(拍手)おはようございます。自由民主党の松尾和久でございます。
 昨年12月、行われました衆議院議員総選挙において再び自民党が政権を担わせていただくことになりました。しかしながら、このことは、決して自民党に大きな期待をして与えていただいた議席ではなく、民主党政権の3年余りの余りに稚拙な政権運営に対する失望と、選挙前にばたばたと合併したり離れたりしながら、党の基本政策も一転二転して国民の期待を集め切れなかった第三局の出おくれによって与えられた結果であります。しかし、政権を託された自民党は、政治への信頼を取り戻さなければなりません。決められない政治と言われ、政治への信頼をなくしてしまった今、国民の声に耳を傾け、山積する課題に一つ一つ丁寧に、しかも確実に答えを出していかなければならないのであります。そうすることによって、国民から政治に対する信頼を一段一段積み上げていけるものと思います。
 そんな中、二度目の登板となった安倍総理率いる第2次安倍内閣においては、経済再生を最優先課題とし、先日成立した平成24年度補正予算、現在国会において審議中の平成25年度当初予算案の編成において、スピード感を持って取り組んでおります。愛媛県議会でも2月8日に臨時議会を開会し、平成24年度一般会計補正予算267億円を議決し、国のスピード感を持った対応に県としても呼応しているところであります。
 こうして国と県が地域経済の再生という同じ方向性を持ち、取り組んでまいることが、知事が言われる県民の実需を生み出していくものと考えております。知事におかれましては、引き続き県民生活の安心、発展のために力を発揮されるよう御期待申し上げ、私の質問に入らせていただきます。
 まず初めに、県立高校の再編整備についてお尋ねいたします。
 県教育委員会では、昨年10月、生徒数の減少に対応して、入学生の募集停止や分校化、統合など、全日制高校の再編整備について取り扱いを変更し、従来の再編整備基準は維持しながら、入学生数が基準を下回ることとなった場合でも、該当した年度から3年間、地元地域住民やPTA、市町、中学校など、学校と地域が一体となって学校存続に必要な入学生数を確保するための取り組みを進める猶予期間を設定しております。これは、再編整備の対象校を含む過疎地域の小規模校が、学校存続に向けて特色ある取り組みを行っていることや、地元から学校存続への強い要望があることを受け、県教育委員会が過疎地域における県立学校の必要性を考慮した対応であると認識しております。
 これを受け、現在、再編整備基準の該当校3校及び準該当校3校では、振興対策協議会など地域の皆さんの協力を得るための組織を立ち上げ、何とか基準の入学生数を確保し、学校を存続できるよう鋭意努力しております。
 この再編整備基準の準該当校の1つに、私のふるさと松山市中島の県立松山北高等学校中島分校があります。中島分校では、再編整備の取り扱いの変更を受け、昨年の12月に分校の卒業生、地元の有志が振興対策協議会を立ち上げ、分校の存続のため、入学生数の確保にどういった取り組みができるか検討しながら、中学校訪問など実施できることから始めています。
 そこで、現在の再編整備基準該当校、準該当校の入学生増加に向けた取り組み状況と、平成25年度入学志願者の状況はどうか、お伺いいたします。
 また、私は、現在、該当校、準該当校になっている少人数の高校には、その規模、校風に合った存在意義があると考えております。大規模校に入学するのをためらっている子や静かな環境での勉学を望む子など、中島分校では在校生の約7割が地元中島出身者ではなく、島外からの通学生だとお聞きしております。在校生からは、少人数のため、生徒一人一人に対する教育が丁寧である、他校にはない自然と海に囲まれたとてもよい環境で生活できる、先生が一人一人の生徒と向き合ってくれるところがいい、学校に行きにくい人でも無理せずに行くことができるなど、田舎の小規模校ならではの感想を聞いております。
 3月1日の県立高校卒業式のときには、私は午前中に母校の松山北高等学校の本校に、午後にはふるさとの中島分校の卒業式に出席させていただきました。本校の卒業式は体育館いっぱいの卒業生、在校生、保護者の皆さんの参加のもと、盛大に開催されました。中島分校は、卒業生23名の卒業式でしたが、小規模校ならではの一人一人顔の見える卒業式でした。卒業式終了後には、在校生から卒業生へ、卒業生から在校生へ、お互いに感謝の気持ちを込めた歌を贈り合っている姿を見て、生徒たちがそれぞれに、お互いのつながりを大切に学校生活を送ってきたことが強く感じられました。そういった校風の中で、生徒たちは自分を見詰め直し、大学・専門学校などへの進学、もしくは就職など、それぞれの進路を決めていったのだと思います。こういった小規模校がゆえのニーズが、現在の該当校、準該当校になっている高校にはあると考えます。
