日頃から市政運営に対してご理解、ご協力いただきましてありがとうございます。これより令和3年度の市政運営に関する私の所信を述べさせていただきます。市民や議員の皆様には、ご理解、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
 さて、昨年から新型コロナウイルスが、社会の様々な分野へ影響を与え、今後もその影響が懸念されます。社会全体でこの難局を乗り越えていくためにも、市として最善を尽くしていきます。
 また、令和3年度の施策展開としては、引き続き市民生活第一で、幸福の実感につながるよう、積極果敢に進めてまいります。その要点としては、@子育て環境の充実による幸福感の向上、A市民サービス革命の加速推進による市民満足度の向上、B都市基盤強化による生活環境の向上、C賢い都市経営の推進による持続性の向上を柱に、犬山の可能性を開き、大きく前進できるよう取り組んでまいります。
 こうした考え方を踏まえ、まずは令和3年度当初予算の全体像を申し上げた上で、主要施策を部局ごとに説明させていただきます。
 令和3年度当初予算の規模については、一般会計では、253億4,368万7,000円となり、対前年度比では2.2%、5億7,875万5,000円の減少、特別会計と企業会計を合わせた全会計の総額では、444億787万6,000円となり、対前年度比では2.1%、9億4,234万円の減少となりました。
 一般会計のうち歳入につきまして、まず、市税では、新型コロナウイルス感染症の影響により、大幅な減収を見込み、前年度との比較で、個人市民税は、5億7,492万1,000円の減額となる36億4,395万6,000円、法人市民税は、4億1,186万4,000円の減額となる4億8,457万6,000円、その他諸税を合わせた市税全体では、10億9,984万2,000円の減額となる104億8,092万8,000円を計上しました。
 また、地方交付税におきましても、原資となる国税で大幅な減収が想定されていることなどを受け、前年度から1,996万円の減額となる12億5,883万3,000円を計上しました。
 一方、能動的な財源確保の面で、財産収入では、ファシリティマネジメントの一環としての旧天神汚水処理場の売却や、犬山駅東西連絡橋の広告収入など公共空間の利活用により、前年度から1億3,991万2,000円の増額となる1億6,917万7,000円を計上したほか、寄附金では、ふるさと納税のさらなる獲得のため、令和2年度に引き続いての申込みサイト増設、当市の返礼品にマッチした方々を狙った広告宣伝、返礼品の充実などに取り組むことで、前年度から1億6,114万7,000円の増額となる10億2,244万8,000円を目指します。
 なお、市債では、地方交付税による市税の減収補填の代替として臨時財政対策債ではほぼ倍増となる16億2,260万9,000円を見込む影響により、前年度から7億7,211万円の増額となる24億1,950万9,000円を計上しました。
 歳出については、民生費が92億9,386万8,000円で全体の36.7%を占め、次いで総務費が40億1,229万3,000円、教育費が30億5,632万7,000円と続いています。
 なお、歳入と歳出の乖離である財源不足分については、財政調整基金からの繰入金により補填しました。2月補正予算における不用額の減額や減収補填債の計上を加味した基金の残高は、前年の同時期から約2億円の増額となる約12億1,000万円となる見込みです。市税の減収を市債で賄うなど、コロナ禍での厳しい財政状況に置かれていますが、これからの機動的なコロナ対策はもとより、補正予算や風水害などへの備えとしての残高確保と、実施すべき事業を見極め、これらに係る予算の計上を両立しました。
 これ以降は、主要施策を申し上げます。
 初めに、全庁で取り組む「新型コロナウイルス感染症対策」です。
