びますが、この案内によって、相談者のライフスタイルや目的に合った内容がフローチャートにより選びやすくなっていることは、高齢者の社会参加へスムーズな誘導につながっており、大変よい取組であると考えます。
　しかし、このガイドブックには本市の事業や主要な施設しか掲載されておらず、本市に数多く点在している地域資源から、自分の目的に合った集いの場を見つけたいという声も聞いております。
　第８期計画では、伴走的な支援として、高齢者と集いの場を結びつけるコーディネートを展開すると承知しております。
　そこで、小項目２点目として、集いの場へのコーディネートの取組内容について伺います。
○議長（太田博康）　柴田福祉部長。
○福祉部長（柴田徹哉）　高齢者等実態調査によれば、高齢者が会やグループ等に参加していない理由は何となくが約３５パーセント、きっかけがないが約２４パーセント、会・グループ等の情報を知らないが１１パーセントありました。
　こうした高齢者に対し、地域包括支援センター、交流館などがコーディネーター役となって、本人に合った集いの場を紹介し、参加につなげる活動を展開します。
　その折に、ニーズに合うコーディネートが効率よく行えるよう、多様な集いの場の情報を一元化し、地図に表示させたり、検索ができるような地域資源マップを新たに作成していきます。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　情報を一元化し、地図上で検索ができることにより、住んでいる周辺での集いの場が探しやすくなるなど、自宅からのルートも把握することができる、大変便利なツールとして今後期待されるわけですが、多様な集いの場を把握することは大変時間がかかることが予想されます。
　そこで、今後、どのように地域資源マップへ織り込んでいくのか、小項目３点目として、集いの場など地域資源の把握について伺います。
○議長（太田博康）　柴田部長。
○福祉部長（柴田徹哉）　集いの場は、介護予防や健康増進が直接の目的となっていなくても、会やグループへ参加すること自体が好影響をもたらすと期待されますので、趣味や教養、娯楽などに関するものも対象とします。
　集いの場の把握に加えまして、コーディネートに必要な情報を市の各部局や民間の団体からも収集するなど、多様な情報を地域資源マップに掲載していきます。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　地域資源マップは一部の人が使える限定的な利用とするのではなく、たくさんの高齢者へも周知し、誰でも検索できるよう支援していくことが重要と考えます。
　そこで、小項目４点目、利用者拡大に向けた取組について伺います。
○議長（太田博康）　柴田部長。
○福祉部長（柴田徹哉）　地域資源マップは、コーディネーターが利用するだけでなく、高齢者自らが自分に合った場を見つけられるよう、インターネット上にも公開し、ホームページや地域包括支援センターなどを通じて広く周知を図っていきます。
　一方、集いの場を見つけても、会やグループへの参加につながらない高齢者もいると思われますので、地域包括支援センターや交流館等のコーディネート方法も工夫をしていきます。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　ここまでの質問で、地域資源マップの運用による利便性を確認させていただきました。
　では、今後、地域資源マップの作成や整備をどのような計画で進めていくのか、小項目５点目として、今後の導入に向けた取組について伺います。
○議長（太田博康）　柴田部長。
○福祉部長（柴田徹哉）　令和３年度の上半期に、市内２地区をモデル地区に選定して、地域包括支援センター、交流館などとともに、コーディネートに必要な情報や手法、地域資源マップの内容などを検討します。
　下半期には、実際に地域資源マップの活用をモデル地区で開始し、令和４年度以降、改善を重ねながら、また情報も増やしながら全市に拡大していきます。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　モデル地区から運用し、段階的に拡大されていくことを確認しました。
　中項目２でも質問しました、ＳＩＢ事業においては、多様なプログラムが用意されていると承知しております。
　そこで、地域資源マップを生かし、ＳＩＢ事業の周知、そして、利用促進への取組も併せて必要と考えますが、小項目６点目として、地域資源マップとＳＩＢとの連携について伺います。
○議長（太田博康）　柴田部長。
○福祉部長（柴田徹哉）　ＳＩＢによる社会参加型介護予防事業、ずっとつながるプロジェクトも社会参加を通じ、高齢者の介護予防につなげる事業であり、地域資源マップの目指すところと合致しますので、同事業のプログラムも集いの場の一つとして地域資源マップに加え、コーディネートやＰＲを行っていきます。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　今後、地域資源マップが多くの方に活用されることで、高齢者の社会参加がよりつながりやすくなることに期待をするところでありますが、高齢者の中には自身で車を運転することが困難な方もいらっしゃいます。要支援、要介護に認定されている高齢者の方においては移動支援がありますが、対象とならない高齢者の方など、集いの場に参加したくても移動手段がなく、参加が困難な方への移動支援が必要だと考えます。
　例えばＳＩＢ事業に参加する高齢者の方を集団で移動する支援など、地域性も考慮した支援を本市はどのように考えているのか、小項目７点目、高齢者移動支援の考えについて見解を伺います。