 しかし、このように地元にとっては大切な高校でも、入学生数確保の取り組みにもかかわらず、猶予期間中に基準の入学生数を確保できなければ、再編整備は直ちに実施されることになります。現在の該当校、準該当校においては、平成25年度または平成26年度の入学生数が確保できなければ、平成26年5月に募集停止等が決定します。
 平成26年度の県立高校の入学願書の受け付けが始まるまで1年を切っていることから、残りわずかな期間で結果を出さなければなりません。このためには、該当校、準該当校の地域一体となった取り組みはもちろん、これに対する県教育委員会の率先した助言、指導が必要ではないかと考えます。また、入学生数を確保して再編整備の対象から外れたとしても、現在の取り組みを維持し、入学生数を継続して確保していかなければ、再度対象校となってしまいます。
 そこで、県教育委員会の再編整備基準該当校、準該当校への支援について、現状はどうか、また、今後、どう取り組んでいくのかお伺いいたします。
 次に、改正離島振興法に伴う愛媛県離島振興計画についてお伺いいたします。
 愛媛県には、離島振興法に基づいて指定を受けた離島振興対策実施地域が10地域、31の有人島があります。これまで県としても、離島振興法に基づき、道路、水道、港湾などの生活・産業基盤の整備に積極的に取り組んでこられました。
 しかしながら、現在の離島を取り巻く環境は大変厳しい状況となっております。平成22年の国勢調査によりますと、65歳以上の高齢化率は県全体で26.6%であるのに比べ、離島地域では46.0%となっております。島によっては70から80%という高い高齢化率になっているところもあります。また、ゼロ歳から14歳の年少者の比率は、県全体で13.0%に対して離島地域は6.6%となっております。まさに、少子高齢化が県全体での数値よりもかなり進んでしまっているのが現状であります。戦後の産業構造の変化に伴い、特に高度経済成長期以降、農村から都市部へ労働力としての人口移動があり、工業基盤を持たない島嶼部などは特に労働力の供給基地となり、過疎化が進んでまいりました。
 今回の改正離島振興法では、そういったことを踏まえ、国の離島振興のための施策を総合的・積極的に講ずる責務を明記しております。さらに、これまでの港湾や道路整備などのハード事業中心の支援に加え、ガソリン流通コスト対策、妊婦通院・出産支援、高校生修学支援など、ソフト施策により重点を置いたものとなっております。現在の少子高齢化が著しい離島では、このソフト施策が大切になってくるのではないかと考えます。現在、住まわれている住民が、安心して医療、介護を受けられる体制づくり、ネット社会において若者を初め島民が本土と比べ同様のサービスを享受できる環境整備など、島で暮らすことが老後の生活や生活基盤での大きな不利益とならないような施策が求められております。
 そうした施策を講ずることが、島での暮らしに魅力を感じる人たちにとって安心感を醸成し、島に残る人、島に移り住む人の増加にもつながるのではないかと考えます。
 そこで、お伺いいたします。
 改正離島振興法の最大の特徴の一つであるソフト事業支援施策について、どのようなところに力点を置いて次期離島振興計画を作成しているのか、また、高齢者を初め住民が安心して暮らせるよう、医療、介護の取り組みはどうか、お聞かせください。
 次に、大規模災害発生時における通信手段の確保に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 あの未曽有の大災害であった東日本大震災から間もなく2年がたとうとしています。東日本大震災では、津波などでNTT局舎やケーブルが直接的な被害を受け、多くの被災地で通信手段が寸断されました。また、直接的な被害は受けていなくても、固定電話や携帯電話は、各通信事業者が音声通信の集中により回線がパンクすることを防ぐため通信を制限したことから、被災地を含む広範な地域で固定電話や携帯電話が極めてつながりにくい状態となりました。一方で、同じ携帯電話でも、メールやインターネット等のパケット通信については、音声通信に比べて制限が低かったことから、比較的つながりやすい状況にあり、メールやツイッターなどインターネットによる情報発信・情報入手が安否確認や震災関連情報の共有に有効な手段であったことは記憶に新しいところであります。
 私も大学時代の友人が仙台におり、東日本大震災の際には携帯電話は何日間もつながりませんでした。メールを打っても返事がなく、山梨県や滋賀県、千葉県の共通の友人と連絡を取り合い、何か連絡はなかったか、お互いに確認し合っていました。1週間ほどたったころ、「生きてる」と一言だけでしたが、友人からメールが届いたときには、奇跡が起こったような気がいたしました。しばらくたって電話で話をしたとき、震災後、家族とも連絡がとれず、1週間たってやっとお互いの無事が確認できたとのことでした。