 新型コロナウイルスワクチンの接種については、希望する市民が、できるだけ身近な医療機関で早期に安心して接種していただけるよう、3月下旬以降、高齢者の方から順次接種券を送付し、4月以降の接種開始に向け、各医療機関等にご協力をいただきながら、接種体制の確保に全力で取り組んでまいります。
 生活困窮の状態になった方への就労支援や住宅確保給付金の支給、社会福祉協議会と連携した緊急小口資金、総合支援資金の貸付について、必要な人に確実かつ迅速に支援ができるよう実施してまいります。
 感染拡大に伴い影響を受けた事業者への支援では、令和2年度から実施している小規模事業者が行う設備投資に対する補助を、より使いやすい制度に改正し、引き続き実施します。
 また、国の支援策を活用した事業者に対して、市としても支援を行ってまいります。
 加えて、国の第3次補正予算による地方創生臨時交付金を有効に活用し、全市民対象のプレミアム率100%のプレミアム商品券事業など、追加のコロナ対策を機動的に講じてまいります。
 次に「経営部」です。
 「市民サービス革命」については、市民が市役所窓口で行う手続全般について、記入の負担を軽減するため、「書かなくてよい窓口」の仕組みづくりを進め、令和3年度は、来庁者が最も多く、手続に時間を要する市民課窓口と、4出張所に導入します。
 また、キャッシュレス化については、出張所にも対応を拡大するとともに、市税等の納付において、令和3年4月からクレジットカードでの納付を可能にし、昨年から導入したアプリ決済について、令和3年の夏をめどに、さらにアプリを追加していく予定です。
 オンライン化については、介護業務や福祉業務等40手続の申請で実施します。
 さらに、市民が窓口を訪れた際にお待ちいただく時間を減らすよう、インターネット上で混雑状況の把握が可能な仕組みを導入します。
 加えて、やさしい日本語の手引等を活用した公文書改善に取り組みます。
 犬山市が目指すまちの将来像や土地利用の基本的な方向性を示し、市政運営の指針となる第6次総合計画については、令和3年度と令和4年度の2か年をかけ策定します。
 また、都市整備部所管の都市計画マスタープランが令和4年度に計画期間満了を迎えるため、関連する緑の基本計画及び立地適正化計画と併せて次期計画策定に着手します。
 効果的な行政運営と業務の効率化については、圏域マネジメントの一環として、介護認定システム導入や法改正に伴うシステム改修を、近隣市町との共同調達により進めてまいります。
 また、ICTを活用し、特定健診やがん検診といった10種類の帳票のデータ化等の内部事務について、AI−OCRやRPAを利用した作業の自動化に取り組むとともに、庁内文書のデジタル化を推進します。
 職員の新型コロナ対策や働き方改革の取り組みとして、国が進めるテレワークの実証実験に参加し、その効果と導入について検証してまいります。
 さらに、法務面での対応強化のため、弁護士を嘱託員として任用します。
 公文書については、公文書管理条例を制定し、市民共有の知的資源として適切に管理するとともに、その運用については附属機関に諮ることで公正を担保してまいります。
 公共施設や公衆トイレなどの洋式化については、整備計画に基づき、令和3年度は休日急病診療所、武道館など4施設を改修します。市役所分庁舎は、令和4年度の売却を目指し、令和3年度中に取り壊します。
 令和2年度に「ミラマチ栗栖」が中心となって改定した「木曽川活性化夢プラン」に基づき、「野縁公苑」の整備など、引き続き側面的支援を行ってまいります。
 また、国土交通省により栗栖園地周辺の支障枝の伐採が行われましたので、この好機を逃さず、園地の拡大と新たな利活用方法を検討してまいります。
 シティプロモーションとふるさと納税推進のため、犬山市の魅力的で独自性の高い事業の動画を作成し、PRします。
 続いて「市民部」です。
 地域活動については、東コミュニティ推進協議会の拠点として、令和3年4月より羽黒東部老人憩の家を、東ふれあいセンターへ機能転換し、地元や利用者の意見を反映した施設改修に向けて検討を進めます。
 また、町内会における事務のデジタル化の支援を進めてまいります。令和3年度は、モデル町内会を選定し、導入拡大に向け、課題などの検証をしてまいります。