○議長（太田博康）　柴田部長。
○福祉部長（柴田徹哉）　本市では、地域の特性に応じ、地域バスや地域タクシーの運行のほか、中山間地域でのたすけあいカー等の取組が行われております。
　また、地域のボランティア活動で高齢者の移動を支援しようとする動きもあり、市も保険料の負担などでこうした動きを支援していきます。
　これらの活用も含めまして、本人が集いの場へ通いやすいかということも考慮しながらコーディネートを進めていきます。
　以上です。
○議長（太田博康）　倉山議員。
○９番（倉山和之）　社会参加につながる外出の機会を控える理由として、移動手段がないことも要因であることや、今後、移動支援が必要な高齢者の増加が見込まれることも考えられます。ただいま答弁をいただいた地域の事情に沿った取組やボランティアによる支援などが始まろうとしていることは交通安全の観点からも大変期待するところであります。
　今後、ボランティアの担い手の確保が懸念されることも考慮し、行政としても支援を考えていただきますようお願いを申し上げ、全ての質問を終わります。ありがとうございました。
○議長（太田博康）　以上で９番、倉山和之議員の質問を終わります。

○議長（太田博康）　暫時休憩します。再開は午後６時ちょうどとします。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　休憩　午後５時５２分
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　再開　午後６時００分
○議長（太田博康）　休憩前に引き続き会議を開きます。
　５番、神谷丈一議員。
○５番（神谷丈一）　自民クラブ議員団の神谷丈一です。議長のお許しをいただき、さきに通告いたしました、教育分野に関する二つのテーマで、提言を含め順次質問を展開します。
　新型コロナウイルスの感染拡大で、子どもたちは目まぐるしく変化する環境に、心も体も対応することが難しい状況にあると思われます。
　そこで、大項目１では、スクールロイヤー機能に関し、大項目２では、学習用タブレットに焦点を当てて進めていきます。
　大項目１として、スクールロイヤー機能の拡充です。
　社会の情勢や環境の変化等により、複雑化・深刻化・多様化へと環境が大きく変わり、学校現場では様々なトラブルが発生し、そこに法的なアドバイスが必要となるケースが多々生じています。
　そこで、法律の専門家である弁護士が、教育現場でのトラブルを解決へと導く仕組みがスクールロイヤー制度です。
　全国的に導入が活発となった大きな理由に、平成３１年に千葉県野田市で起きた小学４年生の虐待死事件を受けて、スクールロイヤーの導入や設置がされたものと理解しています。
　この事件は、虐待を受けている児童が、お父さんから暴力を受けていると訴えた学校アンケート用紙のコピーを、教育委員会が父親に渡したことで、さらに暴力の過激さが増し、虐待死となってしまった悲惨な事件でした。
　中項目１、教育現場での諸問題を解決へと導く弁護士です。
　文部科学省は、スクールロイヤーを全国の都道府県や政令指定都市などに約３００人配置する方針を固めました。これにあわせて独自の施策展開を進める自治体も出始め、本市においても令和２年４月から本格的にスクールロイヤー機能を設置し、運用が開始されました。
　始めに、小項目１、深刻化・多様化する教育現場の現状について、本市の特徴的な現状を確認します。
○議長（太田博康）　澤平教育部長。
○教育部長（澤平昭治）　近年、いじめ問題等、子ども同士のトラブルは学校現場だけではなく、スマートフォン等を利用したＳＮＳ上でも発生するようになり、教員にとって子どもたちの関係性が見えにくく、問題を早期発見及び早期指導することが困難になっています。
　また、保護者と学校との間で問題解決に向けて話し合いを繰り返すも、互いの思いや主張に折り合いがつかず、問題が長期化することも増えています。
　子どもたちを取り巻く問題が深刻化・多様化する中で、教員だけの対応が困難となり、外部の多様な専門スタッフと連携しなければ問題を解決できない現状がありました。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　次に、小項目２、スクール・アシスト・チームの取組と成果です。
　保護者や地域住民からの意見や要望には、学校にとって有益な指摘もありますが、学校が十分な説明をしたり、改善を図ったりしても受け入れられないような理不尽な要求を突きつけられるケースが社会的な問題となってきました。
　十数年前から教育委員会内に学校だけでの解決が難しい案件の解決を目的に、支援体制の確立と明確化を図った取組がスクール・アシスト・チームと認識しています。
　そこで、これまでのスクール・アシスト・チームの取組と成果を伺います。
○議長（太田博康）　澤平部長。
○教育部長（澤平昭治）　スクール・アシスト・チームは、学校の様々な問題対応に関する法的な解釈について相談を受ける組織として、平成２３年１０月に教育委員会内に開設されました。
　学校だけでは解決が難しい案件に対して、スクール・アシスト・チームが相談窓口となり、弁護士資格を持つ市職員と連携しながら、学校へ問題解決に向けての助言を行っていました。
　成果としては、学校が法的な見解に基づいた上で適切に問題対応に当たることができるようになったことです。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　先ほど述べた千葉県野田市の事件、また、日本弁護士連合会が平成３０年に、学校で発生する様々な問題について子どもたちの最善の利益を念頭に置きつつ、教育や福祉等の視点を取り入れながら、法的観点から継続的に学校に助言を行うスクールロイヤーを活用する制度を構築・整備するように求める意見書を文部科学省に提出しました。このような社会的な情勢を踏まえて、文部科学省が冒頭で述べた指針を発したと理解しています。