 携帯電話はスマートフォンへ、また、モバイルパソコンはタブレット端末へと進化し、いずれも持ち運びが容易でパソコンと同等の機能を有することから、その普及は爆発的に加速しております。そして、これらには無線LAN機能が装備されていることから、携帯電話による通話が制限されている場合でも、無線LANの電波が届くところであれば、いつでもインターネットに接続し、多種多様なサービスを利用することができるのであります。
 総務省の大規模災害等緊急事態における通信確保の在り方に関する検討会の最終取りまとめによりますと、災害時や非常時において音声通話以外の通信手段の充実・改善を図る観点から、無線LANの整備などに取り組んでいくことは重要であり、実際、東日本大震災においては、避難所等において無線LANが有効な通信手段として機能したことが評価されております。情報入手の手段を1つだけに頼ると、それが使用できないときに情報を入手することができないため、音声通信を初めとした多様な手段を確保することが求められております。
 本県においても、発生が危惧される南海トラフ巨大地震により甚大な被害が具体的に想定される中、災害時における公衆無線LANを使った通信手段は、安否確認や被災者の生活情報の収集などの手段として極めて重要であると考えます。
 そこで、お伺いいたします。
 無線LANを取り巻く環境が進展する中、大規模災害発生時の避難所等での有効な通信手段の確保を図る観点から、公衆無線LAN環境の整備について、県は、今後、どのように進めていくのかお聞かせください。
 次に、保育士確保に向けての県の取り組みについてお伺いいたします。
 現在、我が国は本格的な人口減少社会を迎え、その最大の要因である少子化への対策は待ったなしの喫緊の課題であります。本県においても、平成22年の国勢調査によると、平成17年に比べて総人口が約2.5%減少しております。そのうち65歳以上の老年人口は約7.6%増加する一方、ゼロ歳から14歳までの年少人口は総人口の減少率を大きく上回って約7.5%減少しており、子供の数が急速に少なくなっていることがわかります。また、1人の女性が一生の間に産む子供の数を示す合計特殊出生率は、直近の平成23年が1.51と全国14位で、平成17年以降、上昇してはおりますが、出生数は平成23年が1万1,329人と35年間で半減し、戦後最少を更新しております。
 このように、これまで経験したことのないような急速な人口減少と少子化が進行する一方で、県内の保育所利用児童数は平成22年以降、増加し続け、直近の平成24年4月1日現在は2万3,082人と、ここ3年間で約400人増加しております。これは、働く女性の増加や就業形態の多様化などにより、保育ニーズが高まっている結果と考えますが、この保育ニーズにしっかり応えていくことが人口減少社会への備えの一つになるのではないでしょうか。
 その保育サービスを現場で支えているのは、マンパワーとしての保育士です。その保育士の数が、国では、新卒者を勘案したとしても、平成29年度末に全国で約7万4,000人不足する見通しを公表しています。
 また、近年、待機児童が圧倒的に多く、保育士の大幅な不足が生じている3大都市圏では、企業が寮を用意して地方から人材を集めており、その人材争奪戦の余波を受け、地方でも保育士の確保が困難になりつつあるとの新聞報道も目にいたしました。
 本県においても共働き家庭など、年度途中に入所を希望するケースもあり、それに対応するために保育士を確保しようとしても確保できずに、期待に沿えないで残念な思いをすることもあるといった話を聞いております。近い将来、大都市への保育士の流出などにより、県内の保育士が慢性的に不足した場合、保育サービスの質の低下や待機児童の増加につながり、子供を保育所に預けられないために保護者が働きたくても働けないという事態が増加してくるのではないかと危惧しております。女性の働く環境を整え、子を産み育てる喜びを感じながら、みずからも社会へ進出して生きがいを持っていただくことは、現在、日本が抱える少子化対策にとっても大変重要な施策であります。
 県におかれましては、第六次長期計画愛媛の未来づくりプランにおいて、安心して産み育てることができる環境づくりを掲げ、子育て家庭のニーズに応じた保育サービスの拡充などに鋭意取り組まれておりますが、これら福祉施策の実効性を高めるためには、人材の確保が不可欠であります。
 そこで、お伺いいたします。
 県内において保育所の保育士の充足状況はどうか、また、今後、県として保育士の確保にどう取り組んでいくつもりなのかお聞かせください。
 次に、道徳教育についてお尋ねいたします。
 安倍晋三政権は、教育改革の司令塔となる教育再生実行会議を立ち上げました。安倍総理は本年1月24日の第1回会合で、教育再生は経済再生と並ぶ日本国の最重要課題であり、強い日本を取り戻すために子供の教育再生は不可欠だとして、国の礎となる教育改革を強く推し進める姿勢を示しました。この会議には、加戸守行前愛媛県知事も委員の1人として参画されております。
