意見書案第2号







      検察庁の政治的独立性と中立性を求める意見書







 上記の意見書を次のとおり提出する。



  令和2年6月18日提出





            提 出 者
              向日市議会議員 丹 野 直 次


            賛 成 者
              向日市議会議員 佐 藤 新 一
                 〃    杉 谷 伸 夫
                 〃    飛鳥井 佳 子



      検察庁の政治的独立性と中立性を求める意見書

 安倍首相が今国会に提出されている検察庁法改正案に反対し、ツイッタ
ー上の「♯検察庁法改正案に抗議します」の投稿が1000万を超え、俳
優や歌手、作家や著名人も次々と声を上げ、元検事総長ら検察OB、東京地
検特捜部OBも異例の反対声明・意見書を表明している。
 ことの発端は、内閣が本年2月8日に検事長の定年63歳に達し退官の
予定であった東京高検検事長黒川弘務氏を直前の1月31日に、定年を8
月7日まで半年間延長する閣議決定を行ったことにある。本来検察庁法に
よれば、定年は検事総長が65歳、その他検察官は63歳とされており、
定年延長を可能とする規定はなかった。従って検察官の定年を延長するた
めには検察庁法を改正するしかなかった。しかし、内閣は同法改正の手続
きを経ずに閣議決定のみで黒川氏の定年延長を決定したことになり、その
批判をかわすために、法務省が検察庁法改正法を国家公務員法改正案に束
ねて国会に提出した。
 検察庁法改正案の重要な問題点は、検事長を含む上級検察官の役職定年
延長に関する改正についてである。内閣が定める事由があると認めるとき
は、当該次長検事又は検事長が年齢63年に達した日の翌日から起算して
1年を超えない範囲内でその時点での官及び職を占めたまま勤務させるこ
とができる。注意すべきは、この規定は内閣の裁量で次長検事及び検事長
の定年延長が可能とする内容であり、閣僚会議において黒川検事長の定年
延長を決定した違法な決議を後追いで容認しようとするものである。
 これまで政界と検察との両者間には検察官の人事に政治は介入しないと
いう確立した慣例があり、その慣例がきちんと守られてきた。これは「検
察を政治の影響から切りはなすための知恵」とされている。
 今回の法改正は、検察の人事に政治権力が介入することを正当化し、政
権の意に沿わない検察の動きを封じ込め、検察の力を殺(そ)ぐことを意
図している。
 与党内からもコロナ禍の最中に急ぐ必要はない、無理筋との批判が起こ
っている。
 与党は次期臨時国会での成立を目指すと表明していたが、当の黒川氏が
緊急事態宣言の自粛要請中に賭けマージャンでの賭博行為が発覚し辞任す
ることになった。
 安倍首相は国民の声に押され第201回通常国会での成立を断念したが、
黒川弘務検事長の定年延長の閣議決定の撤回は拒否している。この閣議決
定を取り下げなければ第2第3の「黒川氏」が生まれる可能性がある。今
回の検事長定年延長問題の核心は検察という準司法権に政治が介入するこ
とにある。よって、検察庁法改正案の廃案と黒川弘務検事長の定年延長の
閣議決定の撤回を求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  令和2年6月18日
                      京都府向日市議会