　では、小項目３として、スクールロイヤー機能導入の背景と経緯について、本市ではどのような認識をしているか伺います。
○議長（太田博康）　澤平部長。
○教育部長（澤平昭治）　学校現場でのいじめや虐待に対応するため、文科省はスクールロイヤーと呼ばれる専門の弁護士を令和２年度から全国に配置する方針を定めました。
　そうした中、本市では学校現場における対応困難事案の迅速かつ抜本的な解決に寄与するため、これまでのスクール・アシスト・チームを強化し、発展させたスクールロイヤー機能を令和２年４月から法務課内に配置をいたしました。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　導入の背景と経緯を確認し、スクール・アシスト・チームをバージョンアップしたものがスクールロイヤー機能であると確認できました。
　次に、小項目４として、スクールロイヤー機能の基本的な立場と役割について確認します。
○議長（太田博康）　藤本総務部長。
○総務部長（藤本　聡）　基本的な立場と役割としましては、学校におけるトラブルが発生した際に、弁護士職員の知見を生かし、学校と利害関係者の間で、子どもにとって何が一番よい解決になるかという立場に立って学校を支援するものです。
　具体的には、学校からの法律相談対応、校長や教頭との顔合わせや対応済み事案の検証などを行う学校訪問、教職員向けの研修・啓発などを担っております。
　これらは、事案が重篤になる前の小さな芽の段階から学校が相談できる環境を整え、併せて研修を実施することで、トラブル発生の未然防止と発生した場台の迅速な対応を実現することを意図したものであります。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　スクールロイヤーは弁護士を前提とした制度なので、この弁護士資格を有するスクールロイヤーがどのような立場で問題解決を行うかがポイントです。この点については、子どもたちの立場を最優先に考え、最良の方法を導き出し、迅速に対応する立場で解決に臨んでいるということが確認できました。
　このスクールロイヤー機能は、学校におけるトラブルを扱うので教育部局に配置するという考えもとれると思いますが、本市は総務部法務課にその機能を配置しています。
　そこで、小項目５、法務課内に配置した狙いについて、本市の考えを伺います。
○議長（太田博康）　藤本部長。
○総務部長（藤本　聡）　豊田市立の学校は小・中学校と特別支援学校を合わせて１０４校あり、多様な相談が想定されますので、一人の弁護士職員がその経験値やネットワークの中で全て担当するのは現実的ではないと考えます。
　そのため、法務課の弁護士職員を１人増員して３人とし、多数の相談に対して、より議論の深化や迅速・的確な判断ができる体制を整えることが有効であると考え、庁内の法律相談機能に加えてスクールロイヤー機能を付加することとしました。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　機能設置から１年が経過し、私が実際に数箇所の学校を訪問し、ヒアリングを行った教員からは、「気軽に相談ができる」「以前の制度より時間的なロスが生じなく、迅速な対応が可能となった」さらに、「この機能を今後も利用したい」との生の声を多数お聞きする機会がありました。
　そこで、小項目６として、導入後１年間の活動実績と評価を確認し、加えて、先月総合教育会議でアンケート調査を本年初めに実施したとお聞きしていますので、その結果分析もあわせてお尋ねします。
○議長（太田博康）　藤本部長。
○総務部長（藤本　聡）　令和２年度は、スクールロイヤー機能を設置した初年度であったため、１０４校全てについて学校訪問を実施しました。
　また、法律相談においては、保護者等への対応や施設等の管理瑕疵に関することなど、６２件の新規の相談案件がありました。この中には、実際に発生した事案の対応に係る相談だけでなく、こういう状況になったらどう対応するべきかという予防的な観点からの相談もありました。
　なお、参考までに、学校以外の庁内各課からの新規相談件数は約３６０件でした。
　研修・啓発としては、学校法務に関わる様々な情報を学校の先生方にお伝えし、役に立てていただくことを目的とした啓発紙、学校法務ニュースレターＳを３回発行して、熱中症事故や保護者対応などについて啓発しました。
　令和３年１月に各学校に対してスクールロイヤー機能に関するアンケートを実施したところ、全１０４校から回答があり、法律相談及び学校訪問の実施内容についての満足度が４点満点中３.６点という状況で、おおむね高評価であったと捉えています。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　弁護士は、一般的に敷居が高いという印象がありますが、学校訪問や研修・啓発活動を実施することにより、身近に感じ、気軽に相談できるものと思っています。ぜひ今後も学校訪問を小まめにし、垣根を取り除く工夫を望みます。
　市内には、小・中学校と特別支援学校を合わせて１０４校あります。３名の弁護士職員それぞれが学校ブロック別に３２校、３５校、３７校と分担していますが、１人当たりの受け持ち学校数が多いように感じています。