 市民活動支援については、協働プラザを中心に、待ちの姿勢ではなく、積極的に各地域に出向き、地域の声や課題を収集するアウトリーチ活動に注力し、さらなる担い手の掘り起こしや地域課題の解決に向けた活動を支援してまいります。
 また、市民参加の具体的手法や地域活動に対する支援を条例に定め、より一層市民活動が発展するよう支援を強化してまいります。
 飼い主のいない地域猫への対応として、令和3年度は、市民活動団体との連携や支援を行い、令和4年度から地域猫の支援制度が開始できるよう準備を進めてまいります。
 年々増加する外国人市民への対応として、令和3年度は、ポルトガル語の窓口通訳者1名を採用するとともに、スペイン、ベトナム、タガログ語などのコミュニティ通訳者を拡充し、サポート体制を強化してまいります。
 また、羽黒・楽田地区の外国人園児を対象に実施していたプレスクールは、対象地区を市内全域に広げ、市内の外国人園児全員が参加できるよう事業の充実を図ります。
 防災については、総合防災訓練を犬山南小学校で実施します。
 また、河川氾濫への市民意識向上のため、木曽川の浸水想定地域において、公共施設や電柱に浸水深の表示を行います。
 加えて、現在使用しているアナログ電波の防災行政無線について、令和3年度中に、新たな防災行政無線を導入します。
 交通安全については、小学校の通学路の安全強化のため、交通指導員を2名増員し、10名体制とします。
 自転車の安全対策として、愛知県と連携し、自転車乗車用のヘルメットの購入補助制度を設けます。
 また、高齢運転者を対象とした、後付け安全運転支援装置に係る補助制度を、令和3年度も引き続き愛知県とともに延長してまいります。
 コミュニティバスについては、令和5年12月に向けて再編事業に着手します。令和3年度は、利用者や町内会へ調査を行い、ニーズを把握します。今後の検討に当たっては、地域の実情に適し、もっと便利になるよう、コミュニティバスとデマンド交通を組み合わせることも選択肢として、可能性を模索していきます。
 また、今井地区での中学生の通学サポートについては、地域内の住民や事業所等の取り組みを支援していきます。
 加えて、令和2年度から3年間の県委託事業である「高齢者移動支援事業」では、令和3年度に、市民ニーズの高いモデル地区を選定し、地域住民とともに移動支援サービスの検証を行っていきます。
 楽田出張所の楽田ふれあいセンター内への移転については、令和3年度に建物の設計を行います。
 次に「健康福祉部」です。
 福祉関係事業としては、障害児者で寝たきり等の方が、施設の機械入浴を利用できるサービスを令和3年度より開始します。
 避難行動要支援者支援制度においては、災害時に避難支援が必要な方で登録希望者については、3年度当初にほぼ100%の登録が完了します。今後は、支援者向けのガイドブックの作成や、支援者による避難を想定した行動確認を行うなど、具体的な避難行動につながるよう、さらなる強化に取り組んでいきます。
 高齢者福祉・介護保険事業において、令和3年度は、高齢者福祉計画・介護保険事業計画の3年に1度の見直し時期であり、介護保険料については、保険料月額を据え置くこととします。
 また、高齢者の尊厳の保持や自立した生活を支援するため、状態に応じたリハビリテーションが提供できるよう、医療機関や介護サービス事業所などに勤務するリハビリテーション専門職との連携体制の構築を目指します。
 認知症施策については、認知症高齢者などが不慮の事故を起こしたときの損害賠償保険の加入に対し、市が取りまとめを行う「個人賠償責任保険事業」を新設します。
 また、法律に基づく補装具費の支給対象とならない高齢者の補聴器購入について、費用を助成する制度を新設します。
 加えて、地域での見守り体制をより充実させるため、小学生や中学生を対象としたジュニアサポーターの養成を行うとともに、認知症の人やその家族と支援者をつなぐ仕組みとして、ステップアップ講座を受講したサポーターが中心となり、「チームオレンジ」の立ち上げを進めてまいります。