 これまで、いじめによる少年の自殺という痛ましい事件が何度となく繰り返されてきております。一昨年、大津市で起きた事件もまことに痛ましいものであり、多くの方の記憶に残るものでありました。愛媛県でも、いじめはいつでもあります。平成23年度の公立学校におけるいじめの認知件数は、小学校で193件、中学校で458件、高等学校で76件の計727件となっております。平成21年度の794件からすると減少しておりますが、中学校だけを見ると増加しております。
 いじめは、表面に出てこない場所で行われることが多く、実際にはこの認知件数よりも多く発生していると推測できます。いつの時代でも起こり得るものであり、そのために、発生したときにどのような対応をするか、発生を少しでも少なくするためにどのような取り組みが必要なのかを考えていかなければなりません。
 本年1月24日と2月15日の教育再生実行会議では、ともにいじめ問題対策が議論され、政府としても喫緊の課題として取り組む姿勢があらわれております。会合では、いじめの解決には深い人間性に迫る教育が求められているとともに、子供みずからも強くなる必要がある、道徳の時間をかなめとした教育活動全体を通じた道徳教育の充実、国・教育委員会による道徳の授業時間の確保や、その教材の精選、すぐれた実績の情報提供の実施が必要などの意見がある中、道徳を教科とし、人間性に迫る教育を行う必要があるとの意見が大勢を占めたと聞いております。
 現在、道徳教育は、各学校で校長の方針のもと、道徳教育の推進を主に担当する教師である道徳教育推進教師を中心に、全教師が協力して実施されております。週1時間の道徳の時間は、学習指導要領によれば道徳教育のかなめとされ、「各教科、特別活動及び総合的な学習の時間における道徳教育と密接な関連を図りながら、計画的、発展的な指導によってこれを補充、深化、統合し、道徳的価値の自覚を深め、道徳的実践力を育成する」と、日常の道徳的な指導を補充、深化、統合する時間となっております。グローバル化が進む現代においても、世界に誇る日本人の道徳観を育むため、道徳を教科として子供たちの人間形成に努めていくことが必要な時代になったのではないでしょうか。
 そして、2月26日の教育再生実行会議第3回会合で安倍総理に提出された「いじめ問題等の対応について」と題した提言書では、いじめ問題の本質的な解決のため、道徳教育の抜本的充実を図り、道徳を新たな枠組みによって教科化することが求められております。
 そこで、お伺いいたします。
 県教育委員会は、道徳教育の現状をどう認識しているのか、また、道徳の教科化の必要性をどう考えているのかお答えください。
 最後に、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。
 既に、我が党の清家幹事長、また、第1区の選挙区長の戒能議員からも知事の政治姿勢について質問があったところでありますが、ふるさと愛媛の発展のため、私たち県議会議員はもちろんのこと、知事や国会議員が心を一つにすべきとの思いから質問をさせていただきます。
 知事は、昨年の12月に行われた衆議院議員総選挙において、松山市長時代からの同志として、個人的にとした上で、愛媛1区の特定の候補者を応援されました。衆議院の解散から投票日までの間、政治生命をかけているとの発言など、新聞などのマスコミに、選挙に係る知事の言動が多く取り上げられております。いわく、自民党候補者を応援して知事ににらまれたくないなどとの思いが働き、自民党候補者への推薦を見送った団体や、2、3、4区では自民党候補者を推薦した団体が1区だけは維新の会の候補者を推薦した等々であります。知事の言動が、県や市とのかかわりが強い業種、団体の方々に対して大きな影響を与えたとの論調でありました。
 知事選を無所属で出馬された中村知事は、幅広い層からの支持を得て当選されました。以来、県政発展のために尽力されていることは多くの県民の皆さんが評価されているところであります。しかしながら、政治手腕やリーダーシップに期待し、評価するからこそ、今回の特定候補者への応援は知事の立場として行き過ぎであり、残念だとの声も多く聞かれます。
 今回の衆院選を経て、自民党が再び政権を担うこととなりました。政権党である自民党の国会議員団と県民の多くの期待を受け、愛媛のかじ取りをされる知事との関係は良好であってほしいというのが多くの県民の望みであると思うのであります。
 そこで、お伺いいたします。
 知事と自民党国会議員団とが良好な関係を構築することが県政発展のために必要だと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
 愛媛県発展のため、何事にも前向きに取り組みつつ、県民の幸せを追求していくことが私に課せられた使命であるとの思いで質問をさせていただきました。今後も、先輩方の御指導のもと、研さんを積み、県民の皆さんのために活動させていただく覚悟でありますので、よろしくお願いいたします。
 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)