　そこで、最後に小項目７として、さらなる体制強化に向けて、負担の軽減、情報の共有・連携、きめ細かい対応を目的に、スクールロイヤー機能を担う弁護士職員の増員をすべきと考えますが、本市の見解を伺います。
○議長（太田博康）　藤本部長。
○総務部長（藤本　聡）　現在の法律相談件数を一つの参考として見たとき、現状の弁護士職員３人体制は、庁内の法律相談及びスクールロイヤー機能含めて必要十分な状況であると考えています。
　また、他市の状況と比べても、庁内に３人の弁護士職員がいるという状況は非常に恵まれたものであると認識しております。
　今後、相談件数がさらに増加したり、弁護士職員が担うべき庁内業務が増加してきた場合は、各所管課に弁護士職員を配置するなどの検討が必要になってくる時代が来る可能性もありますので、今後の情勢変化を見定めて、的確に対応していきたいと考えます。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　今後の状況を的確に見極めて、増員の検討を期待します。
　スクールロイヤー機能の目的は、未然防止と迅速な対応で、問題を抱えている子どもたちを一刻も早く問題解決し、子どもたちを守ることが最優先すべき点と考えています。
　すばらしい取組ではありますが、注意すべき点が幾つもあります。
　まず、全国には約４万人の弁護士資格を有する者がいますが、その弁護士は多種多様であり、考え方も人格もばらばらです。その中から誰をスクールロイヤー機能を担う弁護士職員として選び、採用するかは面接方法も採用基準も検討の途上で、適切な人材を見極めることは非常に難しい問題です。
　また、弁護士から「これは法律的な判断です」と言われると、教員や保護者が反論する余地がなくなってしまいます。さらに子どもたち、教員、保護者のそれぞれの立場をしっかりと理解していないと、ありがた迷惑になる懸念が予測されます。
　本市が採用している３名のスクールロイヤー機能を担う弁護士職員はこのような心配がなく、教育現場の諸問題解決に邁進していただける人材であると期待しています。
　以上で、大項目１を終わります。
　次に、大項目２として、学習用タブレットを有効活用する学習環境です。
　ＧＩＧＡスクール構想は、小学１年生から中学３年生までの義務教育を受ける児童生徒一人一人に、１台のタブレット端末を与え、学校に高速大容量の通信ネットワークを整備し、児童生徒の資質や能力の向上を目的に、次世代の教育環境を実現するために文部科学省が進める構想です。
　この分野については、過去にも多くの議員が一般質問や議案質疑を重ねていますが、大変重要な取組と捉え、重複する点もありますが、教育、学習の重要性の視点から本テーマを選択しました。
　令和元年１２月１９日に文部科学大臣が、１人１台端末環境は令和時代における学校のスタンダードであり、我が国の１５０年に及ぶ教育実践の蓄積の上に、最先端のＩＣＴ教育を取り入れ、これまでの実績とＩＣＴとのベストミックスを図ることにより劇的に変わっていくと述べ、さらに、この新たな教育の技術革新は、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのない公正に個別最適化された学びや創造性を育む学びにも寄与するものであり、特別な支援が必要な子どもたちの可能性も大きく広げ、タブレット端末の整備と併せて統合型校務支援システム、ＩＣＴの導入・運用を加速していく上で、授業準備や成績処理等の負担軽減によって働き方改革につなげていくべきであるとメッセージを述べました。
　教育センターや複数の小・中学校を訪問し、学習用タブレットを用いた授業の様子を見学し、視察及び授業風景の見学、保護者からの声及び報道機関の情報を基に、さらに、私は以前１０数年にわたり税理士の立場で中学校で租税教室の講義を受け持った経験を生かした教員目線も含めて、この項目を構成しました。
　中項目１、ＧＩＧＡスクール構想の本格導入までの流れです。
　当初、政府は２０２３年度までに１人１台タブレット端末を配備する計画でしたが、新型コロナウイルスの影響で国の補正予算が計上され、本市ではこの状況を踏まえていち早く決断し、ＧＩＧＡスクール構想を前倒しで実施する方針を打ち出しました。
　中項目１では、本格的な導入までの時系列の流れに沿って実施した主な事案につき、順次質問を行っていきます。
　小項目１、ＧＩＧＡスクール構想による学びの転換が始まるものと感じていますが、本市としては、どのような認識を持っているのか伺います。
○議長（太田博康）　澤平教育部長。
○教育部長（澤平昭治）　１人１台のタブレット端末の導入で、一人一人の考えをリアルタイムで共有したり、効率よく意見を交換したりする学習を行うことが可能になります。
　そのため、必要な情報を収集し、自分の考えをまとめて発表したり、仲間とともに新たな考えを生み出したりする学習への転換が進むと考えています。
　また、一人一人の学習の進み具合に合わせて教員が指導方法を工夫したり、児童生徒が個別に目標を設定して調べ学習を行ったりすることもより推進できると考えています。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　学習環境の転換期にあるこの時期の方向性が、今後の学習環境に多大なる影響を及ぼすものと考えています。児童生徒のため、ひいては日本教育のために重要な時期と思っています。
　実は、令和２年６月に開催された総合教育会議、ＩＣＴを活用した学校教育、また、令和２年８月に開催された校長研修会、「タブレットが自在に使える環境でつなげる力を育てる」に参加する機会がありました。どちらも暑い時期でしたが、真剣に議論し、意見を述べ、これから始まる学習用タブレット導入に向け、情熱に満ちた会場であったと鮮明に記憶が残っています。