 国民健康保険では、同運営協議会の答申を踏まえ、令和3年度は、保険税負担の上昇率を平均1%といたします。
 また、高額療養費の申請については、申請者が市役所窓口へ来庁する負担を軽減するため、あらかじめ対象となる方に通知し、申請書を郵送で市に送り返していただく「ターンアラウンド」方式による手続を、令和3年10月から実施してまいります。
 健診事業の拡充では、聴覚異常と視覚異常の早期発見・早期治療につなげるため、新生児の聴覚検査費用の助成を開始するとともに、目の検査機器であるフォトスクリーナーを導入し3歳児健診などで活用してまいります。
 また、受動喫煙防止を社会全体で促進するため、受動喫煙防止対策に取り組む事業主に対し、国等の補助金に市が上乗せして補助する制度を創設するとともに、健康増進法上、当面喫煙可能とされている小規模飲食店が、全面禁煙にする場合の費用についても、市独自で補助してまいります。
 続いて「都市整備部」です。
 地区計画道路整備としては、市道橋爪49号線及び市道五郎丸50号線の用地買収を進め、未利用地活用を促進してまいります。
 また、狭隘道路対策としては、市街化区域内を対象に、幅員4メートル未満の市道の計画的な拡幅整備に取り組んでいきます。まずは、市道上野18号線の整備に向けた用地買収を進めてまいります。
 加えて、道路後退による市税が優遇される制度等についても、パンフレットを作成し周知を強化します。
 景観の取り組みにおいては、城下町の町屋の滅失を抑止するため、景観条例を改正し、保全に関する所有者の意向を定期的に確認するとともに、改修費の助成対象の拡充や技術的支援などを行い、保全・継承に努めます。
 また、これらの建築物を除却しようとする場合は、1年前までに届け出る制度を併せて新設し、活用へのマッチングを図ります。
 ゲリラ豪雨等による冠水対策では、羽黒新田・楽田西地区の工業団地周辺の五ヶ村排水区について、用地測量及び設計業務に着手します。
 ため池の防災対策については、令和2年度に引き続き、防災重点農業用ため池の劣化状況、地震及び豪雨耐性の評価等を行い、割洞第一池など5池で対策工事を実施し、1池で工事に必要な調査、設計を実施します。
 幹線道路の整備として、最重点整備路線である「富岡荒井線」については、事業用地の確保が全て完了し、令和3年度は、二ノ宮川に架かる橋梁及び楽田惣作地内の道路整備を進める予定で、令和4年12月末に上小針交差点までの開通を目指します。
 塔野地前原地区の成田富士入鹿線については、県事業の進捗に併せて、交差する市道塔野地93号線の整備に着手します。
 老朽化が進む橋梁について、令和3年度は桜橋、工業団地1号橋及び西畑橋の修繕工事を進め、安全性を確保してまいります。
 また、前原台団地北側の星和橋について、老朽化及び大規模地震時の対策として、大畔池の堤防を利用した道路付け替え工事を引き続き進め、令和4年度中の開通を目指します。
 市道の舗装改修については、令和2年度から全面舗装改修する予算を増額しており、今年度も引き続き計画的かつ継続的に実施してまいります。
 また、通学路の安全対策についても、令和2年度から予算を拡充しており、引き続き子どもたちが安心して通学できる環境を整えていきます。
 次に、企業会計である水道事業及び下水道事業については、それぞれ、10年間の収支計画を定めた経営戦略を令和2年度中に策定完了する予定で、生活を支えるインフラとして持続可能な水道・下水道を目標に、市民の負担を低く抑えつつ、将来に向けて積極的な設備投資を進めていく方針としています。
 その最初の予算編成となる令和3年度において、水道事業については、老朽化対策に合わせた水道管の耐震化に向け、長者町地区をはじめ市内各所において、布設替工事を積極的かつ継続的に実施してまいります。
 浄配水施設については、機械装置等の更新を継続して行うことに加え、大規模化する災害に対し備えをさらに強化するため、城東浄水場の県水補水管の改良や、第2加圧所の耐震化などを新たに実施してまいります。
 下水道事業については、経営戦略における基本方針として、市街化区域及び前原台団地の整備を計画的に進め、これ以外の計画区域については、今後、整備の在り方を検討していくこととしています。
 また、下水道施設の計画的な維持管理及び不明水の削減の取り組みを図ることとしています。これを踏まえ、令和3年度の具体的な事業について、公共下水道事業は、五条川右岸処理区において、犬山東三条、北首塚地区等の管渠整備を進めてまいります。
 五条川左岸処理区について、楽田番前地区は、富岡荒井線の道路整備に併せて管渠整備を進め、前原台団地は、引き続き前原1号汚水幹線の管渠整備を実施していく予定で、当初の年次計画より完了を1年前倒しする方針で、現在地元との調整を図っています。
 次に、防災・減災対策として、犬山高校にマンホールトイレシステムの設置や、防災拠点、避難所に接続する管渠とマンホール接続部の耐震化工事を継続して進めてまいります。
 不明水対策としては、引き続き、管渠の調査及び更生工事を実施し、不明水の削減に取り組んでまいります。
 次に「経済環境部」です。
 地域雇用の創出、自主財源の確保に向けては、産業集積誘導エリアにおいて、引き続き、企業誘致に向けた取り組みを進めます。
 同じく「商業集積ライン」へも、民間事業者と連携し商業立地促進を図ります。
 令和2年度に愛知労働局と締結した「雇用対策協定」に基づき、地域の雇用確保に取り組むとともに、合同企業説明会については、令和3年度も引き続き開催いたします。
 消費者行政については、犬山市消費生活センターを拠点として、引き続き、相談体制の充実・強化に取り組んでまいります。
 農業施策では、新たな取り組みとして、農業者による6次産業化を支援し、新たな特産品の開発と所得向上を図るため、農産物付加価値向上補助金を創設します。
 さらに、農業の担い手の掘り起こしとチャレンジしやすい環境を整えるため、これから犬山で農業を始めたい方に対し、新規就農時に必要な初期投資にかかる費用への市独自の補助制度も創設いたします。
 また、農業の裾野を広げるため、小学生向けの子ども大学農業学部、プランター栽培講座、農業講座を引き続き開催してまいります。
 耕作放棄地対策については、荒廃農地等利活用促進事業補助金の予算を倍増し、耕作放棄地解消の取り組みを促進してまいります。
 農作物被害対策については、イノシシが増加傾向にあることから、狩猟免許取得費補助金を活用し、有害鳥獣駆除従事者を増やしながら、猟友会との連携を密にした捕獲体制を推進していきます。
 観光施策については、「犬山市観光戦略」を取りまとめてまいります。
 観光誘客については、名古屋鉄道株式会社、犬山市観光協会との連携を密にし、犬山城と岐阜城、犬山城と名古屋城を周遊できる新たな旅行商品の開発などの取り組みを強化します。
 木曽川河川空間では、木曽川観光株式会社との連携を深め、遊覧船を犬山観光の主要コンテンツに成長させていくため、遊覧船の定期便運航や、地元食材と地酒を楽しむ企画船の実施など、様々な事業者が連携する、魅力的な遊覧船事業を展開してまいります。
 シェアリングエコノミーを活用した体験型観光メニューの造成については、市観光協会との連携を強化し、オンライン体験など、コロナ禍での新しいメニューづくりを進めます。
 令和3年度の花火大会は、コロナの状況を見極めつつ、開催時期も検討しながら、ロングラン花火を行います。併せて開催する「宵のいぬやマルシェ」の充実も図り、木曽川河畔でのにぎわいづくりに努めてまいります。
 令和3年度には、いよいよ犬山駅西口と木曽川河畔に、新たに2つのホテルが開業する予定です。ホテル事業者や関係機関と十分連携を図りながら、積極的な誘客活動を展開し、犬山観光の魅力向上に努めてまいります。
 環境施策については、改定した「環境基本計画」に基づき、持続可能なまちづくりを推進します。具体的な取り組みの主なものとしては、地球温暖化対策について、2050年(令和32年)までに、温室効果ガス(二酸化炭素)の人為的な排出量と、森林等の吸収源による除去量の均衡を目指した「ゼロカーボンシティ」を表明し、まずは中間目標として、令和12年に平成25年度比26%の温室効果ガス削減を目指します。