　そこで、小項目２として、この校長研修会の内容と効果について、どのように把握しているのか伺います。
○議長（太田博康）　澤平部長。
○教育部長（澤平昭治）　研修会では、学習用タブレットを導入する目的と、導入から推進までのスケジュールを確認しました。
　さらに、校長、教頭、教務主任、校務主任などが行う具体的な業務を示し、学校における組織的・計画的な推進を依頼しました。
　効果としては、研修後の振り返りで、学習用タブレットの導入で学びの目的、方法、内容が劇的に変わることが実感できた、全教員の指導技術や意欲を高められるように校内研修に力を入れたい、などの前向きな意見がありました。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　この研修会を通じ、各校長は学校のイメージを膨らませ、責任の重さに身震いしたものと想像できます。
　校長は全体像を把握し、実際に学校内で先導役を果たす役割が情報化推進員であると承知しています。また、情報化推進員の研修会も校長研修会に先立ち開催されたとお聞きしています。この研修会の目的は、ＧＩＧＡスクール構想に伴う、今後の学校内ＩＣＴ環境整備と児童生徒への指導内容について、共通の理解を図るものであったと承知しています。
　では、小項目３、各学校での実際の情報化推進員の役割について、お聞きします。
○議長（太田博康）　澤平部長。
○教育部長（澤平昭治）　情報化推進員は、学校の情報化の責任者である校長からの指示を受け、ＩＣＴ機器の管理や運用、情報セキュリティーに関わる業務を校務主任と連携して行います。
　また、全教員がＩＣＴ機器を授業の中で効果的に活用できるように、校内研修を企画、運営をしています。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　次に、小項目４、本市独自の三つの運用ガイドラインです。
　これは、運用ガイドブック、使い方ハンドブック、活用マニュアルで、本市が独自に開発し、作成したもので、他の市町村からの問合せや相談が数多く寄せられ、好評を得ていると認識しています。
　そこで、この運用ガイドラインの特徴と使用目的を確認します。
○議長（太田博康）　澤平部長。
○教育部長（澤平昭治）　運用ガイドブックは、学習用タブレットの使い方のルールや情報セキュリティーをまとめたリーフレットで、教員、保護者に配付しています。
　使い方ハンドブックは、学習用タブレットの操作方法や情報モラルについてまとめられた冊子で、児童生徒が授業で使っています。
　活用マニュアルは、アプリの活用方法やネットワーク障害への対応方法、よくある質問など、学習用タブレットの活用に必要なことが全てまとめられた冊子で教員が使っています。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　この三つの運用ガイドラインが基本で、学習用タブレットの活用が行われることも確認できました
　次に、小項目５、重要なる最初の３日間の意義について確認します。
　何事も基礎が最も難しく、最も重要であると考えますが、本市が考える通称黄金の３日間について伺います。
○議長（太田博康）　澤平部長。
○教育部長（澤平昭治）　本市では、学習用タブレット導入からの３日間を黄金の３日間と位置づけており、活用マニュアルの授業案に基づき、全校で同じ授業を行いました。
　初日は、学習用タブレットを大切に使うための管理の方法や、基本的な操作方法を学びました。
　２日目は、学習用タブレットの各部の名称を学びました。また、インターネット体験と情報モラルの学習を行いました。
　３日目は、学級の仲間と写真を撮ったり、授業支援ソフトを用いて簡単な交流を行ったりするなど、学習用タブレットを使った協働学習の方法を学びました。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　実は、この黄金の３日間の授業に立ち会うことができました。新入生が真剣に、やや緊張ぎみに担任の先生からの説明を聞き入る様子が印象的でした。しっかりと基礎や基本的なルールを身につけていただき、適正なる運用に期待を寄せます。
　オンライン授業は、インターネット回線を通して時間、場所、年齢にとらわれない教育手段で、教育が行われている拠点施設から離れた場所に住んでいても、質の高い授業を可能にする授業形態であると承知しています。さらに録画とライブ配信の２種類に分類され、ライブ配信では動画でお互いの顔を確認でき、チャットボックスを通して質疑応答や資料の画面共有機能で効率よく学習できる点が最大のポイントと認識しています。
　新型コロナウイルスの蔓延防止のため、令和２年３月から５月にかけて市内全ての学校が休校となったため、授業の遅れが懸念されていましたが、旭中学校ではオンラインライブ配信の授業に取り組んだとの新聞報道がありました。また、稲武中学校や藤岡南中学校など、幾つかの学校でオンラインライブ配信に取り組んだと聞いています。
　さらに、学習用タブレットが各校で導入された後は、元日本代表バレーボール選手やデザイナーの坂氏とのオンラインライブ配信授業を試みた学校があったと聞いています。
　そこで、小項目６、具体的にオンラインライブ配信授業の試みについてお尋ねします。
○議長（太田博康）　澤平部長。
○教育部長（澤平昭治）　例えば、コロナの影響で職場体験学習ができなかった代わりに、オンラインライブ配信で生徒が社会で働く人たちとつながり、自分の未来について語ったり、仕事をする喜びや苦労を学んだりした中学校がありました。
　また、卒業式などの学校行事を、密を避け、校内にオンラインライブ配信して行った学校もありました。
　令和３年度は、オンラインライブ配信授業の実施に向けて、市内全校で朝の会などを利用して練習を行っています。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　今後、期待されるオンラインライブ配信を授業などで適正に運用することで、対面でできない活動を補ったり、これまでつながることが難しかった遠隔の人と交流したりするといった、新たな活用を期待しています。
　中項目２、学習用タブレットの適正なる運営です。
　ＧＩＧＡスクール構想は、誰一人取り残すことのない、個別最適化された学びの実現です。学習用タブレット端末導入のゴールは、紛れもなく実質的な教育の質向上であると考えます。つまり、根づかせることであると考えています。教員が基本的な操作を習得した後は、活用の質向上を目的にした研修が重要となり、研修内容や方法を工夫する必要があると感じています。
　新型コロナウイルス感染症拡大により、令和２年２月２９日に緊急事態宣言が発せられ、全国の学校は一斉休校となり、休学期間中、学習用タブレットを使ってオンライン授業ができた学校と、環境が十分に整っていないためできなかった学校の児童生徒の間には教育機会の格差が生じ、教育を受ける機会に影響を与えているのではないかと指摘する声が多く寄せられている現状があります。ＧＩＧＡスクール構想は、次代を担う子どもたちに、未来志向の教育を与える必要不可欠なインフラ整備であると考えています。
　本市では、１０４校に対し、令和３年１月までに全ての学校で整備が完了しました。
　そこで、小項目１、実質的な運営から見えてきた課題について、整備導入前では想像もできなかった事案やトラブルが生じたかと思いますが、課題点の現状をお聞きします。
○議長（太田博康）　澤平部長。
○教育部長（澤平昭治）　全国では、タブレット端末は導入されたが、ネットワークがつながらないなどのトラブルが発生している地区もあると聞いております。しかし、本市は、高速大容量ネットワーク回線の増築も並行して行っていたため、現在のところ、想定外の事案やトラブルは発生しておりません。
　課題は、持ち帰りの際の破損を抑え、適切に自宅でも学習用タブレットが活用できるように訓練を積み重ねることです。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　これら以外にも教員の指導力格差、セキュリティー問題、視力の低下問題、アカウントの年度更新などが全国的な課題と聞いています。
　パソコンに熟知している教員と苦手な教員では、学習用タブレットを習熟する能力に隔たりが生じてしまいます。また、統計的に若い世代は得意であるとの報告がされています。
　そこで、小項目２、教員のＩＣＴ活用指導力の格差をどのように捉え、対処しているのか確認します。
○議長（太田博康）　澤平部長。
○教育部長（澤平昭治）　文部科学省が令和元年度に実施した学校における教育の情報化の実態等に関する調査によると、本市は、教員がＩＣＴ機器を授業で活用する力は全国平均と比べて高くなっています。しかし、児童生徒がＩＣＴ機器を使えるように教員が指導する力は全国平均より低い結果となっています。
　また、令和２年７月に市内全教員を対象に実施したＩＣＴ研修のアンケート調査では、授業で学習支援ソフトを使えると回答した教員は全体の約４割にとどまっており、教員のＩＣＴ活用指導力に格差があると捉えています。
　そのために、令和３年度は７月から８月にかけて、学習支援ソフトを使った模擬授業や小・中学校間での情報交換を行い、教員のＩＣＴ活用指導力の格差を改善していきます。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　教員の指導能力の差は、直接児童生徒に影響を及ぼすものと認識していますので十分な対応をお願いします。
　次に、トラブルや不具合が生じた場合には、ヘルプデスクやＩＣＴ支援員がその対処を行うとされています。
　では、小項目３、ヘルプデスクとＩＣＴ支援員の取組として、どのような機能と役割を担っているのか、加えて機能向上に向けて今後の取組予定をお伺いします。
○議長（太田博康）　澤平部長。
○教育部長（澤平昭治）　本市のヘルプデスクは、学校からのＩＣＴ機器などに関する電話相談の窓口、校務用パソコンや学習用タブレットのアカウントの管理、ネットワークの不具合への初期対応など、多岐にわたる業務を受け持っています。
　ＩＣＴ支援員は、市内の小・中学校を訪問し、学校でＩＣＴ機器を活用した授業における機器操作や児童生徒への活動支援などを行っています。
　今後の取組としては、令和３年度から市内全ての小・中学校で年間４回の訪問を行い、ＩＣＴ機器の環境整備や授業中の支援、教員を対象とした校内研修の支援などを行います。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　ヘルプデスクとＩＣＴ支援員が相互に連携して、トラブル等をスムーズに対処することを期待します。
　次に、中日新聞の記事に想定を超えた驚くべき掲載内容がありました。その記事によれば、閲覧や使用を制限するフィルタリングを学校側が設定しても、子どもたちが抜け道や裏技を使ってゲームや動画サイトに熱中する問題が起きているとの報道です。
　このような状況を踏まえて、小項目４、情報モラル教育と情報セキュリティーの指導の取組について、本市の状況と取組を確認します。
○議長（太田博康）　澤平部長。