 温室効果ガス削減につながる照明設備のLED化を着実に進めているところですが、令和3年度には、市役所本庁舎及び石作公園、上坂公園で実施し、他の施設についても計画的に事業を推進してまいります。
 また、国の地球温暖化対策推進事業を活用し、地球温暖化対策について「賢い選択」をしていくためのCOOL CHOICE普及促進事業を推進し、地球温暖化防止行動の普及を図ります。
 粗大ごみ戸別収集については、平日のみであった電話受付を令和3年度からは、年末年始を除き土日・祝祭日も午前9時から午後5時まで行い、利便性の向上に努めてまいります。
 都市美化センターの地元補償事業については、城東中学校南側多目的広場の用地取得が令和2年度中におおむね完了したことから、令和3年度については、詳細設計などを進めます。
 犬山市、江南市、大口町、扶桑町の2市2町で構成する尾張北部環境組合が進める広域の新ごみ処理施設建設事業については、組合構成市町として適切な事業推進が図られるよう、積極的に取り組みを進めてまいります。
 続いて「教育部」です。
 国語教育日本一を目指す取り組みでは、読解力の向上を目的として設置した読解力向上研究部会及び国語科授業研究校の活動を充実させるために、指導主事を1名加配し、各校の授業改善を加速させます。
 各学校での読書推進では、新たに司書を1名配置し、図書館コーディネーターと協働し、市立図書館と学校図書室の連携による効果を高めます。また、小学校の図書室改修も引き続き実施いたします。
 GIGAスクール構想の推進については、整備した情報端末を効果的に活用し、児童生徒・教員の力を最大限に引き出す教育を実現できるよう支援を行い、活用状況や効果の検証と改善に努めてまいります。
 身体の障害や学習に困難を抱える児童生徒への対応強化としては、特別支援教育支援員1名、介助員2名を加配します。
 さらに、介助員の任用時間の増加、運用条件の緩和を行います。
 新年度から中学校の制服にブレザースタイルが新たに加わります。この検討過程において、単に制服だけではなく、学校の環境や運用を、関係者からの意見を聞きながら総点検しており、できるところから改善していく予定です。
 事業の最終年度となる楽田小学校の大規模改修事業では、南側進入路と運動場の整備工事に着手します。
 次に大規模改修事業を予定している犬山南小学校では、基本設計を行い、実施設計業務に取りかかります。
 また、犬山中学校と池野小学校の非構造部材の改修、東部中学校の非常放送設備改修や、教育環境に支障を来す設備などの営繕工事を行い、教育環境の保全に努めます。
 少子化対策については、多子・多胎世帯への支援策を、市を挙げて強化していきます。これは、経済的支援や育児負担の軽減などによる子育ての喜びの醸成と定住促進を目的とします。
 多子世帯として、同一世帯で3人以上の子どもを持ち、第3子以降の子どもが中学生以下の家庭と、多胎世帯として、双子以上の妊婦や多胎児を持つ家庭を対象とし、第3子以降の子が中学校を卒業するまで継続的に支援できるよう、令和3年度以降、実施可能なものから順次進めていくものです。
 対象となる世帯は事業ごとで異なりますが、令和3年度は、多胎妊婦に対する妊婦健診受診票の追加交付、既存の移住・定住補助金の住宅取得・改修に対し20万円上乗せ、家事援助などを行うヘルパー派遣事業、市主催の講座等の一部無料化、犬山産の新米10キログラムを提供する事業を実施してまいります。
 次に、令和4年度からの実施を目指し準備に着手するものとして、1歳未満児へのおむつなどの育児用品の宅配事業、3歳未満児の保育料の無料化、保育園、幼稚園、小学校、中学校の給食費の無料化、児童クラブで通年利用登録者を対象とした利用手数料の無料化、コミュニティバスを利用する際の乗車料金の無料化などを進めてまいります。
 地域の全ての子どもとその家庭及び妊産婦等の相談に対応する子ども支援の専門性を持った体制として、令和3年4月より「子ども家庭総合支援拠点」を子ども未来課に設置し、保健師1名を配置することで、必要な支援に係る業務を行うとともに、児童虐待への支援業務の強化を図ってまいります。
 保育環境の整備では、令和3年度から保育士を6名増員し、利用者のニーズに応える保育サービスが提供できるよう保育の充実を図ってまいります。
 また、橋爪・五郎丸子ども未来園統合による新園建設事業を進めてまいります。令和3年度は用地取得、令和3年度から令和4年度にかけ基本設計を実施し、その後、実施設計、建設工事を経て、令和6年度中の竣工を目指し進めてまいります。
 文化振興については、市内で開催される文化芸術活動を支援する「文化の薫り高いまちづくり事業補助金」において、補助対象の拡充を図ります。
 デジタル弱者対策については、スマートフォンをより多くの方に活用いただくため、初心者向けの出前講座の開催や、相談支援窓口の開設を進めていきます。
 市民文化会館では、昨年末に実施した「舞台貸し事業」が好評であったため、夏頃に同事業を再度実施する予定です。2回の試行運用の検証を踏まえ、「舞台貸し事業」の本格運用を含めた今後の事業展開への準備を進めてまいります。
 また、市立図書館2階では、令和3年3月30日に、「読書キャンプ」をコンセプトとして、子どもの読書空間がオープンします。同時に、「図書館サポーター制度」の導入を進め、市民参加による館内ガイドや郷土資料の紹介等を行ってまいります。
 犬山西公民館は、令和4年度の跡地売却に向けて、令和3年度中に解体工事を行います。
 スポーツに関しては、新型コロナウイルス感染症の影響により1年延期となった東京2020オリンピックの聖火リレーが、4月5日に予定されていますが、今後の組織委員会の判断を踏まえて対応してまいります。
 「いぬやまスポーツコミッション」の展開については、スポーツと地域資源を掛け合わせることで地域内観光の振興等、相乗効果が見込まれる事業として、民間主体で展開される犬山ポタリングクラブ主催の「自転車散歩」等のスポーツ事業を応援していきます。
 犬山市史編さん事業については、平成以降を含む近現代を中心に資料を収集し、市政70周年の令和6年度を目標に、犬山市史(平成編)の編さんを開始します。
 天然記念物ヒトツバタゴ自生地については、自生地の恒久的な保存や適切な維持管理、活用を図るため、地権者との交渉を進め、公有地化を目指します。
 犬山城については、大手門枡形跡である福祉会館跡地の発掘調査を実施し、遺構の残存状況及び範囲を確認の上、年度内に調査成果を報告書にまとめます。
 東之宮古墳では、史跡整備完了を記念したシンポジウムを開催し、古代の工法で古墳を修復する「土あげ祭」などのイベントを実施します。
 次に「消防」です。
 複雑多様化する災害から市民の安全・安心を守るため、40メートル級はしご付消防自動車の更新等、装備の充実を図るとともに、続発する救急事案に対応するため、救急車の4台体制をスタートさせ、同時4件目の救急対応を可能とします。
 併せて出張所では、救急隊・消防隊の同時運用を開始し、災害対応力の強化を図ってまいります。
 また、第5分団車庫の移転準備のため、令和3年度に建物の設計を行います。啓発事業の新たな取り組みとしては、防災意識の向上と地域のつながりを目的として、地域の小中学生や、その保護者、コミュニティなど幅広い方を対象に、防火・防災キャンプを実施するとともに、市内小中学生を対象に、ジュニア救命士育成プロジェクトとして救命率向上の講習を実施します。
 以上、令和3年度当初予算並びに主要施策について述べてまいりました。
 これからの時代は、デジタル社会が加速し、社会の仕組みが大きく変化していきます。市役所の仕事においても、デジタル技術の積極的な活用はもちろんですが、人のつながりやぬくもりこそ大切です。地域コミュニティと連携し、分かりやすく、丁寧で、本気で向き合う市役所づくりを進め、市民の皆様に温度や豊かさを感じていただけるよう、職員共々、全力を尽くします。
 市民や議員の皆様のご理解、ご協力をお願い申し上げ、私の施政方針とさせていただきます。