○教育部長（澤平昭治）　本市では、これまで情報モラルについての授業を小学２年生から行っていましたが、令和３年度から小学１年生と２年生は年間２時間以上、小学３年生以上は年間３時間以上行うこととし、児童生徒の情報モラル向上に努めています。
　情報セキュリティーについては、運用ガイドブック、使い方ハンドブック等で教職員や保護者、児童生徒に周知を図るとともに、全教員を対象に情報セキュリティーについての研修も行っています。
　学習用タブレットを家庭に持ち帰って使用する際、フィルタリングソフトで危険性の高いウェブサイトへのアクセスを防止するなど、安心・安全な学習環境の構築を図っています。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　完璧な管理は不可能という前提に立つ必要があると考えています。今後も注意深く、常に情報の収集と分析を行い、対策を講じていただくことを望みます。
　次に、実質的な運営から見えてきた課題項目の答弁で述べられたように、学習用タブレットの破損に関する問題点は、通常の学習環境においても頻繁に発生する案件です。また、この問題は、全国的にも話題になっています。
　そこで、小項目５として、学習用タブレットの破損状況と対応です。現状の確認と対応策についてお聞きします。
○議長（太田博康）　澤平部長。
○教育部長（澤平昭治）　令和２年度に報告された学習用タブレットの破損件数は２４件でした。
　使い方について運用ガイドブックを用いて注意喚起を促していますが、故障や紛失が起きた場合、予備の学習用タブレットを渡して児童生徒の学習に支障がないように配慮をしています。
　学校教育活動の一環で起きた破損の場合、適切な使用が行われていたかどうかを確認し、原則として市費による負担で予備の学習用タブレットと交換しますが、適切な使用の範囲を超える取扱いでの破損は、修理費を保護者に負担していただくことも想定をしております。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　今後も家庭に持ち帰る機会が数多く想定されます。オンライン授業が増えれば、行き帰りの登下校時、また課外授業での教室以外の利用も想定されます。また、中学生では、自転車通学をする生徒もいます。自転車の荷台に学習用タブレットを乗せた場合、振動により内蔵されている電子部品に影響が生じ、不具合の基になる懸念があります。
　そこで、導入後間もない時期で、不確定かつ実績数値が乏しいかと思いますが、小項目６、破損・不具合に備えた予備台数の確保の考えを伺います。
○議長（太田博康）　澤平部長。
○教育部長（澤平昭治）　破損時の交換や市外からの転入者への貸出しを想定して、予備の学習用タブレットを令和２年度に約１,０００台購入しています。
　令和３年４月と５月の２か月間での破損は９台で、令和２年度と合わせて３３台に抑えられています。
　現時点では当初想定した破損の台数を下回っていますが、今後、学習用タブレットの家庭への日常的な持ち帰りを想定していることから、破損の台数が増えると考えています。このため必要に応じて予備の学習用タブレットを増やしていくことも視野に入れています。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　国の方針転換により、想定外の増加が予測されますので、十分な配慮を行い、児童生徒が学習時に影響のない対応を優先すべきと考えます。
　中項目３では、学習用タブレットを生かした今後の方向性について、新たな授業スタイルと将来の展望、方針を順次質問し、最後に提言を述べます。
　令和３年３月に策定された情報化プランでは、指導の個別化と学習の個性化による個別最適な学びと、仲間と共に課題を解決する協働的な学びを目指すべき学習スタイルとしています。
　学習用タブレットは、あくまでも鉛筆やノートのような文房具であり、かつ副教材として補助的な役割を果たすものと理解していますが、様々な場面で授業スタイルの変化が見込まれます。
　そこで、小項目１、学習用タブレットを生かした授業スタイルです。導入による授業スタイルの変化と学習用タブレットを活用した新たな学習についてお伺いします。
○議長（太田博康）　澤平部長。
○教育部長（澤平昭治）　児童生徒一人一人が理解を深めるために学習用タブレットで必要な情報を集めたり、動画で確認したりする学習スタイルが広がりつつあります。
　理科の実験や体育科の運動の様子を写真や動画で記録し、仲間と比較したり、データを基に自分の考えを発表したりする学習も増えています。また、グループで追求テーマを設定し、学習支援ソフトを使って仲間と協力してプレゼンテーション資料を作成して発表する学習も増えています。
　児童生徒は学習の様子が記録されることで、いつでも自分の学びを振り返ることができています。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　次に、小項目２、デジタル教科書を活用した取組です。
　デジタル教科書は教科書をデータ化したもので、授業ではプロジェクターや大型テレビなどに映し出して使用します。教科書本文の説明だけでなく、音声や写真、グラフ、動画など、児童生徒の学習意欲の向上などの効果が期待されるものと理解しています。特に、本市では既に教師用のデジタル教科書を活用していることも承知しています。
　一方、国の指針では、令和６年に小学校学習者用デジタル教科書、翌年の令和７年には中学校学習者用デジタル教科書の本格導入を目指しています。
　そこで、本市では既に導入されている教師用デジタル教科書の成果について伺うとともに、学習者用デジタル教科書の利用に関する動向について確認します。
○議長（太田博康）　澤平部長。
○教育部長（澤平昭治）　教師用デジタル教科書は、児童生徒の画面に教科書の一部をスクリーンに大きく映したり、貼り付けてワークシートの作成に活用したりすることで、児童生徒の興味を喚起するとともに、理解を深めるのに役立っています。
　学習者用のデジタル教科書の利用に関する動向については、本市は令和３年４月から国が進めている学びの保障・充実のための学習者用デジタル教科書実証事業に参加しています。
　市内全小・中・特別支援学校が参加を希望する中、小学校４５校、中学校１８校、特別支援学校小学部・中学部の計６４校が選定され、選定された学校の児童生徒は学習用タブレットでデジタル教科書を用いて学習をしています。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　実証実験を重ね、混乱がない、本格導入に向けた準備が重要と考えます。今後も国や他市の動向を注視していただきたく思います。
　次に、小項目３、授業系と校務系のネットワークの現状です。
　学習用タブレットで利用する授業系ネットワークは、個人情報の利用を制限することでインターネットへの接続が許可されていると聞いています。
　一方で、校務系ネットワークでは、インターネットへの接続が禁止されていると聞いています。
　そこで、本市のネットワークの現状を確認します。
○議長（太田博康）　澤平部長。
○教育部長（澤平昭治）　主に学校の事務を行う校務系ネットワークでは、学習成績などの個人情報を扱っているため、インターネットへの接続が禁止されており、学校では、校務系ネットワークと授業系ネットワークのそれぞれの回線を引いています。
　そのため、校務系と授業系でデータをやり取りする場合はＵＳＢメモリなどを用いる必要があり、業務効率が下がるとともに、ＵＳＢメモリの紛失などのリスクも高い業務実態があります。
　また、学習用タブレットに記録されている児童生徒の学習状況を校務用パソコンで確認することができなかったり、インターネット上のデジタル教科書のデータを校務用パソコンで簡単に使うことができなかったりする課題もあります。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　学習用タブレットの本格運用を機会に、高速大容量ネットワークを生かして、これまで物理的に分離をしていた二つのネットワークを論理的な分離に切り替えて統合すると、大幅な業務効率化とコスト削減につながると考えます。
　最後に、小項目４、先ほどの答弁で明らかになったように、情報をやり取りする場合には不便さが生じてしまっている現状を踏まえて、学習用タブレットと校務用パソコンの連携を提言しますが、本市の見解をお伺いします。
○議長（太田博康）　澤平部長。
○教育部長（澤平昭治）　令和３年５月に文部科学省から授業系と校務系のネットワークの統合を目指した教育情報セキュリティーガイドラインが示されました。
　そこで、本市では、ネットワークの統合のモデル校を小・中学校でそれぞれ１校指定し、令和３年度中に実証実験を行う予定です。
　この実証実験では、学習用タブレット上のデータを校務用パソコンの画面上で直接確認して、学習評価や授業改善を行ったり、校務用パソコンからインターネットを利用したりする業務の検証を行います。
　この検証で最も効果の高いネットワークの統合方法を見定めるとともに、令和４年の８月を目標に全校でのネットワークの統合を見据えおります。
　以上です。
○議長（太田博康）　神谷議員。
○５番（神谷丈一）　ネットワークが統合された場合、情報漏れや外部からのデータ改ざん等のリスクが懸念されるかと思いますので、十分にセキュリティー対策を施したネットワークを構築するとともに、慎重なデータ管理をお願いします。
　本市は、恵まれた財政環境でいち早く学習用タブレットを導入しましたが、今後は、学習能力の向上にどのようにつながったかを検証し、見直すべき点は見直す勇気が重要と考えます。
　また、タブレット画面で学習するケースと紙ベースで記憶するケースでは、記憶能力に隔たりが生じることも懸念されますので、今後の課題として認識していただければと思います。
　全ての取組は児童生徒を最優先に考え、学習用タブレットのような便利なツールであろうとも、人と人とのふれあいが最も重要と考えます。
　教育とは読み書きを始めとする学問と、人とのふれあいを通じ豊かな人生を送るための準備期間です。特に、小学生・中学生の時期に培われた人間関係はその後に大きな影響を及ぼし、すてきな人生が待っています。
　また、この時期に出会った先生とは、将来にわたり心の支えとなることでしょう。いわゆる恩師との出会いです。また、教員にとっても忘れることのできない数多くの貴重な経験が待っています。デジタルとアナログのよさをうまく組み合わせることで、あの先生に出会えてよかったと思われる先生を一人でも多く育てていただくことを期待します。
　今後も議員生活の柱として、教育分野について適宜取り上げていきたいと考えていますのでよろしくお願いし、全ての質問を終わります。
○議長（太田博康）　以上で５番、神谷丈一議員の質問を終わります。

　　　◎散会宣告

○議長（太田博康）　以上で、本日の議事日程は全て終了しました。
　本日はこれにて散会します。
　なお、１５日は午前１０時から本会議を開きますので、定刻までにご参集ください。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　散会　午後６時５３分

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